「J2テゲバジャーロの躍進を支える「伝え手」の情熱」から続く

「J2・J3百年構想リーグ」で開幕7連勝のテゲバジャーロ宮崎。その快進撃の裏には、SNSのフォロワーを激増させ、クラブに新たな活気をもたらした広報・松本理穂さんの奮闘があった。しかし彼女は2025年に宮崎へやってくる直前、「サッカーの仕事から離れる」という決断を下していた。なぜ彼女は一度諦めた道に戻り、縁のない宮崎で戦うことを選んだのか。その葛藤と、選手たちとの間に生まれた「涙の絆」の物語に迫る。

葛藤の末に選んだ広報を続ける道

テゲバジャーロの広報としてクラブとサポーターをつなぐ架け橋となっている松本理穂さん。

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松本さんのSNS戦略で、2026年1月時点のフォロワーは、前年同月比でX(旧Twitter)...122%(+3715人)、Instagram...289%(+5663人)、TikTok...1767%(+1700人)と飛躍的に増加している。

だが、松本さんは宮崎に来る前、30代を迎え自身のキャリアを再考し、一度はサッカークラブでの仕事を離れる決断をしたという。

そんな松本さんを高く評価し、スカウトしたのがテゲバジャーロ宮崎の宮本功社長だ。

テゲバジャーロ宮崎 宮本功社長:
大分トリニータを離れるときに、とても別れを惜しんでもらえていた。とても可愛がってもらえていて、お客さんがそれだけ近い存在になっていたというのは間違いないと感じた。松本さんが(お客さんに対して)自分事のように見ていたのが大事なことだと思っている。

縁もゆかりもない宮崎の地で広報を続ける決断をした松本さんだが、「正直に言うと、本当に良かったのかと迷うことも多く、何か役に立てているのかと思うこともあった」と着任当初の心境を語った。

それでも、クラブのために日々奮闘する松本さんの思いは、選手たちにも届いていたことを象徴する出来事があった。

2025年12月14日、J2昇格をかけたプレーオフの決勝。

決戦の地・鳥取には多くのサポーターが駆けつけると共に宮崎からも熱い声援が送られ、相手のFC大阪に4-0で圧勝した。

クラブとサポーターがひとつになり、“宮崎総力戦”でつかんだ歴史的な勝利だった。

そして、歓喜の中で「J2昇格」のボードを掲げての記念撮影。カメラで撮影をしていた松本さんに対して、選手たちから「松本さん!松本さん!」と声が上がる。

戸惑った松本さんだったが、選手たちの声に促されて中央に立ち、目に涙を浮かべながらボードを高々と掲げた。

テゲバジャーロ宮崎 広報 松本理穂さん:
広報が中央で掲げるのは見たことがない。だけど、みんなが一員にしてくれた感じがして、すごく嬉しかった。宮崎に来た時、ひとりぼっちというか孤独感があったが、こんなに仲間がいっぱいいるんだと思って、すごく大事にしたいと思った。

 

下川陽太キャプテン:
選手と同じ気持ちで松本さんも戦ってくれたと思うから、同じように喜びを共有してほしかった。松本さんが掲げてくれた時に、僕もちょっとうるっとした。

 

テゲバジャーロ宮崎 ​広報 松本理穂さん:

この瞬間はすごく“最終回”のような気持だった。このまま終わってもいいのではないかと思うほど、やり切ったという充実感があって嬉しかった。でも、長い歴史の中では“ここから始まる”。

J2昇格で広報活動はますます重要に

“昇格は始まり”。テゲバジャーロの挑戦は続く。J2リーグを戦い抜けるように、さらなるレベルアップに取り組むチームに対して、松本さんの広報活動もますます重要になっている。

より多くの人にスタジアムに来場してほしいと行ったのが「街中ポスター大作戦」。クラブとサポーターが合同で街中の店舗を回ってポスター掲示を呼びかける、初めての取り組みだ。宮崎市や新富町など6つの市や町で行われた。

松本さんは「クラブだけでやるのではなく、サポーターと一緒にやることに意味がある」と話す。

松本さんはホームゲームに合わせてイベントも企画。開幕戦では、バレンタインデーの「チョコお渡し会」が行われた。こういった取り組みは、サポーターがスタジアムに足を運ぶきっかけになっている。

サポーター(広島県から):
きょうどころか、日程が発表になった時からずっとソワソワしていた。

サポーター(埼玉県から):
ジャーロくんに会うために宮崎に来ている。

 

テゲバジャーロ宮崎​ 広報 松本理穂さん:
いま、テゲバが宮崎に根差すとなった時に、その試合に何人来場してもらえたか、みんなを笑顔で帰らせることができたのかは、ひとつの結果として自分自身も喜びに感じるところ。

テゲバジャーロ宮崎​ 広報 松本理穂さん:
応援することが新しい“週末の楽しみ”のように広がっていって、それを当たり前にできたら、もっと宮崎が元気になると思う。その輪を広げることは、宮崎県や日本を元気にすることにつながるのかなと思っている。

サポーター:
本当に来てくれて良かった。大好きですね。

下川陽太キャプテン:
より活気あふれるクラブにしてくれているのが松本さん。僕たちも松本さんに感化されてより頑張ろうと思えるので、いい刺激をし合える仲間だと感じている。

“広報がクラブを強くする”
覚悟を持って挑戦を続けてきた松本さん。

テゲバジャーロ宮崎 広報   松本理穂さん:
クラブの成長を自分もすごく感じている。そういう成長を届けること、みんなに見てもらえるのは、全国どのクラブ探してもあまりないと思う。ひとつひとつステップアップしている姿を見るのが自分自身も嬉しいし、楽しみ。

テゲバジャーロ宮崎は、今後も松本さんの支えを力に、さらなる飛躍を目指して挑戦を続けていく。松本さんが引き出す選手の「飾らない日常」が、なぜここまでサポーターの心を動かすのか。その戦略的な裏側や、驚異のフォロワー増を記録したSNS発信術については、前編で詳しく紹介している。

(テレビ宮崎)

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