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コメダ珈琲店でドリンクを頼むと、そっと添えられる豆菓子。何気ない存在のようでいて、この一袋にはコメダの「お客様を思う心」と「学生たちの熱意」が込められています。年に4回、季節ごとに変わるパッケージデザイン。その一つひとつは、全国の学生によるコンペから生まれたものです。


「主役はコーヒー。豆菓子はあくまで脇役」そんな美学を大切にしながら続く、「豆菓子パッケージデザインコンテスト」。4年目となる今年は176点の応募が寄せられ、2026年2月4日(水)に表彰式が行われました。今回グランプリとなったのは名古屋芸術大学の松岡遥優さんのデザインです。2026年3月ごろから店頭で提供されます。


株式会社コメダ マーケティング部  谷本


学生たちの作品から生まれる“くつろぎ”のかたち。普段はあまり語られることのない隠れた人気商品の舞台裏を、株式会社コメダ マーケティング部の谷本のインタビューを通してお伝えします。


写真右)グランプリを受賞された松岡遥優さん

豆菓子は“おまけ”ではなく、“くつろぎ”の伴走者

――コメダ珈琲店で創業時から継続されている、ドリンクに豆菓子を添える文化には、どんな意味が込められているのでしょうか。


谷本:名古屋のおもてなし文化として「何かおまけがついてきて、ちょっとお得だね」という側面はもちろんあると思います。コメダ珈琲店ではそれだけではなくて、豆菓子を添えることで「ほっと“くつろぎ”つつ、元気をチャージして次の場所へ向かってほしい」というような思いもあったと聞いています。


コーヒーと一緒に、豆菓子を食べて、ちょっと元気になってほしい。そういった「お客様を思うおもてなしの心」が自然に形になって、今でも提供し続けています。



――ファンの方も多い豆菓子ですが、単体での購入もできるのですか?


谷本:店頭販売のみになりますが、1袋、10円(税込)で購入することができます。

この豆菓子を好きでいてくださるお客様も多く、こちらも人気の商品となっています。


小さな商品かもしれないけれど、コメダにとっては大きな存在です。


――「おまけ」でありながら、豆菓子のパッケージは年4回、シーズンごとに変えていますよね。この小さな変化を大切にされている理由を教えてください。


谷本:春夏秋冬で季節が変わっていく、その小さな変化って、実はほっとした時にしか気づけないんじゃないかなと思うんです。


毎日忙しく過ごしている中で、コメダ珈琲店に来て、ふと肩の力が抜けてくつろげた時に、「最近あたたかくなってきたな」とか「もうすぐ入学式だな」とか、そういうことに気づける。


一袋10円の豆菓子は小さな商品かもしれませんが、そんな「くつろぎ」に寄り添う、私たちにとってすごく大事な存在です。


コメダ珈琲店は日常使いしてもらう場所だからこそ、「変わらないもの」「いつもの美味しさ」を大事にしています。その一方で、季節限定商品など、季節の移り変わりを感じることでうれしさや喜びも生まれる。変わらない良さと、季節で変わっていく良さが両方あるのがコメダ珈琲店の良さだと思っています。


――デザイン変更を告知したりはしていますか?


谷本:特にしていないです。季節っていつの間にか変わっていますよね。気づいたら(デザインも)変わっているという、その“気づき”を楽しんでいただきたいんですよね。


学生の自由な発想や等身大の表現とコメダらしさの親和性

――このパッケージは今学生さんがデザインされているとのことですが、それまではどのようにされていたのですか?


谷本:2018年~2020年には、障がいをお持ちのアーティストの方々に描いていただいていました。こちらもコンペ形式で何名かに描いていただき、選ばせていただく形でした。


――プロのデザイナーさんに発注ではなく、コンペ形式を継続している理由は何ですか?


谷本:実は企業さんやプロの方に提案をいただいたこともあるのですが、「これが正解なのかな」と悩んだことがあって。その理由を今考えると、豆菓子って“寄り添う存在”だからなんですよね。日常に寄り添うように豆菓子がある。それが、かっこよすぎるパッケージだと少し違和感があるというか。


プロの方に頼むと、完成度が高くもちろん素晴らしいんですけど、コメダ珈琲店の空気感とは少しギャップを感じた部分もありました。一方で、学生さんの自由な発想や等身大の表現は、自然体で親しみやすく、それがコメダ珈琲店にマッチするんじゃないかなと思っています。 


――現在のような学生コンペ形式へと切り替えたきっかけは何だったのでしょうか?


2020年からの中期経営計画で「“くつろぎ”で、人と地域と社会をつなぐ」を掲げている中で、地域の学生さんを巻き込みながら、コメダのアイデンティティでもある豆菓子パッケージを一緒に作れないか?と思い立ったのが最初のきっかけです。まずは地元 愛知県の大学・専門学校から始めました。


学生コンペは2021年にスタートした取り組みで、今年は 176点もの応募作品がありました。毎年応募いただく学校も増えてきました。掲示物で募集される学校もあれば、授業として取り組んでいただくところもあるなど、参加の形も幅広くなってきましたね。


全176点の作品中にあった、“くつろぎ”のかたち

――今年176点もの作品から選ぶ中で印象的だったことはありますか?


谷本:毎回、年々素晴らしい作品が増えるので、選ぶのは本当に悩みます。ポイントは「コメダ珈琲店らしさ」なんですけど、それって何だろうって考えると、例えば同じ「カツパン」を描いていても、こっちの方がコメダらしいね、というような差があるんです。あったかい雰囲気、空気感、“くつろぎ”にそっと寄り添うタッチ。そういった描き方の違いを見ながら、学生さんに新たな気づきをいただいていると思います。


今年のグランプリの方(名古屋芸術大学)のコメントで印象的だったのが、「豆菓子はコーヒーに添えてある名脇役」という言葉です。だから主張しすぎる絵にするのではなく、主役はコーヒーで、豆菓子がどう引き立てるかを考えて作りました、と。まさに存在意義を考えてくださったんだなと思って、すごくうれしかったです。


――審査はどのような流れで行われるのですか?


谷本:社員審査は事務局でもあるマーケティング部が中心となって進めます。そこで4〜5案くらいに絞って、本社の社員・スタッフにも参加を呼びかけて、投票してもらいます。今年は7~8割くらいメンバーが投票してくれました。

お客様審査は、コメダのファンコミュニティサイト「さんかく屋根の下」で参加者を募集し、イベント形式で実施しました。13名の方に候補作品を見ていただいて、様々なご意見をいただきました。社員の声、お客様のお声を、参考にしながら、最後は社長が承認する形です。

【イベントレポート】コメダ部イベント 「くつ... | さんかく屋根の下




――お客様も社員も一緒になって選考を進めていくのですね。


谷本:はい。イベントにはコメダ愛が強い方が多くいらっしゃるので「この時のこのパッケージも好きだった」と過去のことも覚えてくださっていたり、「これは新しい表現だと思う」など、過去を踏まえた意見がいただけて良い機会でした。


――今年の応募作品や表彰式での印象的なエピソードがあれば教えてください。


谷本:2025年度に採用されたのが緻密な描写の作品だったからか、今年もそういう傾向は多かったと感じます。

本年の表彰式にはコメダ賞10名とグランプリの方が来てくださいました。東北、東京、名古屋、大阪など全国から参加してくださいました。表彰式後にお食事会を実施したのですが、学生さん同士がつながって。美大生ならではの悩みも共感し合えるためか、皆さんすぐ打ち解けていたのが印象的でした。


――学生さんたちにとって、このコンペがどんな体験になってほしいですか?


谷本:実は私も美術大学出身で、学生時代に様々なコンペ募集が貼り出されているのを見ていました。でも自分の描いたものが商品化される機会って、そんなに多くないと思うんです。


コメダ珈琲店の豆菓子デザインのコンペで、グランプリを受賞して商品化されるのは毎シーズン1名です。受賞者の方には、自分のデザインが全国のコメダ珈琲店に届いて、“くつろぎ”をつくっているということを感じてほしいです。そして、今回は受賞されなかった学生さんにも、コメダ珈琲店の空間や空気を感じて、考えて表現することで、ブランドが身近になる。そういった体験のきっかけになればと思っています。



ほっとする時間に寄り添う存在でありつづけることを目指して

――こういった豆菓子パッケージの背景を、どのように伝えていきたいですか?


谷本:本当は裏面に「どこの大学の学生さんが描きました」などと書けたらいいのかなと思うこともあるんですけど、押し付けがましくなってしまう気がしていて。いいなと思ってくださった方が調べたり、お店のスタッフに聞いていただいたり、さらに踏み込んでファンコミュニティサイト「さんかく屋根の下」を見に行っていただいたり、そういったつながりの中で伝わっていったらうれしいです。


――最後に、楽しみにしているお客様や未来のクリエイターにメッセージをお願いします。


谷本:学生さんならではの自由な発想と等身大の表現、コメダ珈琲店のあったかい空気感が重なって生まれたパッケージだと思っています。お客様が手に取った時に「春だな、あたたかくなってきたな」とちょっとうれしくなったり、ほっとする時間に寄り添えたり、そんな存在として豆菓子を届けていけたらと思います。


学生の皆さんには、応募して終わりではなく、その経験が次のステップにつながる原点になればうれしいです。





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