日本時間19日午前、アメリカに降り立った高市総理。世界が注目する、トランプ大統領との首脳会談に臨む。
その会談の大きな議題のひとつが、イランにより事実上の封鎖が続く、原油輸送の“要衝”「ホルムズ海峡」だ。
日本船主協会の篠原康弘理事長によると「16件ほどの攻撃を受けた船の報告を受けています」ということだ。
日本の船にも甚大な影響が出る中、各国に船舶護衛への協力を求めたトランプ大統領。一度は、撤回したが…。
政治ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:1時間たったら違うこと言う。二転三転。
元自衛隊幹部 佐藤正久さん:『ホルムズ海峡を開けるのに協力してくれ』っていうのが多分本音だと。
日本は再び、自衛隊の派遣を迫られるのか?日米首脳会談を前に、緊急取材した。
■日本船主協会を取材「16件ほどの攻撃を受けた船の報告」
日米首脳会談に臨むため、日本時間の19日午前、アメリカに到着した高市総理。その会談を前に警戒が高まっているのは、トランプ大統領が“「ホルムズ海峡」について何を言い出すのか”だ。
世界各国の原油輸送の要衝「ホルムズ海峡」は、アメリカに対抗してイランが事実上の封鎖を続けている。
その実情を知るべく取材班は、日本の海運会社が加盟している日本船主協会を訪れた。
原油の9割を中東に依存する日本にとって、輸送する船舶の大半が通過する「ホルムズ海峡」は、まさに生命線。
「ホルムズ海峡」について情報取集につとめている日本船主協会の篠原理事長に聞くと…。

日本船主協会 篠原康弘理事長:16件ほどのアタック事案、攻撃を受けた船の報告を受けています。
攻撃を受けているのは、ホルムズ海峡の部分だけではなくて、ペルシャ湾の奥でも攻撃を受けています。
アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズによると、「ホルムズ海峡」につながるぺルシャ湾では、これまでに少なくとも16隻の石油タンカーや貨物船などが攻撃を受け、8人が死亡。日本船籍の船も攻撃を受けている。
ペルシャ湾内では、日本に関係する45隻の船が身動きがとれておらず、そのうち5隻に24人の日本人が乗船。
船は、それぞれ港周辺の沖合に停泊して、船員の健康状態にも影響はないということだが…。
日本船主協会 篠原康弘理事長:水や食料はなんとか地上から補給できるにしても、閉じ込められた状態の船員さんたちが、どういう精神状態が継続できるかということは大変心配。

■二転三転するトランプ大統領の要求
こうした中、日本を揺るがしているのが、アメリカのトランプ大統領が突如つきつけた要求だ。
トランプ大統領は16日、「ホルムズ海峡」での船舶の安全確保に向け、日本などを名指して、艦船の派遣などの支援を要求する発言をしたのだ。
しかし、フランスなど各国から協力を拒否されると、トランプ大統領は「支援は必要ない。むしろ全く要らない」と発言し、一転して、「各国の支援は必要ない」と表明したかと思われた。
ところが今度はSNSに“大衆紙”「ニューヨークポスト」の記事を引用し、「アメリカの同盟国はしっかりすべきだ。ホルムズ海峡の開放に向けて積極的に協力すべきだ」などと投稿。改めて、不満をあらわにしている。

■自衛隊派遣について、「現時点で予定していない」と高市総理
そんな中、5カ月ぶりに行われる日米首脳会談。高市総理にとって、前回よりさらに外交手腕が問われる、まさに“正念場”だ。
高市早苗首相:自衛隊の派遣について、何ら決まっていることはございません。
立憲民主党・杉尾秀哉参院議員:決まってなくても検討はしていない?
高市早苗首相:完全な停戦合意後に、貢献できることが皆無だとは申し上げません。
高市総理は18日、自衛隊派遣について、「現時点で予定していない」と述べた一方、停戦後に検討する可能性を示した。
街の人からは…。
90代:自衛隊は行ったらあきません。戦争が広がる。余計ドンパチなる。余計石油が入ってくるものが入ってこなくなる。
40代:色々トランプさんから要請あると思うんですけど、中立的・平和にしてほしい。
70代:停戦後の派遣、これは許されるけど、交戦中の派遣はやめた方がいい。
関西テレビが実施したLINEアンケートでは、「ホルムズ海峡」への自衛隊派遣について、「停戦前に派遣すべき」が12%、「停戦後」が44%で、「派遣すべきでない」も44%となった。

■「政治の言葉と現場の現実は違う」とイラクに派遣された佐藤さん
高市総理が検討するとした「停戦後」の自衛隊派遣とは、一体、どのようなものになるのか。
そのヒントを探ろうと、取材班が話を聞いたのは、元自衛隊幹部で外務副大臣なども務めた佐藤正久さん。
佐藤正久氏(2004年当時):我々は復興支援部隊である。治安維持部隊ではない。イラクの人々と連携をせずに何ができようか。一致団結して任務を完遂しよう。
2003年に始まった「イラク戦争」では、アメリカが大規模戦闘の終結を宣言した後、日本政府は、“復興支援のため”として自衛隊の派遣を決定。佐藤さんは、復興支援部隊の第一陣の隊長として、現地に赴いた。
イラクに派遣された元自衛隊幹部 佐藤正久さん:ほとんどの隊員は遺書を書いてました。中には自分で『骨箱』を作って、髪の毛や爪を入れた隊員もいました。
当時、小泉政権は、「自衛隊が活動しているのは非戦闘地域だ」と繰り返し説明。しかし現場は違ったという。
イラクに派遣された元自衛隊幹部 佐藤正久さん:宿営地や基地の中に迫撃砲が飛んでくることも何度かありました。
『タンクローリーが爆弾を積んで宿営地に突っ込む』“確度が高い”と思われる情報があった時は、私も初めて銃に実弾を装填して、安全装置を解いて構えた。政治の言葉と現場の現実は違う。

■「日本の国益の観点からできることはやる」
では、日本は今回、自衛隊を派遣すべきなのか。
佐藤さんは、「ホルムズ海峡が重要な輸送ルートである以上、停戦前であっても、海峡の東側にあたるオマーン湾などで、給油支援などの役割を果たすべき」と話す。
イラクに派遣された元自衛隊幹部 佐藤正久さん:今回、日本が何もしなければ、(アメリカが)防衛協力を縮小する可能性もゼロじゃありませんから。
大事なことはトランプ大統領とのディール(取引)に、隊員の命を預けない。しっかり安全というのを確保した上で、日本の国益の観点からできることはやる。

■ 「『代替案』を用意すべき」とジャーナリスト鈴木さん
一方、政治ジャーナリストの鈴木哲夫さんは「自衛隊派遣は法律上の制約で困難なため『経済的な代替案』を用意すべきだ」と話す。
政治ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:法律の中で、日本はやっぱり戦地、戦闘が実際に起きているところに自衛隊は行けないという大きな線を引いているので、それを超えてでもっていうのは、どんなに法解釈をしても難しい。
自衛隊派遣はどうなるのか。
高市総理は難しい判断を迫られている。
(関西テレビ「newsランナー」2026年3月19日放送)

