「『死んだおばあちゃん』というドイツ料理がある」に騒然…本当なのか?ドイツ料理店のシェフに聞いた

カテゴリ:暮らし

  • ツイート「『死んだおばあちゃん』というドイツ料理がある」が話題
  • 東ドイツ時代によく食べられていた料理で思ったほどまずくはない
  • ドイツ料理には「冷たい犬」という料理もある

「『死んだおばあちゃん』という名前のドイツ料理がある」。

このようなツイートが2000以上リツイートされ、話題となっている。



このツイートをしたのは、ベルリン近郊、旧東ドイツ側の小さな村でこの料理を食べたという、わちゃさん。

決して美味しそうには見えない料理の画像とともに、「死んだおばあちゃんと言うドイツ料理だそうです。味はいいです」とコメントしている。

また、ツイッター上で料理のレシピを聞かれると、「うろ覚えですが…」と前置きしたうえで、「ホワイト(青?)ビーツとじゃがいも、にんじん、玉ねぎを茹でてからすり潰し、切ったソーセージと混ぜます。
禍々しい色になった茹で汁は捨てず、ゆで卵を投入して色がつくまで浸け置きます(再度茹でてるかも)」と回答。

編集部の取材に対しては、「同名で豚の血を使う料理の方が一般的。日本と同じく、ドイツの家庭料理も地域ごとの差が大きいそうです」と答えている。

「死んだおばあちゃん」という名前は強烈なインパクトとともに食欲も減退させるような気もするが、本当に実在する料理なのだろうか?
六本木にあるドイツ料理レストラン「zum Einhorn(ツム・アインホルン)」のシェフ、野田浩資さんに話を聞いた。

東ドイツ時代によく食べられていた料理

――「死んだおばあちゃん」という料理は実在する?

はい、あります。

ブルットウルスト(血のソーセージ=豚の血が入ったソーセージのこと)とザワークラウト、ゆでたジャガイモを盛り付けた、「Tote Oma」と呼ばれる料理です。

この料理は東ドイツ時代によく食べられていて、特に食材のなかった時代にお腹いっぱい食べたいと、安価な材料で作られたものです。

提供:河内秀子(ドイツ在住のライター)

――どうやって作るの?

血のソーセージとレバーソーセージの皮を取り除き、適当に切ります。

ベーコンと玉ねぎを炒め、ブイヨンを入れ、ソーセージを加えて煮る。最後にパン粉でとろみを出し、塩とコショウで味を調えたら、できあがりです。


――わちゃさんが食べた「死んだおばあちゃん」とは見た目も作り方も違うが、地域によって作り方が変わるもの?

ツイートにある料理の作り方を見ますと、“食べやすい味”に作られているような印象を受けます。

私の見る限りでは、「昔はこのような料理があった」という思い出をもとに、食べやすくアレンジしたものだと思います。

「祖母の死=嫌なこと」という理由からこの名前が付いた

――「死んだおばあちゃん」の別名は「交通事故」という書き込みがツイッターにある。これは本当?

「交通事故」も「祖母の死」も、あってはほしくない、嫌なことです。

また、この料理は「見た目も味も嫌」という人も多く、こうした理由から、このような名前が付いたようです。
話し言葉から発生した料理のようですね。

――「死んだおばあちゃん」は美味しい?

血のソーセージが好きな人には美味しいですが、好きではない人には食べたくない料理です。

豚の血とレバーソーセージの味が主ですが、思ったほどまずくはありません。


――「死んだおばあちゃん」はドイツではどれぐらい知られている?

東ドイツの料理なので、西ドイツではあまり知られていません。

「冷たい犬」「貧しい戦士」という料理もある

――ドイツ料理は変わった名前の料理が多い?

はい、いくつかあります。

――たとえば?

「天と地(Himmel und Äad)」。
“天”はキリストの血で、“地”は大地。
血のソーセージと、「大地のリンゴ」と言われるジャガイモと、リンゴを添えた料理です。

「ネズミのしっぽのフランベ(Flambierte Rattenschwänze)」。
「ハーメルンの笛吹き男」の舞台となり、“ネズミ捕りの町”と言われるハーメルンの料理で、50年ほど前にレストラン「ラッテンフェンガーハウス」のシェフらが考案しました。
豚肉の細切りに様々な具材を加えた料理です。

「冷たい犬(Kalter Hund)」。
こちらは、カカオ風味のケーキです。

「貧しい戦士(Armer Ritter)」。
トーストパンに牛乳、卵とシナモンを合わせて焼いたもので、グリム童話に出てきます。

――ドイツ料理に変わった名前のものが多いのはなぜ?

たしかなことは分かりませんが、ドイツには昔から多くの物語が存在していて、その中から作られた料理があり、そういった背景が関係しているのだと思われます。

名前にインパクトがあり過ぎて、その存在すら疑った料理「死んだおばあちゃん」。
今回、話を聞いたドイツ料理店のシェフによると実在し、しかも、嫌いな人が多いことから「祖母の死=嫌なこと」という理由でその名が付いたらしいことが分かった。
「味は思ったほどまずくはない」とのことなので、ドイツに行く機会があれば、試しに食べてみるのもいいのかもしれない。