国内で初めての配備となる、敵基地の攻撃が可能な長射程ミサイルの発射機などが、3月9日未明に熊本市東区の健軍駐屯地に搬入された。こうした中、九州防衛局は9日午後4時すぎに『12式地対艦誘導弾能力向上型』を、3月31日に健軍駐屯地に配備することを明らかにした。

健軍駐屯地では賛成派と反対派が

3月8日午後11時ごろ、熊本市東区にある健軍駐屯地正門前では、熊本県警の機動隊員がバリケードを設置し、門の前ではミサイルに反対する側と賛成する側の小競り合いが断続的に起きていた。

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『長射程ミサイルの発射機などが搬入される』との報道を受け、8日夜、健軍駐屯地の周辺ではミサイル配備に反対する市民団体のメンバーらが緊急集会を開き、プラカードなどを掲げ抗議の声を上げた。

STOP!長射程ミサイル・県民の会の山下雅彦代表は「『許せない』の一言。不意打ちのように抜き打ちで、このような暴挙に出た。(ミサイルの)撤去を第一の目標に掲げながら説明を求め続ける」と話した。

これに対し、配備に賛成するグループも周辺に詰めかけ、反対派の集会に罵声を浴びせるなどしたため、警戒に当たっていた警察官が制止する一幕もあり、深夜にもかかわらず、周辺は騒然となった。

9日午前0時すぎに車両が健軍駐屯地に

こうした中、9日午前0時すぎ、発射機などを搭載した車両が健軍駐屯地へ。

台湾有事などに備える南西諸島防衛の主力として、政府が配備計画を進めている国産の長射程ミサイル『12式地対艦誘導弾能力向上型』。

射程約1000キロで、ミサイルの迎撃にとどまらず、敵の射程圏外からも艦艇や基地を打撃できる能力を持ち、4年前に閣議決定された安保三文書に掲げられた『スタンドオフ防衛能力』の要とされている。

防衛省はこの長射程ミサイルの国内初の配備先について、既に『12式地対艦誘導弾』の運用と整備能力を持つ部隊がある健軍駐屯地としていた。

木原官房長官「答えは差し控えている」

木原官房長官は9日午前の会見で、これまで『部隊配備について3月末までに行う計画で、必要な準備が整い次第、地元に事前に伝える』としていた方針について、改めて説明した。

木原官房長官は「一般に『部隊配備』とは装備品が運用可能な状態に入ることを指す。一方、装備品の搬入というのは、あくまでも配備先の部隊が所在する駐屯地に装備品を運び入れることで、部隊配備の準備行為という位置づけ。装備品の搬入に係る詳細については、これまでの全ての装備品について、部隊運用の保全や輸送の安全を確保する観点から、答えは差し控えている。今回だけではない」と述べた。

木原官房長官は改めて部隊配備については、木村知事や大西熊本市長から丁寧な説明を求められていることから、「これに応えるべく緊密に連携しつつ対応している」と述べた。

熊本県や熊本市にも事前に説明なく…

熊本市の大西市長は7日夜、「報道により知る形となったことは大変遺憾」とするコメントを発表。

9日午後に報道陣の取材に「我々は国の防衛政策に対し、いちゃもんをつけるつもりはない。健軍駐屯地は住宅地の真ん中にあり、隣に病院などいろいろなものがある中、これまで長く自衛隊との信頼関係の中で共生してきた。そういう意味で、自治体に対し一定の配慮や住民への配慮・説明に、もう少し真摯に向き合ってもらわないと困る。自治体の首長として強い言葉になるかもしれないが、はっきり申し上げないといけないと思っている」と述べた。

一方、防衛省に対して地元への丁寧な説明を求めてきた木村知事は、熊本県に対しても事前の説明がなく、先に報道へ情報が漏れたことに苦言を呈した。

木村知事は「丁寧な説明を県や熊本市が求めてきた中で、装備品の展示会を行う方向だと連絡を受けている。今回、展示会をやる以上は説明をすると思うし、自治体にもそうだが、地域住民にも説明を尽くすしかない。また一方で、情報管理は徹底してほしい」と述べた。

九州防衛局は9日午後4時すぎに『12式地対艦誘導弾能力向上型』を、3月31日に健軍駐屯地に配備することを明らかにした。

これに先駆け、3月17日に健軍駐屯地で、木村知事や大西熊本市長、健軍駐屯地がある東区の自治会長などを対象に、『12式地対艦誘導弾能力向上型』を展示し、伊藤和己九州防衛局長などが装備品について説明を行うという。

(テレビ熊本)

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