2025年1月に再審請求が退けられた『菊池事件』について、誤った表記があった熊本地裁の決定書を、裁判所が訂正せずに判例としてホームページに掲載していることが分かった。これについて専門家はTKUの取材に「判例として残り続けることを考えなかったのか」と苦言を呈している。

菊池事件の再審請求の熊本地裁判決

ハンセン病患者とされた男性が、殺人などの罪に問われ、無実を訴え続けるも1962年に死刑が執行された『菊池事件』をめぐっては、熊本地裁2025年1月に遺族の再審請求を棄却した。

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遺族はこの決定を不服とし、即時抗告。2月から福岡高裁での審理が始まった。しかし、この事件をめぐっては、熊本地裁の決定書に複数の〈誤表記〉があったことが分かり、弁護団や専門家から厳しい意見が出ていた。

裁判所のホームページでは、誤りが訂正されないままこの決定書がデータベースに掲載されている。

熊本大学(刑事法専門)の岡田行雄教授は「見てほしくなかったら掲載されない。見てほしいなら、もっと慎重にチェックするべきではなかったか」と苦言を呈する。

存在しない【憲法39条3項】を記載

菊池事件の再審請求をめぐっては、刑事訴訟法で明文化されていない『当時の手続きが憲法違反であることが再審を認める理由になるかどうか』が注目されていた。

熊本地裁は再審開始を認めなかったが、「当時の手続きに憲法違反があった場合に、再審を開始すべき余地がある」と踏み込んだ判断を初めて示した。

しかし、決定書にはその重要な検討過程で、実際には存在しない憲法39条3項を記載するなどの誤りが判明。これについて岡田教授は「憲法違反が前の刑事裁判であった場合、それを理由に再審ができるかできないかを判断した初めてのケース。『憲法違反はあったが再審はしない』という、最も重要な根拠になる部分での書き間違い」と話す。

熊本地裁は「コメントする予定ない」

岡田教授は「刑事訴訟法には、決定書を書き直すための規定がない」と指摘、苦言を呈した。

また、岡田教授は「『裁判例検索』に掲載されたことによって、誰でも決定書にアクセスできるようになった。今後、心ある研究者が次々と研究していく中で、(誤表記が)ずっと残ってしまう。〈それを考えなかったのか〉と思わざるを得ない」と述べた。

一方、熊本地裁はこの問題についてTKUの取材に、「コメントする予定はない」としている。

(テレビ熊本)

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