荒茶の生産量で鹿児島県に抜かれるなど伸び悩みが続く静岡茶。現状打開に向けて様々な取り組みが続いていますが、“高級化”を突き詰めようという老舗を取材しました。
一見すると洋酒のようにも見える黄金色の液体。
ただ、これはお酒ではなく、製茶の老舗が手がけるボトリングティーで、価格は1本なんと2万4840円。
日本人にとってなじみ深い緑茶に、なぜ、これ程の値段がついているのか?
静岡県内の茶業界に衝撃が走ったのは2024年。
荒茶の生産量を鹿児島に抜かれ、初めて首位の座を明け渡したからです。
2025年には一番茶の生産量においても統計開始以来初となる2位に転落しました。
理由として考えられているのが、価格の低下に加え農家の高齢化に伴う生産量の減少。
このため、鈴木知事も茶業における構造改革が必要との認識を示しています。
鈴木康友 知事:
構造転換を図って、稼ぐ茶業・強い茶業を目指す。その結果として生産量も増えていく
こうした中、静岡茶の価値を見直す“リブランディング”に取り組んでいるのが島田市にあるカネス製茶の小松元気 取締役です。
元々お茶に関わるスタートアップ企業で働いていましたが、2022年に実家へ戻るとボトリングティーのブランドを立ち上げました。
カネス製茶・小松元気 取締役:
お茶がトーンダウンしていっても何かまだやれることがあるのではないかと思った
それぞれの産地ごとに個性が違う静岡茶をワインと重ね合わせたという小松さん。
単価を上げることでお茶をワインのようにじっくりと味わい、産地や生産の背景にも興味を抱いてもらえるのではないかと思ったと話します。
あの1本2万5000円するボトリングティーの茶葉には「つゆひかり」や「金谷いぶき」といった香りや味わいが特徴的な品種を選びました。
カネス製茶・小松元気 取締役:
飲んだ時に「これ違うわ」と一瞬でわかるものを作りたかった。この2つに関しては品種が特殊というのもあるが、低温で淹れた時にしっかりとアミノ酸、うまみを感じられるものをあえて選んだつもり
その味はと言うと…
鈴木櫻子 記者:
緑茶のすっきりとした味わいはあるんですが、飲んだ時に出汁を飲んでいるかのような重厚感、旨味を感じます。不思議な感覚。
Webサイトでの販売に加え、高級レストランにも商品を卸すことで2025年までの3年間の売り上げは8000万円に上り、今後は海外展開にも力を入れる考えです。
カネス製茶・小松元気 取締役:
皆さんが海外の高級レストランに行った時に、当たり前に緑茶というもの、ジャパニーズグリーンティーが選択肢の中に入っている状態を目指したい
こうした取り組みは、お茶の先行きに不安な思いを抱えている農家にとっても希望の光となっています。
茶農家・石間悦郎さん:
こんな風にお茶を売ることができるのだということが本当に驚いた。今まで通りの農家だけで取り組むのではなく、製茶店や流通の関係者とタッグを組んで、方向性をしっかり持っていかないと生き残りは難しい時代になっている
有名デザイナーの佐藤可士和さんをプロジェクトリーダーに起用するなど、県としても力を入れている静岡茶のリブランディング。
再び黄金期を築き、知事が掲げる“稼げる茶業”を実現できるのか、今後の動向が注目されています。