熊本地震の発生から2週間余り。例年なら帰省客や旅行客でにぎわうお盆の鹿児島が、2026年は例年とは大きく異なる様子を見せている。磯海水浴場のそばで長年営業を続ける人気餅店は、「レンタカーが動いていない。地元のお客さんが来てくれる。本当にそれだけでもありがたい」と、善意に支えられながら静かな盆休みを過ごしていた。

人出は少なくても、海水浴場には家族連れの姿

8月13日午前中の鹿児島市・磯海水浴場。強い日差しのもとで波の音が響く中、浜辺に集まる人の数はいつもよりも明らかに少なかった。それでも、家族連れが水辺で笑い声を上げる光景はそこにあった。

この記事の画像(7枚)

静岡から帰省したという人物は、「台風の影響で飛行機が飛ばなかったら帰れなかったかもしれない。熊本までの新幹線が止まっていたので、飛行機が飛べば帰れるけど、飛ばなければ帰れないね、と話していた」と振り返る。交通手段が寸断された中でも、なんとか鹿児島に戻ることができた安堵感がにじんでいた。

東京から帰省した人物も、「あす東京に帰ります。磯海水浴場には毎年だいたい来る。いつもより人が少ない。いつもはもっといたような気がする」と語った。

2歳の息子と水遊びを楽しもうと鹿児島市内からやってきた親子の言葉も、状況をよく表している。「お盆休みで近場で遊ぼうかなと思って。高速がやっぱり使えないので、近場で」。熊本地震による高速道路の通行規制が、地域住民の行動範囲にまで影響を与えていることがうかがえる。

「この時間はレンタカーで道が埋まるくらいだったが……」

磯海水浴場のすぐそばに店を構える「ぢゃんぼ餅 平田屋」は、観光客にも地元客にも愛される人気店だ。お盆の時期はとりわけにぎわいを見せ、例年なら開店前から行列ができるほどだという。

人気店「ぢゃんぼ餅 平田屋」の両棒餅
人気店「ぢゃんぼ餅 平田屋」の両棒餅

しかし2026年のお盆は、まるで別の光景が広がっていた。

店主の平田いずみさんは、「にぎわいが……下を向いていますよ。観光の人がいらっしゃらない。全然姿が見えない。ご覧の通り閑散としている」と表情を曇らせる。13日は開店から約1時間で、持ち帰りも含めて来店したのは数組だけ。店内はがらんとしており、観光客の姿はほとんど見当たらなかった。

特に顕著なのが、店の前を行き交う車の変化だ。平田さんは「レンタカーが動いていない。この時間(午前中)はレンタカーで道が埋まるくらいの感覚だったが全然見かけない」と話す。近隣の仙巌園方向へ向かうレンタカーが列をなすのが通常のお盆の光景だったが、今年はその流れがほぼ消えてしまっていた。

例年のお盆はレンタカーが列をなす道路
例年のお盆はレンタカーが列をなす道路

観光客が激減した背景について、平田さんはこう分析する。「鹿児島に、九州に来ない。観光客の方たちが。大変ですよ、福岡から来るにしても陸回りとか。鹿児島に来るのを諦めた方も多いと思う」。熊本や福岡から鹿児島へアクセスする交通手段が大きく制限される中、九州外からの観光客にとって鹿児島は一段とたどり着きにくい場所になってしまっている。

地元客の来店が「ありがたい」——善意に支えられる観光地

にぎわいが遠のく中、平田屋を支えているのは地元の常連客たちだ。「地元客が来てくれる。本当にそれだけでもありがたい」という平田さんの言葉には、苦しい状況の中でも感謝の気持ちがにじんでいる。

熊本地震の発生から2週間余り。被害を受けたのは熊本だけではなく、交通網の寸断や風評によって、鹿児島をはじめとする周辺地域の観光業もその余波を強く受けている。磯海水浴場やその周辺に集まる人々の様子は、地震がいかに広範囲にわたって地域社会に影響を与えているかを静かに物語っている。

地元の善意に支えられながら、鹿児島は例年よりも静かなお盆を迎えている。

【動画で見る▶「観光客が来ない」「近場で遊ぼうと思った」観光地はいつものお盆と違った様子 鹿児島】

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。