「星野リゾート」と聞いて、あなたが思い浮かべるのはどんなイメージでしょうか? 静寂に包まれた森の中、あるいは洗練された空間で味わう優雅なコース料理……。 そんな「ラグジュアリーな常識」を、良い意味で裏切ってくれるホテルがあります。 それが、星野リゾートの若者向けブランド「BEB(ベブ)」の1つ、「BEB5土浦」です。 BEBのコンセプトは「居酒屋以上 旅未満 みんなでルーズに過ごすホテル」。 JR土浦駅の改札から徒歩数十秒。自転車を持ち込めるこのホテルには、いつもの仲間と時間を気にせずダラダラ過ごすための仕掛けがこれでもかと詰め込まれています。 そんな自由すぎる空間「TAMARIBA(タマリバ)」で、多い月で200個以上も飛ぶように売れている名物メニューをご存知でしょうか?
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それが、「メロンまるごとクリームソーダ」。 名前の通り、メロンを丸ごと1個使い、くり抜いた中にソーダとアイスをぶち込んだ、見た目のインパクトが凄まじい一品です。SNS映え間違いなしのこのメニュー、実は星野リゾートが緻密に計算して開発したものではありません。 生みの親は、茨城に住むある一人の「ワイルドすぎるおじさん」。 これは、「居酒屋以上 旅未満」のルーズに過ごすホテル「BEB5土浦」と、地元で愛される型破りな「メロンおじさん」が出会い、一緒になって悪ノリ(?)した結果生まれた、最高にクレイジーでハッピーな物語です。
スーツを着て行ったら怒られた? 型破りな二人の出会い
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この物語のキーマンとなるのが、茨城県内で飲食店「酒趣(しゅしゅ)」を営む井坂紀元(いさか のりもと)さん。
地元・茨城の食文化を広める活動に情熱を燃やす彼は、一部の関係者から親しみを込めて「メロンおじさん」として認知されています。
ただ、そのビジュアルは、いわゆる「農家のおじさん」的なイメージとは少し違います。 体格が良く、まるでプロレスラーのような風貌。そして何より、夏場の正装は「タンクトップ」に前掛けという、あまりにもワイルドなスタイルがトレードマークなのです。
2018年、BEB5土浦の立ち上げ準備が進む中、「どうしたら茨城県土浦に人は来てくれるのか?」を議論していた時、星野リゾート代表の星野佳路が、突然会議で一枚の写真を取り出しました。それが、タンクトップ姿の井坂さんと「メロンまるごとクリームソーダ」の写真でした。
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BEB5土浦と井坂さんの出会いは、開業の数年前に遡ります。
ある食事会場で井坂さんのふるまう「メロンまるごとクリームソーダ」に出会った星野は、インパクトのあるビジュアルとアイデア、そしてその美味しさに驚いたと言います。
さらにその提供をするのが、さらにインパクトのあるタンクトップ姿の井坂さん。
その時のことを覚えていた星野は
「納豆で茨城まで人を呼び寄せるのは無理だけど、メロンなら来る」。
このアイデアから、この商品をホテルに導入するプロジェクトが始動……さらになんとBEB5土浦立ち上げの担当者に指示を出すだけでなく、自らFacebookを使って井坂さんにコンタクトを取っていたのです。
送られたメッセージの内容は、「大至急連絡が欲しい!」という、代表の熱意がほとばしるもの。
しかし、あろうことかこの熱烈なラブコールは、井坂さんのメールボックスの「迷惑メールフォルダ」に振り分けられ、なんと3ヶ月間も気づかれないまま放置されてしまったのです。
ようやく気づいた井坂さんが青ざめながら返信すると、代表からは「もう用が済んでしまった」と一旦は言われつつも、後日改めて「東京のオフィスで会おう」という展開に。
そして迎えた初対面の日。 「星野リゾートの代表に呼ばれたのだから」と、井坂さんは普段のタンクトップを封印し、きっちりとスーツを着込んでオフィスへ向かいました。着いた井坂さんを一目見た代表は、開口一番、こう言ったそうです。
「なんでスーツなんですか! タンクトップで来てほしかったのに!」
普通なら失礼のない正装である評価をされるはずのスーツ姿が、ここではまさかのダメ出し対象に。 代表は、井坂さんの作るメロンだけでなく、その「型破りなキャラクター」そのものに惚れ込んでいたのです。
「形式張った挨拶はいらない。その人らしい面白さがあればいい」。 この瞬間、星野リゾートの代表と茨城のメロンおじさんという、接点などなさそうな二人の波長が完全にリンクしました。「自転車そのままチェックインOK」「食べ物持ち込みOK」というBEBのルーズで自由なスタンスは、まさにこの出会いから始まっていたのかもしれません。
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「農家に怒られた」禁断のレシピと、ハイスペック家電の無駄遣い
こうして導入が決まった「メロンまるごとクリームソーダ」ですが、実はこの商品自体も、数々のタブーを破って生まれたものでした。
井坂さんが最初にこのメニューを考案したのは、茨城で開催される野外音楽フェスでの提供がきっかけでした。
真夏のフェスで、ぬるいメロンを出しても美味しくない。
キンキンに冷えていて、しかもインパクトがあるものを出したい。そこで井坂さんが思いついたのが、「メロンを丸ごと凍らせる」というアイデアでした。
しかし、これはメロン農家にとっては「禁じ手」とも言える行為。
「茨城のこんなに美味しいメロンを、なんでわざわざ凍らせるんだ!」
「そんなことのために俺は作ってない!」
農家や農協に相談しても、猛反発を食らいます。生産者としてのプライドが、メロンを凍らせることを許さなかったのです。
それでも諦めきれない井坂さんは、ある出荷組合の組合長に直談判。「面白いね、協力してあげるよ」という言葉を引き出し、なんとか2000個のメロンを確保してフェスで販売したところ、3日間で完売する伝説の大ヒットとなりました。
凍らせることで、解凍時に果肉から甘い果汁が溢れ出し、ソーダと混ざり合うことで最高のメロンソーダが完成する。お客さんに喜んでもらいたい!井坂さんの粘り勝ちでした。
そして、その「型破りな魂」はBEB5土浦にも受け継がれています。 BEB5土浦のバックヤードには、カフェで提供するこだわりの料理(キッシュなど)を作るために導入された、超高性能な電子レンジが導入されています。
しかし現在、そのハイスペックレンジが何に使われているかと言えば、ほぼ「冷凍メロンを解凍するため」だけ。
BEBスタッフは試行錯誤を重ね、この高級マシンを「メロン専用解凍機」としてフル稼働させているのです。
想定していた用途とは違うかもしれませんが、目の前のお客さんが驚き、喜んでくれるなら、高級家電の一つや二つ、メロン専用にしてしまえばいい。 そんなBEBスタッフの潔さと遊び心が、このメニューを支えています。
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利益よりも笑顔を! 「ホテル価格にしないでくれ」という男気
BEB5土浦で提供されているメロンまるごとクリームソーダの価格は、1,350円(税込)。
メロンを丸ごと1個使い、手間暇かけて加工し、輸送し、高性能レンジで解凍して提供するコストを考えると、正直なところホテルとしての利益はほとんどありません。
導入時、井坂さんから唯一あった強い要望、それが「価格」についてでした。
「ホテルだからといって、高くしないでほしい。市場の価格に合わせて、みんなが手軽に体験できる値段にしてくれ」。
井坂さんにとって、このメロンは利益を生むための商品ではなく、茨城のメロンの魅力を知ってもらうための「入り口」。
だからこそ、敷居を高くしてほしくなかったのです。 BEB5土浦の担当者にもその想いに全力で応えました。
「儲けはほぼないですが、見た目のインパクト、味、そしてお客様の反応、すべてにおいて120点満点の商品ですから」
ビジネス的な利益よりも、その場の熱量や、「なんだこれ!」と驚くお客様の笑顔を優先する。それはまるで、井坂さんが戦場としてきた「夏フェス」のノリそのものです。
BEB5土浦が目指すのは、静かな滞在ではなく、仲間と盛り上がる「TAMARIBA」での体験。だからこそ、採算度外視のこのメロンが、施設のアイコンとして君臨し続けているのです。
さらに、このタッグはサステナブルな方向にも進化しています。
夏の高温障害で果肉に筋が入り、売り物にならなくなってしまったメロンが出た際、井坂さんからの相談を受けたBEB5土浦は、そのメロンの皮を練り込んだ和紙を作り、「メロン提灯」として館内に飾るイベントを実施。
さらに、クリームソーダ用にカットした際に出る余った果肉(蓋の部分など)は、井坂さんが冷凍保存して納品し、BEB5土浦で「メロンスムージー」として提供しています。 「丸ごと」の名に恥じぬよう、皮から果肉まで遊び尽くす。
ここにも、二者の共通するこだわりが見て取れます。
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合言葉は「メロンで乾杯」
BEB5土浦の「メロンまるごとクリームソーダ」は、単なるフォトジェニックなスイーツではありません。
それは、「茨城のメロンってすげぇだろ!」と叫びたいタンクトップのメロンおじさんと、「ホテルだって肩ひじ張らずに自由に過ごせばいいじゃん!」と考えるBEB5土浦のスタッフたちが、一緒になって作り上げた「情熱」の結晶です。
もしあなたが、日々の生活や堅苦しいルールに少し疲れているなら、次の休みは土浦へ来てみませんか? 時間を気にせず朝寝坊して、TAMARIBAでダラダラ過ごす。
そして、メロンおじさんのワイルドな情熱が詰まったクリームソーダを、仲間と食べる。 スマートじゃなくていい。ルーズでいい。
そんな「型破りな滞在」の象徴として、今日もBEB5土浦の冷凍庫には、大量のメロンが皆様をお待ちしています。
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