おととい、「上行結腸がん」のため71歳でこの世を去った、元プロ野球選手の衣笠祥雄さん。

1987年、衣笠さんは連続試合出場の当時の世界記録を塗り替え、国民栄誉賞を受賞。

愛らしい笑顔と"鉄人"という愛称で親しまれ、テレビやCMでも活躍していた。

現役引退後は、野球解説者を務める一方でタレントとしての活動も。

亡くなる4日前にも野球の解説をこなすなど、仕事熱心な人でもあった。

 
 
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「ちょっと声がかすれていた」

2か月前の今年2月に、高校時代に出場した甲子園の思い出を語る対談を行っていた。

その対談の動画の中で、衣笠さんは小学校の時は野球を一生懸命やった記憶はないなど、と時折笑顔をのぞかせている。

しかし、対談相手の一人である元PL学園野球部監督の中村順司さんは、衣笠さんの声がかすれていることに気付いたという。

中村さんは「少し痩せられたのかなと、細くなった感じがしました。ちょっと声がかすれていて。"鉄人"と言われた衣笠さんが、体調悪いのかな?という感じはしました。のどに力を入れて『あっ、あっ』という喋り方で、パッと言葉が出てこない感じはしました」と対談の時の様子を振り返った。

“声のかすれ”は上行結腸がんの影響…

この"声のかすれ"が、衣笠さんの死因である「上行結腸がん」と因果関係があり、「声にハリがなくなり、かすれた声になってくる」と大腸がんに詳しい梅舟仰胤医師は指摘する。

 
 

「上行結腸がん」は、大腸に発生するがんの一種で、直腸から遠い位置にある。

梅舟医師は「直腸がんの場合は、腫瘍などで便が通りにくくなっていると、便がなかなかそこを通れなくなるので、血便やお腹のハリなど、いろいろな症状が出てきます。上行結腸の場合は比較的水に近い柔らかい便なので症状が出にくく、早期発見がしづらい特徴がある」と話す。

大腸がんの中でも比較的早期発見が難しく、40代以上の男性が罹りやすいという。

また、梅舟医師は「食事をとれなくなってきて、栄養状態も悪くなるので、脱水気味にもなり、声にハリがなくなってかすれたような声になってくる」とがんが進行していくと体に異変が出るという。

今年2月に行われた対談の場では自身の体調に一切触れなかったという衣笠さん。

2017年の秋に食事をしたという高校の同級生の繁隆夫さんは「体調が悪いなという感じはしていた」といい、だがその時に衣笠さんは「大丈夫」と、その時も病気の話をしなかったという。

繁さんは「彼はめったに弱音を吐かない。『お互いに長生きせなあかんね』と言ったんです。野球は9回まであるから頑張らないと、と言っていた」と話した。

最期の時まで"鉄人"を貫いた衣笠さん。

昭和のプロ野球を彩った名選手がまた一人、この世を去った。

 

(「めざましテレビ」4月25日放送分より)