飛躍的な進歩がみられるAI(人工知能)。
今、アニメ制作の現場で革命的な変化を起こしているんです。

訪ねたのは、東京・千代田区にあるアニメ制作会社「DLE」。
アニメ「秘密結社鷹の爪」など数々の作品を手掛けています。

この会社の代表は、「秘密結社鷹の爪」の監督で主人公・吉田くんの声も担当している小野亮さんです。

2025年、業界に先駆けてAIを活用した映像制作スタジオを設けました。

生成AIを活用し制作しているショートアニメ「小泉八雲のKWAIDANの世界」は1話、約3分。
アニメ風と実写調の異なるタッチで映像化しています。

その制作現場をのぞいてみると、制作チームは監督の小野さん以下4人。

描きおろしのオリジナルキャラクターデザインから絵コンテに沿って、シーンごとの画像を生成AIを使って作り出していきます。

例えば雪女が男性に息を吹きかけ凍り付かせるシーンでは、「雪女が男を横抱きにして抱きかかえている」「雪女の表情は静かで感情を感じさせない冷たい美しさ」と生成AIに対し、プロンプトと呼ばれる文章で顔の表情や背景などを指示していきます。

ところが出来上がりを見てみると、なかなか絵コンテのようなイメージどおりにはなりません。

そこで「赤ちゃんを抱きかかえているような」と新たな指示をしましたが…。

AIアニメスタッフ:
赤ちゃん出てきた。「赤ちゃんを抱きかかえているような」とか入れちゃうと本当に赤ちゃん出てきちゃう。

それでも、さらに細かな指示を追加するなど修正を重ねると、ようやくイメージどおりの画像に。

この画像をもとに、さらに指示を加え動画を作成していきます。

いわば、絵心がなくてもアニメーションが作れてしまうAIアニメの現場。

スタッフの中には、アニメ制作の経験がないという人も。

AIアニメスタッフ:
テレビのバラエティーのAD、ディレクターをずっとやっていて、アニメは一切やったことがない。カット割り、カメラワークは自分が経験しているものを生かしている。

革命的な変化を起こしつつあるAIによる映像制作。
その最大のメリットは、制作期間の短さです。

「DLE」では、3分程度のショートアニメを作る場合、従来の手法では3週間程度かかっていましたが、AIを使用するとわずか4日で作ることができるようになったといいます。

DLE・小野亮社長:
魅力的に感じているのは早く作れるというポイント。ディレクターと呼ばれる人たちが直感的にすぐ作ることができる。

かつては作画から編集、声の出演までほぼ1人で完結させる制作スタイルだったという小野さん。
AIに大きな可能性を感じているといいます。

DLE・小野亮社長:
自分の描ける絵の中でしか世界観を構築できなかった。そうなるとちょっとチープな…チープというとなんだか…。リミテッドアニメーションしか作ることができなかったが、AIを使ったら自分の表現の幅が広がった。

一方で、生成AIを使ったアニメ制作はまだ発展途上。

複雑な動きを表現することに難しさが残るなど、多くの課題があります。

また、AIによって生成された著作権侵害にあたる動画がネット上で拡散され問題になることもあり、AIの活用は賭けだったとも話します。

DLE・小野亮社長:
ずっとアニメーションを作っている会社が生成AIを使うのはリスクは大きい。「なんだよあいつら 魂売ったのか」というふうに言われるのではないか、炎上するのではないかというおそれはありましたけれども、ネガティブに反応する人は意外といなかった、少なかった。映像は何よりも企画とシナリオと演出。今までになかったエンタメもAIで作っていくというのは我々の大きなテーマになっている。

「DLE」ではAIを活用し、観客のアバター、分身が作品に参加することでストーリー展開が変わるインタラクティブ映画を開発するなどAIの新たな形での活用も模索しています。

TSKさんいん中央テレビ
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