厚生労働省が発表した主要企業の2025年末のボーナスは、2年連続で過去最高額を更新するなど賃上げが進んでいる。こうした中、3年連続で給与の引き上げを実施するのが焼津市にあるスーパーマーケットだ。
賃上げの波は県内にも
2025年12月。
翌年の3月に入社する新卒社員の初任給について、33万円から37万円へと引き上げることを発表したユニクロを運営するファーストリテイリング。
これにより、新卒社員の初任給はわずか6年間で実に16万円も上がることに…。
さらに、不動産大手のオープンハウスグループは2027年4月に入社する営業職の初任給を40万円とするほか、日本生命も2026年4月から基本給を6%引き上げる方針を明らかにしている。
こうした大手企業を中心とした賃上げの波は静岡県内の企業にも…。
アルバイトを経て新卒で正社員に 理由は?
焼津市に本社を置くスーパー田子重の新入社員・南條幹太さん。
大学生の頃から田子重でアルバイトをする中、卒業後も社員として働くことを決めた理由について「同じ職種・企業と比べた時に給与の面で非常に魅力的に感じたことが要因の1つ」と話す。

田子重では2023年から3年続けて3万円ずつ新卒社員の初任給を引き上げていて、現在、大卒の初任給は31万円。
南條さんも「やはり物価高もあって生活も苦しい部分があるので、素直に賃金ベースが上がるのはうれしい」と満足げな表情を浮かべる。
賃上げをする社長の思い
では、なぜこのような給与引き上げに踏み切ったのか?
田子重の曽根礼助 社長は「本当に採用が困っていて、いろいろな手立てを講じても人が集まらないので、一斉に賃上げをすれば、ある程度来てくれる人も増えるのではないかと決めた」と内情を打ち明ける。
背景にあったのは深刻な人手不足。
曽根社長によれば、2000年代の初頭までは採用活動に苦労した記憶はないものの、少子化に加えて、365日営業かつ不規則な勤務体系が徐々に敬遠されるようになり、「いわゆるカスタマーハラスメントもあり、労働環境としては必ずしも良いとは言えない現状がある」という。
このため、田子重では同じく2年前から新卒以外の社員についても月々の給与を毎年3万円ずつ引き上げると同時に、パート従業員の時給アップに踏み切った。
社会保険料も含めると人件費は年々2億5000万円増えているが、中途採用の応募者数は10倍以上となり、2025年度は売上高・利益ともにいずれも過去最高となる見通しだ。

現在280人ほどの社員を抱える田子重。
曽根社長は「それぞれのポジションで自分たちにできることは何か考えてくれていると思う。それで利益が上がれば、給料が上がることを期待していると思う」と働きぶりを評価した上で、「離職を止めたいということもなくはないが、やはり田子重で5年・10年、中には何十年と働く人もいるかもしれないが、生活時間の何割かは仕事で費やすので、『あの会社で働いてよかった』と言われる会社でありたい」と強調する。
賃上げにより社員のモチベーションが向上し、業績が伸びることで利益が還元される好循環を作り出せるかが、今後も賃上げを持続可能なものとできるのかのカギを握っている。
(テレビ静岡)
