現在、国内への侵入リスクが高まっているとして農林水産省が警戒を強めるアフリカ豚熱(ASF)。アフリカ豚熱は、ブタやイノシシが感染するウイルス性の伝染病だ。ヒトに感染することはないが、有効な治療法やワクチンはなく、ブタなどの致死率は、ほぼ100%。感染力が非常に強く、冷凍肉の中では1,000日以上経っても残ることがあるといわれている。

日本への侵入リスク高まる

アフリカ豚熱はこれまでに日本での発生例はない。しかし近年、日本と台湾を除く、アジアのほぼ全域で感染が相次いでいる。

坂本農水相は2日に会見を行い、「アフリカ豚熱の侵入リスクがかつてないほど高まっている。一度、侵入を許すと我が国の畜産業に壊滅的な被害を生ずることになる」と警鐘を鳴らした。

韓国のアフリカ豚熱の発生状況
韓国のアフリカ豚熱の発生状況
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2019年にアフリカ豚熱が確認された韓国。以降、韓国内での感染は広がり続け、2023年12月には、南部の都市、釜山で野生のイノシシから感染が確認された。また2024年に入ってからは、福岡との定期航路もある釜山港近くでも感染が確認されている。致死率ほぼ100%のアフリカ豚熱は今、日本への侵入リスクがかつてないほど高まっているのだ。

消毒マットを使用し水際対策を強化
消毒マットを使用し水際対策を強化

福岡市博多区の博多港国際ターミナルでは、1月下旬以降、靴底用の消毒マットの濃度を高めるなど水際対策を強化している。取材したこの日は、検疫探知犬も出動し、釜山から到着した乗客の手荷物に肉製品が含まれていないか調べていた。

「動物検疫所 博多出張所」・田上勝則所長:
違法畜産物を持ち込ませない。あとは靴底の消毒。ここで防がなければならないので、緊張感を持って対応している

「豚舎に入るのが怖かった」

アフリカ豚熱の侵入リスクが高まる中、ブランド豚肉の生産地として知られる福岡の養豚業者は危機感を募らせている。

「井上ピッグファーム」の井上博幸さん
「井上ピッグファーム」の井上博幸さん

「噴水式の消毒は、外からの病気を絶対に持ち込まないため」と話すのは、糸島市の養豚場「井上ピッグファーム」の井上博幸さん。

車両が敷地に入る際は、必ず噴水式の消毒を行っている。

「井上ピッグファーム」では、安全な餌や飼育方法にこだわりながら約8,000頭の豚を育てているが、2023年に隣の佐賀・唐津市で別の感染症が発生した際には、「糸島にも感染が広がらないか」と心配する日々が続いたという。

「井上ピッグファーム」・井上博幸さん:
見えてればいいがウイルスは見えない。正直な話、唐津で出た時は、毎日、豚舎に入るのが怖かった。ドアを開けて入ってブタを見ていく時に死んでないか、死んでないかと。

九州の養豚場 壊滅のおそれも

アフリカ豚熱は、2023年の感染症よりもさらに強い感染力を持っている。

ワクチンもなく、一度、侵入してしまうと影響は計り知れず、井上さんは九州の養豚業そのものが壊滅してしまうと危惧している。

「井上ピッグファーム」・井上博幸さん:
福岡は玄関、福岡から入ってきたら宮崎、鹿児島。養豚関係者は、福岡の数百倍いる。その方に迷惑かけられない。だから福岡が、水際対策を一番やってほしい。

コロナ禍が明けて再び増えつつある海外との人の往来。アフリカ豚熱は養豚業界だけでなく私たちの食卓にも大きく関わる問題だけに、改めてウイルス侵入防止の意識を高める必要がありそうだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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