埼玉県の病院で抗がん剤の注射後に患者が死亡した問題。
今後、警察が調べるという事態になっているわけですが、元埼玉県警の佐々木成三さんと見ていきます。
青井実キャスター:
本当に信じられないことが立て続けに起きたわけですよね?
元埼玉県警・佐々木成三さん:
最悪な結果が出た以上、警察が認知したのは被害届うんぬん関係なく、この事実を明らかにしなければいけません。その中で、かなり慎重な捜査が行われると思います。
今回この問題が起きたのが埼玉県立小児医療センター。
小児患者に対して高度な医療を提供している病院です。
異変が起きたのは、白血病治療のために抗がん剤の注射を受けた3人の患者です。
2025年1月には10歳未満の男児が重体に、2025年3月には10代の男性が重体に、2025年10月には別の10代男性が太ももの痛みなどの症状が出たあと亡くなったということです。
3人からは通常使われない「ビンクリスチン」という薬液が検出されているということです。
このビンクリスチンという薬剤は、白血病や悪性リンパ腫などに用いる薬です。
血液の中に投薬する静脈注射で使われるもので、脊髄周辺の髄腔内注射には使用しないものです。
ただ今回、髄腔内注射の治療を受けていた3人の患者の髄液からは、検出されないはずのビンクリスチンが検出されたということです。
今回のこの問題について、医療ジャーナリストで武蔵大学准教授の市川衛さんは「日本の血液内科専門病棟では起こりうると思えないが、現場の運用次第で取り違えミスという可能性は絶対ゼロとは言い切れない」と話していました。
青井実キャスター:
佐々木さん、いろんな可能性があるわけですが、病院の調査ではビンクリスチンの投与は確認できず、事故と事件の両面の可能性があるとして今回、警察に届け出したと。どういうことが考えられると思いますか?
元埼玉県警・佐々木成三さん:
もちろん病院は重大なインシデント、つまりこういった事故を防ぐために構造・仕組みがしっかりしているのは間違いないと思うんですよ。ただ、それなのに1年間という短い期間で3件もの事故が起きているということは、警察はかなり慎重に見なければいけないと思うんですね。ビンクリスチンというものが、どこで投与されたのかは間違いない事実になるので、その捜査はかなり慎重に行わないといけないと思います。
これに関して、11日の会見では、抗がん剤注射を打つまでの流れについても説明がありました。
まず薬剤師が、薬剤部の部屋にある「無菌調剤室」で薬剤を調剤します。
ここで調剤されたものが看護師が病棟に移動させ、最後に医師と看護師が患者に投与するという流れで行われていました。
調査対策委員会が調査を行っていますが、小児医療センター側は、この3つのタイミングは「手順どおりで落ち度はなかった」としています。
この点に関して、医療ジャーナリストで武蔵大学准教授の市川衛さんは「3回続いたことを考えると、あらゆる可能性の1つとして、あえてそれをしたという人がいた可能性は捨てきれないものの、故意ではないヒューマンエラーが起きていた可能性もある」と指摘しています。
宮司愛海キャスター:
佐々木さん、この病院側が言っている「落ち度はなかった」というところはどう受け止めますか?
元埼玉県警・佐々木成三さん:
もちろん警察もあらゆる可能性を考えた捜査をしないといけないんですが、故意ではないヒューマンエラーが1度ではなく3度起きているということは、運用に不備があったのではないか。これも疑わざるを得ない状態になりますので、警察においても、薬の管理状態、セキュリティーカードの管理状態、いろんなものを含めた捜査が必要になってくると思います。
会見ではセキュリティーカードの管理についても言及がありました。
ビンクリスチンが保管されている薬剤部に入るにはセキュリティーカードが必要で、薬剤師以外が入ることは考えづらいということです。
保管庫は専用で、他の薬と混ざらないように保管されているといいます。
さらに調剤に関しては、ヒューマンエラーが起きないように指示書に基づいて行われ、今回の3人の調剤を担当した薬剤師は「指示書に基づいて調剤した」と説明しているということです。
青井実キャスター:
金子さん、病院がミスが起きないように対策をしているように見えますが、この辺りどうですかね?
SPキャスター・金子恵美氏:
手順が一見正しくても、その時の患者さんの状況や医師の判断が患者さんにとって完璧であるということは限らないということはあって、こういった医療事故は起こり得るわけですよね。ですから今回の事案が起きた以上、他の医療行為に対して現場が委縮しないよう、今回の事案の原因究明をしっかりしてほしいと思います。
青井実キャスター:
佐々木さん、警察に捜査が移ったわけですが、今後、どんな捜査をしていくんでしょうか?
元埼玉県警・佐々木成三さん:
まず、かなり難しい捜査になることは間違いないと思いますね。去年、1年以上前の事件もそうですし、10月の事件も半年ぐらいたってる中で、防犯カメラの映像がどこまで保存されているのか。こういったことに関しては今、慎重に行う中でもスピードも必要になってくると思いますので、病院側が調査の段階でどのような資料を持っているのか、これは警察にぜひ積極的に提出していただいて、事案の解明をしていただきたいですね。
青井実キャスター:
故意の可能性について、病院が「全ての可能性を否定できない」と答えているわけですが、この辺りはどうでしょうか?
元埼玉県警・佐々木成三さん:
もちろん今の段階では故意・過失というのはまだ分からない状態。ただ先ほども言いましたが、偶然起こり得ないことが3度起きていますから、それは慎重に警察は考えなければいけないと感じています。
青井実キャスター:
まずは患者の皆さんが安心できるような、経緯だったり原因究明を求めたいと思います。