福島県の内堀雅雄知事は3月16日の定例記者会見で、「福島県は地震・津波・原発事故・風評被害という複合災害であり、昨日ようやく“震災と原発事故から15年が経過した”と言える段階になった」とした。
地震と津波の発生は3月11日だが、東京電力福島第一原子力発電所での1号機の水素爆発は翌日の3月12日。3月14日には3号機で、3月15日には4号機で水素爆発に至った。
内堀知事は「地震、津波の起点で言うと3.11が全国的にもクローズアップされているが、原発事故によって福島県の複合災害が引き起こされ、15年間、本当に厳しい状況の中を復興に向けて歩んできた」とし、2026年度からは、これまで福島市で実施してきた3月11日の東日本大震災追悼復興祈念式を双葉町で実施することについて「地震・津波・原発事故・風評被害、すべての苦労を経験し、復興のスタートラインに立って未来に向かって懸命に取り組みを続けている双葉町、双葉郡、避難地域12市町村の近傍で追悼復興祈念式を行うことには非常に大きな意義があると思う」とした。


福島第一原発の事故をめぐっては、1号機で注水が間に合わず原子炉の水位が低下、発生した水素が原子炉建屋に広がり、2011年3月12日午後3時半過ぎに水素爆発が発生。この爆発により2号機や3号機で電源ケーブルが損傷し電源復旧作業に大きな影響を受けた。また、3号機も高圧注水系が停止すると水位低下・水素発生を招き3月14日午前11時頃に水素爆発が発生した。
2号機は水素爆発にこそ至らなかったものの、放射性物質をある程度取り除いてから気体を格納容器の外へ放出する「ベント」という操作ができず、高濃度の放射性物質が周囲に拡散した。
さらに4号機では、3号機の「ベント」に伴って放出された水素が流れ込み、水素爆発を引き起こすなど、連鎖的に事故が発生した。

原発事故後の除染で出た土は、福島第一原発周辺の中間貯蔵施設に運び込まれている。
2026年2月末時点で、中間貯蔵施設に搬入された除染土は約1427万立方メートル。東京ドーム約11個分に相当する。
除染土の行方は、大きく「福島県外最終処分」と「公共工事などでの再生利用」に分けられる。1kgあたり8,000ベクレルを超える放射能濃度の比較的高いものについては、熱処理などで量を減らしたうえで「県外最終処分」する方針。これは中間貯蔵施設に保管されている除染土の約4分の1にあたる。法律(中間貯蔵・環境安全事業株式会社法)において「中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」ことが国の責務として明記されているため、2045年3月までの県外最終処分実現が“約束”となっている
国は2035年を目途に候補地を選定するとしているが、具体的な場所の議論が深まっているとは言い難い状況にある。
また、県外最終処分以外の残りの約4分の3は「公共工事などでの再生利用」が計画されている。放射能濃度の低いものについては再生利用を推進することで、貯蔵されている除染土の量を減らしていきたい考え。福島県内での実証事業も進められているが、新宿御苑の花壇や埼玉県所沢市の芝生広場で利用する計画は、近隣住民の理解が得られず進んでいない。
政府は率先して理解醸成をはかろうと、2025年7月、トラック1台分に相当する除染土を首相官邸に運び込み、初の「再生利用」の事例とした。


廃炉や、除去土壌の県外最終処分が課題となるなか、2025年度には、帰還意向のある住民が帰還できるよう必要な箇所の除染を進める「特定帰還居住区域」が県内6自治体目として葛尾村に認定された。
内堀知事は会見でこれ以外にも、大熊町や双葉町での商業施設等の整備が進んだこと、県産品の輸出額が過去最高を記録したこと、台湾における日本産食品の輸入規制が撤廃され県産品の輸入規制をする国・地域が震災直後の55から5に減少したことなどに触れ、「これまで続けてきた挑戦の成果が目に見える形となって現れている」と強調。
一方で、現在も避難者が2万3000人を超えている状況などを踏まえ、「廃炉と汚染水・処理水対策、風評と風化の問題、急激に進む人口減少など、福島県はいまだ多くの困難な課題を抱えている」としたうえで「県民の皆様をはじめ、福島に思いを寄せてくださる多くの方々と力を合わせ、福島県の復興、そして地方創生をしっかり前に進めていきたい」と話した。

福島テレビ
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