北海道で暮らす働くママの1日を追いかける観察ドキュメント「ママドキュ」。

 子育ても仕事も頑張りながら働くママさんたちのリアルな1日をのぞくと、限られた時間で家事・育児をこなす究極の時短ワザの連続でした。

 今回の主役ママはむかわ町に住むあすかさん(43)。高校1年生の長女・ゆきねさんと中学2年生の次女・りんかさんの姉妹を育てるシングルマザーです。

 あすかさんの実家は酪農家。

 牧場の中で母と2人でチーズ工房を営んでいます。 

 子育てをしながらチーズ作り一筋19年。 


 研究を重ね作り上げたチーズは、JALファーストクラスの機内食に採用されるなど世界的にも評価されています。

 中には「ししゃもしょうゆ味」のチーズも。人気があって、むかわのお土産として買っていってくれる方もいいるんですって。


 「チーズも子育ても、待ったなしなところがある。子育てはひと段落しそうで全然しない」と話すあすかさんの1日に密着しました。


 午前7時20分、朝食。

 朝ごはんはトーストが定番。2人の娘は朝食よりも身支度に時間をかけたいお年頃。ママの愛情はパンの焼き具合に込められていました。

 お皿に水を入れてパンと一緒に焼くだけでスチーム効果で中はふわっと、外はサクッとおいしく焼き上がる100円ショップのグッズを愛用しています。


 通信制の高校に通う長女・ゆきねさん。昼食は自分で調理するので、ママはお弁当作りの負担が減り、助かっているそうです。

 「家にいてくれるのでご飯炊いておいてとか、頼める人がいるのはありがたい」と話します。


 午前8時、次女・りんかさんを車で15分の中学校まで送ったら、その足で仕事場へ向かいます。 

 あすかさんの実家は酪農家。牧場の牛舎を改装して16年前にチーズ工房を開業しました。


 午前8時20分、仕事開始。

 朝しぼりたての新鮮な生乳を使い、母・くにこさんと2人で8種類のチーズを作っています。 

 きっかけは実家の生乳のおいしさを多くの人に知ってもらいたいという思いからでした。


 「農協のタンクローリーが来て、いろいろいな牧場の生乳が混ざって、工場に搬入されるから、実家の製品というのがなくなっちゃう。実家の生乳で商品を作ったら、うちの生乳の味が残るので、酪農を継ぐなら加工をやりたいと中学生の時から思っていた」という、あすかさん。

 乳製品の加工を学ぶため、農業高校から酪農学園大学へ進学。チーズ作りの奥深さに魅了され、北海道のチーズ工房で3年間修業したあと、27歳の時に念願の独立を果たしました。 


 でも実は、長女を授かり出産したのもチーズ工房を開業した頃でした。 

 「子どもが生まれると保育園に預けたとしても、急な熱で呼び出しがあったり、チーズも子育ても待ったなし。子どもたちを車に乗せて配達をしたりもした」とあすかさん。

 当時は「なぜこのタイミングで」と葛藤したこともあったそうです。


 あすかさんは「子育てがひと段落してからチーズ工房を開業という発想もできなくもなかったけれど、子育はひと段落しそうで全然しない。きっと子育てが落ち着いてからだったら、子どもたちが成人して、母くらいの歳になってからやろうか、となっていた。振り返ってみると、やっぱりあのタイミングがベストだった」と話してくれました。

 午後2時30分、チーズの納品にやってきたのは、むかわ町にある「ぽぽんた市場」。

 あすかさんの作るチーズを特別価格で購入することができます。


 ししゃもしょうゆ味の「ストリング しおかぜ」が一番人気。むかわのお土産として買っていく方もいるのだそう。

 チーズの納品のついでに、直売所で夕食の買い物もすませます。

 むかわ産の野菜や加工品が安く豊富に並ぶ、人気の直売所。

 ミネストローネ風のスープとピザを作ろうと、むかわ産のキャベツと、むかわでとれたトマトから作ったチューブタイプのトマトソースを購入。


 特にいまの時期、重宝しているのが「冷凍トマト」。

 トマトが有名なむかわ町ですが、トマトがない今の時期、農家さんが冷凍した状態で納品してくれるんですって。


 開催される東京の物産展に並ぶチーズを出荷して、この日の仕事は終了です。 

 午後5時45分、夕食づくり。夕食はもちろんチーズづくしです。

 スーパーで買ったピザ生地にソースを塗って、切り落としのチーズとピーマンをのせたら、あとはオーブンにおまかせ。

 その間に2品目「ミネストローネ風のトマトスープ」を作ります。次女のりんかさんもお手伝い。

 そのとき家にあるものを活用。冷凍のシーフードミックスをたっぷり入れました。

 直売所で買った冷凍トマトも投入。

 水にさらすとスルっと皮がむけるので、湯むき不要。凍ったまま調理に使えるので時短になります。

 生のトマトより半解凍くらいのトマトの方が切りやすいんですって。

 水はほとんど入れず、野菜の水分で煮込んでいきます。


 ミネストローネを煮込んでいる間に、3品目はラーメンサラダを作ります。

 「(子どもたちが)中高生にもなると、美容とか健康の意識が高くなってくるので、手抜きをしてジャンクなものばかり出すと、お肌に悪いとか気になるお年頃なので…」と娘2人のことを気づかうあすかさん。

 「これだけで一気に豪華に見えるので」と酸味のきいたチーズをたっぷりとかけて完成です。

 ミネストローネにも、仕上げにチーズをたっぷり投入。

 チーズの塩分とうま味で味がととのうんですって。

 ほぼ冷凍トマトの水分で、野菜のうま味が凝縮したミネストローネの完成です。

 野菜たっぷり、娘たちの美容と健康を考えたチーズ職人ママが作る夕食が完成しました。 

 午後6時35分に夕食。家族そろって食卓を囲みます。

 「『いまダイエットしてるから』と言ったら、ご飯に気を使ってくれたり、ヘルシーな汁物や温まりやすいものを作ってくれる」と長女・ゆきねさん。

 「チーズ屋さんになりたい。チーズを作っているお母さんがかっこよかったから」と次女・りんかさん。

 その言葉を聞いて「泣いちゃいます」とあすかさん。娘たちと「チーズ工房を大きくしたいね」という話をするのだそう。

 「むかわ町は観光地でもないし、田舎でおいしいものを作ってるところはたくさんあると思うけど、知られずに埋もれてしまう。どこかで知ってもらうきっかけがないと」とあすかさん。

 子育てが落ち着いたいま、さらなる高みへ。日本を飛び出し、“あすかのチーズ”を広めています。


 仕事中にラジオアプリで「ビジネス英語」を聞きながら英会話を勉強。

 「海外で、英語でチーズを売り込めるようになるぐらい話せたらいい」とあすかさん。

 「自慢のチーズを世界へ…」あすかさんのチャレンジは続きます。

北海道文化放送
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