東京での会社員生活から一変、中古バスをDIYし「理想のバンライフ」を始めた夫婦がいる。旅路の末に2人がたどり着いたのは、自然豊かな宮崎県国富町。数奇な出会いを経て馬や柿の世話をしながら地域に溶け込み、「理想の暮らし」にたどり着いたという堀さん一家の暮らしぶりを追った。

場所や仕事に縛られない「バンライフ」

自然豊かな宮崎県国富町に、旅する車で生活する家族がいる。

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ベッドや生活用品を積み込んだ車を住居とし、旅をしながら日常を送るバンライフ。

場所や仕事に縛られない豊かさを追求するこの生活スタイルは、近年注目を集める新たな住環境の形となっている。

堀琢麻さんと徳子さん、娘の和(にこ)ちゃんが暮らしているのは、中古のマイクロバスを購入して夫妻2人でDIYしたキャンピングカーだ。

堀琢麻さん:
元々は23人乗りのバスで、座席が後ろまで付いていた。車屋さんと一緒に座席を外して空の状態にして、そこから1から作っていった。

内装から車の塗装に至るまで出来ることは全て自分たちで行い、1年かけて完成させたという。

こだわりポイントの1つ、美濃焼タイルの特注シンク。

堀徳子さん:
岐阜県のシンク屋さんにお願いをして、後ろの面を特別に自分で作らせてもらった。この旅を表していて、色んなところを旅しているバスがいる。

収納棚もすべてDIYだ。

料理好きの徳子さんがこだわったキッチンは、車内でも不自由なく自炊ができるよう埋め込み式のIH調理器やオーブン、冷蔵庫を完備。電力は車の屋根に積んだ太陽光で全て賄っている。

そして冬場の雪国でも快適に過ごせるよう車には薪ストーブも。プロの知恵を借りながら自分たちで設置したそうだ。

 生ゴミはコンポストで堆肥に。

雨が降っていないときは外に椅子を出したり、ゴザを敷いたりして食事することも。

堀さん夫妻は、「今は自然が近くにある暮らしを極めたい」と話す。

堀琢麻さん:
旅をしながら色んな人に出会った。森の中で生きている人や川のそばで川と共に生きている人、そういう暮らしはエネルギッシュで楽しそうで素敵だなと憧れた。

堀徳子さん:
街の暮らしは便利だと思うけど、自然が近くにある暮らしが今はすごく好きなので、それを今は極めたい。

きっかけはコロナウイルス

そんな2人の出会いは東京・六本木のクラブだった。

元々東京で会社員生活を送っていた堀さん。琢麻さんは映像制作の仕事を、徳子さんは保育士として働いていた。

そんな生活が一変したのが新型コロナウイルスだった。

堀琢麻さん:
映像の撮影を始めてから、やっと止まる時間ができた。その時に自分の今までの生き方ってどうなのかなと考える時間があって、以前友達から聞いていた「バンライフ」を一緒にやってみようかっていう流れ。

徳子さんは「海外に行くのは怖いけど、車で日本を回るというのはやれそうと思って。やろうやろうって結構軽いノリで始まった」と話す。

バンライフがスタートしたのは今から4年前。

夫婦2人で様々な場所を巡り、その旅路の途中で娘の和ちゃんが誕生した。

堀琢麻さん:
子供はめちゃくちゃ成長が早い。この時間をこうやって過ごせているのはすごく感謝だし、嬉しいなって感じる。

朝焼けの中での出会い、そして移住

子供が生まれ、「全国一周の旅」から「移住地探しの旅」へと変わっていったバンライフ。そんな時にたどり着いたのが、宮崎県国富町だった。

法華嶽の展望台で朝焼け見ているとき、ある夫婦に出会ったという。夫婦に「馬と過ごしたいと思っている」と話をしたところ、「近所で馬を飼っているおじいちゃんが事業承継したいと言っている。一緒にいってみよう」と、案内をしてもらった。

元乗馬クラブの敷地内には現在、馬2頭が暮らしている。オーナーの白井洋行さんの好意でファームの敷地内に堀さん家族も滞在することになった。

川が近くにあることが移住先の条件だったという堀さん。しかし最終的に決め手となったのはここで生まれた「縁」だった。

堀琢麻さん:
ここに半年住んでから、もっと他にもいい場所があるかもと思って、ここを離れて他のところを見に行った。そこで「移住って縁だよね」という話をしてもらって、その時に2人でこの土地のこと思い出した。ここで出会った色んな人の「縁」、あの「縁」って本当に良かったねって。「もう戻ろうか」ってここに決めた。

平日は、柿の木の剪定作業が日課だ。

指導するのは柿農家の小弁野忍さん(81)。父親が始めた柿園を28年前に受け継ぎ、夫婦2人で守り続けてきた。柿農家を辞めるつもりでいたところ、堀さん家族と出会ったという。堀さんを「福の神のようだ」と話す。

小弁野さんがかつて会長を務めた生産者部会「国富町柿研究会」は当初47人の会員がいたが、高齢化で廃業が相次ぎ現在は5人に。深刻な担い手不足に直面している。

小野弁忍さん:
私が引退したら、彼が柿研究会のメンバーになってくれたらいいなと思っている。その時はこの柿畑を全部任せる。

堀琢麻さん:
やっていきたいと思いますね、ほんとに。

去年は米作りにも挑戦し、自家製米を収穫した。

移住仲間と共に麹作りも。

岩手から夫婦で移住した藤舘加奈子さん:
1週間に1回とか来させていただいている。本当に癒される。おふたりの人柄ももちろん大きいし、私たち夫婦も子育てをする上で(2人を)目指したいなと。

堀徳子さん:
知り合いゼロから始まった暮らしだけど、友達の子も自分の子のようにみんなが思ってくれて、助け合いながら子育てと暮らしを送っている。

堀さんは、乗馬クラブの復活を目指し、馬の世話や敷地の整備も行っている。

地域に溶け込み、関わりを深めながら古き良き生活を楽しむ。惚れ込んだこの地の豊かな風景を未来に残そうと模索している。

堀徳子さん:
旅をしている中で、日本の風景の素晴らしさというのをものすごく実感したので、まずは自分の回りの自然や土地を守って繋いで、娘やその先の世代まで、日本らしいこの素晴らしい景色が残ったらいいなと強く思う。

堀琢麻さん:
人が集まって、みんなで子育てして、みんなで食べるものを作って、みんなで楽しく過ごしたいというのが理想。
バンライフでたどり着いた理想の暮らし。高齢化や過疎化が進む小さな集落に新たな明かりが灯っている。

堀さんは子供たちが自由に遊びながら親同士で子育ての悩みを共有するイベントを不定期で開催している。堀さんのような暮らしの体験もできるので、気になる方は是非Instagram「bohemianlife_8888」をチェック。

(テレビ宮崎)

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