ことしは熊本地震から10年となります。地震で被災し復旧工事が続く熊本城で石垣の耐震化を目的とした新たな工法を4日、熊本市が提案しました。揺れにも強く景観を損ねないのが特徴です。去年、石川県で行われた模型実験に密着しました。
熊本城の石垣積み直しの際の耐震補強は観光客の入り口となる小天守穴蔵付近や再建が進む飯田丸五階櫓などで行われています。
このうち飯田丸では、石垣内部の栗石に敷かれた補強材が動かないよう固定するための受圧板が築石の表面に露出していて、一部の観光客から「景観を損ねている」という声が寄せられていました。
こうした課題を解決するための新たな石垣の補強方法を探る実験が石川県の金沢大学で行われました。
実際の築石と同じ比重で10分の1サイズの模型を積み、段階的に振動させることで耐震性を測ります。
まずは補強なしの場合・・・
【石垣模型崩れる】
震度6弱相当の揺れで崩れてしまいました。
後日、今度は同じ石垣の模型に補強を施し同様の実験を行います。
【扇精光コンサルタンツ 山口 昌紘さん】
「こういうネット状のものを中において、あとは石ですね。石にひも状のものを付けて、これとネットを固定して石垣全体の強度を上げる、そういったことを今回やろうとしています」
補強は栗石にシートを敷き、築石につけたひもと固定します。
無補強で崩れた震度6弱相当を難なくクリアすると…
震度6強、震度7でも築石は崩落しません。
そして・・・。
【山口さん】
「これは熊本地震よりも大きいレベルというか、だいぶ大きなレベルの地震になります」
熊本地震をはるかにしのぐ震度7以上に相当する揺れにも模型石垣は耐えました。
【熊本城総合事務所 復旧整備課 田崎 昌平さん】
「大地震それ以上でも崩れないということが分かったので、この模型が一つの指標となって今後はこれを現場に取り入れることによって安全な石垣が構築できるのではないかということが分かった」
そして今日の専門家を交えた委員会で、この実験結果を踏まえた新しい工法が熊本市から提案されました。
委員からは・・・。
【杉本 知史 委員長崎大学大学院准教授(土木工学)】
「熊本城だけでの話ではなく、全国の城郭の数少ない考察した実績。『熊本モデル』的な形にもつながってくるのではないか」
【山尾 敏孝 委員長 熊本大学 名誉教授(土木工学)】
「補強効果があることは間違いない。どういう条件で使っていくのかが重要なので、今後の検討はやってほしい」
【千田 嘉博 委員 名古屋市立大学教授(考古学)】
「今回の実験は画期的な成果。地震に耐えられる補強策がいろいろなパターンでどのくらい耐えられて効果があるのか詳細に分かったのは初めてですね」
熊本市では、実物大の石材を用いてベルトの接続方法を検討するなど実用に向けた検証をさらに進める方針です。