北海道でいま、お墓の形が大きく変わろうとしています。
墓石を持たない供養法が全国で8割を超えるなか、札幌市でも合葬墓の需要が急増。さらに遺骨をジュエリーやガラス細工にする「手元供養」も広がりを見せています。
多様化するお墓事情を取材しました。
札幌市内で聞くと「散骨がいい」「樹木葬がいい」「自然な形で土に帰りたい」など、昔ながらのお墓以外を希望する声が多く聞かれました。
全国でお墓を購入した人の割合を見ても、新たに墓石を建てた人が約17%なのに対し、樹木葬が約48.5%、合葬墓が約14.6%と、墓石を持たない供養法が8割を超えています。
札幌市でも合葬墓の受け入れ数は想定を上回るペースで増え続けており、市は2030年までに新たな合葬墓を設ける方針を検討するほど需要が高まっています。
背景にあるのが、近年話題の「墓じまい」です。
札幌市中央区にある「お墓あんしん相談室」によりますと、少子化や非婚化によって墓を引き継ぐ承継者がいない家庭が増えているほか、管理費や掃除など維持の負担から「子どもの手を煩わせたくない」と、墓を解体・撤去するケースが増加しています。
墓じまいの費用は、墓石の撤去・解体工事で一般的に30万円から60万円。広い区画の場合は100万円ほどかかることもあります。
もし墓を維持管理する承継者がおらず、管理料の滞納が3年から5年続くと、「無縁墓」として解体・撤去され土地は更地に、遺骨は合葬墓に移されます。その際、ほかの遺骨と混ざるため、取り出すことは不可能になります。
札幌市の霊園でも約10%のお墓が無縁墓の可能性があるとされ、市は墓じまいを呼びかけるなど対策を強化しています。
墓じまい後の遺骨の行き先としては、樹木葬や合同墓、納骨堂を選ぶ人が多く、永代供養つきを条件にする人が大半です。永代供養は、遺族の代わりに霊園や寺院が永代にわたって遺骨の管理・供養を行う仕組み。北海道内の合同墓の場合、市町村で3万円以下で利用できるところが多いといいます。
札幌市内で新たに一般墓を建てる費用が100万円から180万円ほどかかるのに対し、樹木葬は40万円から150万円。さらに合葬墓は永代供養つきで3万円以下の場合が多く、破格の安さで人気となっています。
一方、近年注目を集めているのが、遺骨の一部を自宅に保管したり身につけたりする「手元供養」です。
明治30年創業の老舗仏具店「お仏壇のよねはら 札幌本店」では、遺骨を収めるペンダントや指輪などの“ソウルジュエリー”を取り扱っています。
担当者は「合葬墓は一度納骨すると取り出せないため、少しだけでも身近に置いて供養したいという方が増えている」と話します。
ソウルジュエリーは2000年代後半から注目され始め、最近では墓じまいや改葬をきっかけに購入する人が多く、男女兼用のシックなデザインも数多く揃っています。
また、ジュエリー以外には“ミニ骨壺”が人気。遺骨を収めておくことでお墓参りに出かけられない日でも、いつでも故人に手を合わせることができます。
さらに手元供養は進化しています。
2024年からサービスを開始した「虹の橋glass」では、遺骨をガラスの中に封印することに成功。
ガラス細工歴20年以上の職人が2000度以上の炎で、遺骨をガラスと融合します。まるで宇宙のように美しくガラスの中に浮かぶ大切な人の面影を、目で見ながら思いを馳せることができます。
京王プラザホテル札幌の地下1階にある「RITZ GLANDE(リッツグランデ)」では、遺骨を原料にダイヤモンドを生成。遺骨を炭素化し結晶化する特別な技術で、大切な人に永遠の輝きをもたらします。
多様化するお墓のあり方。春のお彼岸を機に、家族で考えてみてはいかがでしょうか。