シカやイノシシなど野生動物の捕獲に必要な狩猟免許。この狩猟免許の取得を目指す人がいま増えていて、2026年は試験の受験者数が前年から急増した。一体なぜなのだろうか?

クマ対策に関心高まる 講習会は“大盛況”

2026年1月に静岡市葵区で開かれた講習会。

狩猟免許の取得を目指す人たちが散弾銃の扱い方や罠の仕掛け方を学んだ。

この記事の画像(6枚)

自衛隊に約15年間所属していたという男性は「ニュースなどでクマが問題になっているのが大きな理由」と参加した動機を打ち明け、消防士をしているという女性も「クマなど獣害のニュースが増えているので、農作物などを守れるように」と口にした。

主催者によると、参加希望者が定員を超えたため、追加の日程が組まれるほどの盛況ぶり。

なぜ、いま狩猟免許の取得を目指す人が増えているのだろうか? 

現役警察官も“参戦” 過去最悪のクマ被害

県民からの110番通報を受け付ける静岡県警察本部 通信指令課の佐藤真 巡査部長。

野生動物の危険性が高まっていることから、所属先でも上司から常々スキルアップするよう求められているといい、「どうしたらよいか考えた時、自分も狩猟免許を取得し、猟友会から直接指導を受けたいと思った」と話す。

災害級とも称されるほど、全国で相次いだクマによる被害。

環境省のまとめでは、全国で確認されたツキノワグマの出没件数は4万件以上(2025年度)と、すでに過去最多を更新し、死者も13人に上っている。

このため新たに始まったのが、クマが生活圏に侵入した場合や猟銃の使用以外に捕獲が難しい場合など、4つの条件をすべて満たした時に限って自治体の判断で駆除することができる緊急銃猟だ。

静岡県内では人身被害こそ出ていないものの、富士宮市や静岡市を中心に多くの目撃情報が寄せられた。

こうした背景もあってか、2月に行われた狩猟免許試験の受験者数は静岡県だけでも359人と前年の倍近くに急増。

この日も、佐藤さんは仕事の休憩時間を使って銃の所持免許を持つ先輩からアドバイスを受けるなど、狩猟に必要な知識の向上に余念がない。

今後は警察と猟友会のパイプ役のような存在になりたいと意気込む。

オリンピアンの夫も応援 若き女性が免許取得を目指すワケ

一方、御殿場市に住む林沙代さん(31)。

曾祖父が狩猟に携わっていた話を幼少期に祖父からよく聞いていたほか、自身もアメリカに留学していた際、銃を取り扱った経験があるという。

このため、「農作物を一生懸命作っている人がイノシシやシカの被害に遭い、頑張って作ってきたものがなくなってしまったり、クマの被害に遭われたりしている人もいるので、猟友会に入り社会貢献できるように頑張りたい」と、狩猟免許取得を志望した理由を明かす。

馬場馬術で東京五輪に出場した経験を持つ夫の伸伍さんも、チャレンジを重ねて来た自らの人生と重ね合わせ沙代さんの挑戦を見守っていて、「僕自身もスポーツを通して、いろいろな社会貢献をしたい気持ちを常に持っている。昨今、ニュースでクマ(に関する話題)が増えているのは僕も気にしているので、困っている人の助けになればすごく良いこと」と背中を押す。

夫の伸伍さん(左)
夫の伸伍さん(左)

クマと人との距離感が以前と比べて変わる中、どのようにして人的被害を防いでいくのか。

強い思いと安全への意識、そして確かな技術を持ったハンターの育成が急務となっている。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
テレビ静岡

静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。