2月28日に始まったアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が続いています。

日本時間の3月3日午前1時頃、イランへの攻撃開始後、初めて公の場で演説を行ったトランプ大統領は「長期戦にも対応できる」との認識を強調。
一方イランは、イスラエルや周辺国への報復攻撃を強めています。

懸念されるのは経済への影響です。サウジアラビアのラスタヌラ製油所が3月2日、ドローン攻撃を受け閉鎖したほか、石油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となっています。
『サン!シャイン』の取材に対し、タンカーを所有する日本の海運会社は…

〈日本郵船のコメント〉
「ホルムズ海峡の航行を取りやめています。ペルシャ湾側にいる船に関しては、湾内で安全確保の上で待機させています」
〈商船三井のコメント〉
「現在はホルムズ海峡の航行をしていません。関係船は安全な海域で待機させています」

船舶の安全は確保されているといいますが、日本時間2日朝のニューヨーク市場では、中東情勢を受け原油価格が、国際取引の指標となる先物価格で一時1バレル=75ドル台と、約8カ月ぶりの水準まで値上がりました。
今後、日本の石油は大丈夫なのでしょうか?

高市早苗首相:
石油備蓄については、現在254日分があるということでございます。
2日の国会で高市首相は、十分な備蓄があり、直ちに影響はないとしていますが…
ホルムズ海峡“封鎖”で、私たちの暮らしにどのような影響が想定されるのでしょうか?
ホルムズ海峡と日本経済の関係
日本は原油の約95%を中東に依存している中、このうち約8割がホルムズ海峡を通って輸送されています。
さらに、LNG(液化天然ガス)も日本の輸入分5%程度がホルムズ海峡を通過しています。
原油・LNG相場の上昇基調が強まると、夏頃以降電気・ガス料金が上がる恐れもあります。

渡辺和洋アナウンサー:
電気・ガスの料金に影響が出てくるのはすぐではない。ただ、これがどれぐらい続くのかによって影響の度合いが変わってくるということですよね?

野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏:
影響がすぐ出てくるのはガソリン価格です。ガソリン価格は海外での原油市場と為替の2つで決まるので、為替が動かなければ海外の原油価格の上昇と同じ幅で国内のガソリン価格は上がる。これは1週間ぐらいで影響が出てくるということですね。
次に影響が見えてくるのは電気・ガス代で、これは3、4カ月ぐらいで原油価格が上がったのに対して2割ぐらい上がると。
それから、例えば原油を使った製品ですと、プラスチックとかビニールとかいったものに値段が波及して、さらに、ガソリンの値段が上がると物流コストが上がるので、トラックとかで運ぶものの値段が全体的に上がって、日用品とか食料品が全体的に店舗で値段が上がってくる。これが多分数カ月か半年後にはそういう形で出てくる。非常に時間をかけて物価の上昇が広がってくるということだと思います。
木内氏の試算によると、
原油輸送支障が長期化した場合…
原油価格は1バレルあたり87ドル、ガソリン価格は204円/Lという見立て。
最悪(ホルムズ海峡完全封鎖)の場合…
原油価格は1バレルあたり140ドル、ガソリン価格は328円/Lという見立てです。

木内登英氏:
完全に封鎖されるかどうかは別として、(ホルムズ海峡の)運航の支障が続くというのが、例えば数カ月から半年とかというのが長期化のイメージです。
その場合、原油価格は20ドルぐらい上がるということで、87ドルというのは2024年にイランとイスラエルが交戦した時のピークの水準で、先週末と比べるとWTIで20ドルぐらい上がると。30%の上昇になって、国内のガソリン価格に換算すると200円を超えてくるという。
実際それまでに政府の対策が取られる可能性はあると思いますが、何もしなければそのぐらい上がってしまうということです。

谷原章介キャスター:
ガソリン価格が上がっていくと企業の業績に影響を与えていくと思うんですが、そういったことが例えば為替だったり株価への影響って考えられますか?
木内登英氏:
きのうだといわゆるリスクオフという動きになってまして、株価は一瞬1300円ぐらい下がりましたし、安全資産の国債が買われるということなんですね。
ただ、予想外だったのは円安がちょっと進んでいて、普通はリスクを回避しようとすると円が買われるというのが今までの傾向なんですが、例えばこういうショックがあったんで日本銀行が利上げがすぐできなくなるという見通しとか、あるいは政府が積極財政で物価高対策をやるという期待から円安になっていると。円安になると実は原油価格の上昇がまた円建てで増えるので、事態がちょっと悪くなってしまう可能性がある。
経済的にも打撃を受けますし、さらに日本は原油を輸入に依存しているわけなので、その価格が上がると貿易収支が悪化する。これも円安要因になってしまって、また円安と物価高の連鎖につながっていく可能性が出てきます。
収束のカギはトランプ大統領
谷原章介キャスター:
ホルムズ海峡の封鎖解除までどのくらいかかると思いますか?

中東情勢に詳しい
放送大学 名誉教授 高橋和夫氏:
要するに戦争が終わらなければ、イランは封鎖解除とは言いませんよね。
今は、ある石油が出てこなくなるんじゃないかと心配しているんですけど、すでにサウジアラビアとかクウェートとかカタールのガス施設、石油関連施設への攻撃が始まっていますから、石油そのものがもう生産されないという可能性も出てきて、ホルムズ海峡が開いたって出てこないという可能性がある。だから、状況は良くなるよりは悪い方向に今進んでいるというところだと思います。

高橋氏によると、事態の収束はすべてトランプ大統領次第。
週明けにアメリカ議会と株式市場が動き始めるというところで、これをトランプ大統領がどう受け止めるのかによって期間の幅が変わってくる可能性があるということです。
高橋和夫氏:
トランプさんはすごく「俺は気にしない」って言ってますけど、支持率がまた下がったのかとか株がまた下がったのかガソリンの価格が上がるというのはすごく気になさる方ですから、それが圧力になると期待はしてる、それがイランの狙いでもあるんですけどね。
(「サン!シャイン」2026年3月3日放送より)
