iPS細胞が作製されて今年で20年。
その節目の年に、iPS細胞由来の「心臓の機能を回復させる『心筋シート』」と「パーキンソン病の治療製品」という2つについて、製造・販売が条件付きで了承されました。
病気で苦しむ患者の大きな希望となりそうです。
■世界初、世界唯一の「iPS細胞による心筋再生医療製品」実用化へ道筋
【大阪大学・澤芳樹特任教授】「世界で初の、世界で唯一のiPS細胞による心筋再生医療製品です。新たな決意で歩みを進めてまいりたい」
会見で喜びを語ったのは大阪大学の澤芳樹特任教授。
iPS細胞を使って心臓の機能を回復させる製品が、世界で初めて実用化される道筋がたちました。
厚生労働省の専門部会は19日、澤特任教授らが開発した心筋シートとiPS細胞由来のパーキンソン病の治療製品について「条件・期限付き」で製造・販売することを了承しました。
今後7年間で有効性を確認し、正式に承認されれば、世界初のiPS製品の実用化の見込みです。
■世界中の心臓病で苦しむ人へ
2つの製品を開発したのは、ともに大阪にゆかりがある会社。
大阪大学発のベンチャー企業・「クオリプス」が開発したのは、心臓の表面に貼ることでその機能を回復させる「リハート」です。
これまで移植などでしか治療ができなかった重い心臓病への活用が期待されていて、治験に参加した患者の中には命に危険のある状態から仕事やゴルフができるまで回復した人もいたということです。
【大阪大学・澤芳樹特任教授】「世界中の心臓病で苦しむ人、生活改善を得てよい人生を選んで歩んでもらえるようにできたらいいなと強く思っています」
■「よかった。嬉しくて涙が出てきた…」パーキンソン病患者からも大きな期待
また、了承されたもう一つの製品が、大阪の住友ファーマが製造したパーキンソン病の治療に使う「アムシェプリ」。
了承されたことを知った当事者は…
【全国パーキンソン病友の会京都府支部・岡田孝支部長】「よかったね。涙が出てきた」
脳内で情報を伝える「ドーパミン」の分泌が少なくなることで体の震えなどが生じる難病パーキンソン病。
全国におよそ25万人の患者がいるとされていて、7年前に診断された岡田さんは…
【全国パーキンソン病友の会京都府支部・岡田孝(76歳)支部長】「パーキンソン病はこれまで治らなかった病気。治らなかった病気が治るということは画期的なこと」
これまで根本的な治療薬はありませんでしたが、「アムシェプリ」を患者の脳に移植することでドーパミンの分泌量を増やし、運動機能の改善が期待できます。
■「発表から20年の節目に大きな一歩、大変うれしく思う」山中教授
京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、「iPS細胞を発表してから20年という節目に、大きな一歩を踏み出せたことを大変嬉しく思います。医療として確立するにはさらに安全性と有効性を確かめるプロセスが不可欠です」とコメントしました。
■再生医療の専門家「今後国の支援の他に民間資金が入りやすくなるのでは」
iPS細胞を活用した治療は、今回製品化されるもの以外に、脊髄損傷や1型糖尿病など、様々な治療の研究が行われています。
再生医療に詳しい藤田医科大学・八代嘉美教授は「今回のニュースは大きな歴史の転換。iPS細胞の産業化にお金はかかりますが、今後国の支援の他に、民間資金が入りやすくなるのでは」と分析しています。
■藤井教授「投資が進めばさらに夢が広がり、大きな期待ができます」
京都大学大学院の藤井聡教授は、研究への投資の重要性を訴えました。
【藤井教授】「本当にこれは素晴らしい第一歩になりました。新しい技術は、初期投資がどうしてもかかってしまう。
この投資のときには、必ずしも『儲かる』か『儲からないか』わからない。というか儲からない。
だけどその投資を十分にやらなければ、何にもならない。十分投資をするとすごくいいものができるチャンスが出てくる。
こういう投資ができる国は未来を掴むことができます。民間資金が入りやすくなったことで投資が進めば、さらに夢が広がり、大きな期待ができます」
(関西テレビ「newsランナー」 2026年2月20日放送)