2年連続で待機児童の数が全国ワーストとなっている滋賀県大津市。
保育士不足を解消するために、保育士と幼稚園教員を同じ職種にして一括採用することで、人員配置を柔軟にしようというものですが、給与が「低い」保育士のものに統一される案が浮上し、波紋を広げています。
これに対し、元大阪府知事・大阪市長の橋下徹さんは「仕事内容で雇用する『ジョブ型雇用』なら低くなることもありうる」と指摘。「保育士に近い仕事内容で募集するなら、給与が低くなることもある」という見方を示しました。
一方、安藤優子さんは「子供たちの安全を考えた場合、低い給与に合わせて、モチベーションを下げて大丈夫か?」と疑問を呈しました。
■子育て世帯に人気のエリアでなにが…
滋賀県・大津市。大阪や京都へのアクセスも良く、最近はマンションの開発も進み、子育て世帯に人気のエリアとなっています。
【大津市民】「京都にも出やすさもあったりで、環境もすごくよくて子育てするにはベストな場所だと思う」
しかし、そんな大津市で今、問題となっているのが「幼稚園教員の賃下げ」です。
これは、先週、大津市が市議会に提出した条例の改正案。
来年度から、幼稚園教員の給与を「保育士と同じ」にしようとする案です。
■幼稚園教員の給与「最大年40万円引き下げ」か
滋賀県の教職員などからなる組合の試算によると、この改正により、幼稚園教員は最大で年40万円以上の減収になるというのです。
市は当面の間、減額分を補填すると説明していますが、将来的な昇給額は減額された給与額をもとに算出されるため、”実質引き下げ”に。
これに対し元教員らで作る団体が反対署名を提出する事態となっています。
【就学前教育を守る会・大塚清高代表】「本当におかしいなと思います。このまま働き続けるかどうか、ちょっと考えないといけないっていう方も(幼稚園教員の)中にいます。先生が少なく、辞められたり、そういう状態になったら困るのは子供たちです」
■保育士と幼稚園教員の一括採用で、給与を「低い方」に合わせる…
そもそもこの問題、2年連続で待機児童が全国ワーストという大津市の現状が背景にあります。
【大津市民】「(保育園に)落ちて、家でこの感じの子(乳幼児)とずっと家で2人きりなので、大変なのは大変でした。仕事に戻りたいとなりました」
大津市は、保育士不足を解消しようと、これまで、別の職種だった幼稚園の教員と保育士を同じ職種にして一括採用することを決定。
人員配置を柔軟にすることで、「保育士不足」の改善につなげようとしました。
その中で大津市は、これまで別々だった保育士と幼稚園教員の給与体系も統一する方針で、提出された条例案では、給料が「低い方」である保育士にあわせることになっているのです。
■幼稚園教員の離職につながりかねないが、「避けて通れない」と大津市
これに納得がいかないのはの幼稚園の教員たちです。
大津市で数十年勤務する幼稚園教員は…
【大津市内の幼稚園教員】「保育職、幼稚園との人材が流動的にやりたいとか、そういう理由だけで下げられるっていうのは、やっぱり納得いかない説明かなと感じています。
やっぱり給料が下がるってなると、少しでも給料の良い園なり(他の)市町に行きたいと思われるのは、当たり前かなと思います」
人員配置を柔軟にするためとしながら、幼稚園教員の離職にもつながりかねない事態に…
なぜ、給与の低い方に統一する必要があるのか?
大津市は、他の自治体でもこれまで行われてきたとした上で、「幼稚園児が減少している状況を踏まえ、待機児童や変化する保育ニーズに対応するため」とコメントしています。
■「給与の高い方に合わせてモチベーションの高いところで保育をするのが理想的」
番組コメンテーターの安藤優子さんはこの議論について、「子供たちの安全性を考えた時に、給与を下げるのはモチベーションの低下につながる恐れもあり、大丈夫なのか」と疑問を呈します。
【安藤優子さん】「子供たちの安全性から考えたらば、ただ人材を統合したときに、『低い方の給与に合わせて、モチベーションを下げて本当に大丈夫?』っていうのが私はすごく疑問に思います。
大津市のお財布事情を無視して言うならば、高い方に合わせてあげて、安全でモチベーションの高いところで保育をしていただくというのが理想的だと私は思います」
■「仕事内容に合わせた『ジョブ型雇用』なら給与が低くなることもありうる」
一方で、元大阪府知事・市長の橋下徹さんは、仕事の内容によって雇用する「ジョブ型雇用」を取り入れる場合、こういった給与の「引き下げ」は起こりうると指摘します。
【橋下徹さん】「これ(給与が)『高い方に合わせる・低い方に合わせる』という議論じゃなくて、『仕事内容に合わせた給与にしましょう』というのが、今言われている『ジョブ型雇用』だという話なんです。
だから今回、『低い方に合わしたからおかしい』ではなくて。これから携わられる仕事の内容が、保育士さんの仕事内容に近いのか。幼稚園の教員の仕事内容に近いのか。
仕事内容を見て、もし保育士の仕事に近いのであれば、それは『低い』じゃなくて、保育士の給与にしないといけないですよね。
『ジョブ型雇用』とは、非正規のアルバイトやパートの人であっても、仕事内容が正規の人と同じだったら、正規の給料を出さなきゃいけないでしょっていうものです。
そういう(給与が)高くなる面と同時に、仕事内容によっては低くなることもあるんです。
だから今、『ジョブ型雇用』で生産性を上げようというのは、決して給与が高くなる話だけではないのです。
今回、仕事内容を見て、保育士さんの仕事に近いのか。幼稚園の先生の仕事に近いのか。『どっちの仕事なんですか?』ということを見て、給与を決めるのが『ジョブ型雇用』なので。
『低いほうに合わせる・高いほうに合わせる』って話とは違うと思います」
■人材が逃げるのは仕方はない?
【安藤優子さん】「人材は逃げていきますよね?」
【橋下徹さん】「仕方ないです。幼稚園の仕事をしたいという人は幼稚園の仕事の募集をかけているところに行けばいいわけです。
保育士の仕事でっていうんであれば、他県からも含めて、保育士さんの給与で集めてくる。仕事内容に着目するというのが『ジョブ型雇用』の一番の重要なポイントですね」
(関西テレビ「newsランナー」 2026年2月25日放送)