「なぜ一等地に!?」住民困惑 ブランド街の「母子施設問題」は現代を映す鏡か?

カテゴリ:地域

  • 港区が100億円をかけ建設予定の「子ども家庭支援センター」
  • 「なぜ一等地にそんな施設を?」住民の間で賛否分かれる
  • 住民の不安は「非行少年の一時保護」による治安への影響

高級ブランド店が立ち並ぶエリアに・・・

東京・港区の南青山。高級ブランド店などが立ち並ぶまさに一等地と呼ぶべき場所に区が建設を予定している、ある施設が波紋を呼んでいる。

その施設は「港区子ども家庭総合支援センター(仮称)」。

2016年の児童福祉法の改正で23区にも児童相談所が設置できることになり、港区は児童相談所だけでなく子育てに関する相談などに対応する「子ども家庭支援センター」や、様々な事情を抱えた母子家庭の生活支援を行う「母子生活支援施設」の3機能を合わせた複合施設の建設を決めた。

住民から怒声 その訳は?

建設に伴い、港区が区民などを対象に説明会を開いたところ、100人近くが集まった。

参加者はみな、母子家庭や虐待を受けた子どもの支援の重要性、必要性については理解している一方で、「商業地の一角になぜ施設を建設するのか」「総事業費100億円もかけて作る必要があるのか」「近隣住民への説明が足りない」などとといった反対意見が飛び出した。

港区が国から72億円で買い取った土地

区の担当者は「3つの機能を持たせた複合施設を建設するとなると一定の広さが必要になる。空いた土地が少ない中、交通の便もよく夜には静かな環境の場所なので建設を決めた」と話すが、参加者からは怒声が響く。

「なんで南青山の一等地でそんな施設を作らなければならないんですか!」

南青山という土地を愛するが故の叫びだった。

建設予定の複合施設イメージ
建設予定地には掲示が・・・

不安の理由? “非行少年の一時保護”とは

住民が不安視するものの一つに児童相談所の持つ機能「非行少年の一時保護」がある。

犯罪行為に走ってしまった少年・少女が一時的にでも生活するとなれば治安が悪化するのではないか―。
こうした危機感を抱くことは理解できる。

しかし万引きなどの軽微な犯罪で、重い罪を犯した子どもが来るわけではない。
またそうした子どもたちは施設の中に滞在し、自由な行動がとれるわけではないことや、24時間体制での警備を行う予定でいることから問題が起きることはないと区は説明している。

この問題について、根本厚生労働大臣は閣議後の記者会見で「児童虐待の問題も多く、児童相談所の拡充強化はしていきたい。ただ様々な地域の状況によって反対の声もあるかもしれない。必要性をしっかり訴えながら理解と協力を求めていくのが基本だ」と述べた。

昨年度の東京都の児童虐待の対応件数は13707件。
それに対し対応する児童福祉司の数は244人で、一人当たり50件以上を担当していることになる。

政府が今年閣議決定した児童虐待防止対策の緊急総合対策では、虐待以外の相談も含めた対応件数を40件相当となるように児童福祉司の増員を図るとしていて、
こうした観点からも厚労省は「地域に根差した児童相談所を整備し、緊密な連携をとれるようにする必要がある」としている。

説明会に参加した住民からは「子どもたちを暖かく育てる環境を港区で作ってほしい」といった賛成の声もあった。
また建設予定地の近くで取材をしたところ「当事者じゃない人も表参道を通りかかった人が関心を持つきっかけになるのでは」と話す人もいた。

虐待を受ける子どものため、困難を抱える母親のため、必要な施設であることは間違いない。
「いい施設ができたね」「やっぱり港区はいい街だね」とすべての人から完成を喜んでもらえるように、丁寧な説明を港区にはお願いしたい。

(フジテレビ社会部 厚生労働省担当 佐竹潤)