8月5日から9月4日に開かれる、瀬戸内国際芸術祭2022の夏会期。直島、豊島(てしま)、女木島(めぎじま)、男木島(おぎじま)、小豆島、大島、犬島の7つの島と、高松港、宇野港周辺が舞台だ。
この記事の画像(10枚)島だけでなく、島へ渡る港周辺でも見所が増える。高松港から近い屋島の山上には、観光交流施設「やしまーる」が夏会期中にオープンする予定だ。
政府がインバウンド客の受け入れ再開を表明…瀬戸芸への影響は
また、作品にも見所いっぱいだ。ハンセン病療養施設がある高松市の大島では、病気と差別の歴史を伝える作品が展示される。
そんな夏会期を前に大きな動きがあった。
政府が6月10日から1日上限2万人の枠組みで、インバウンド(訪日外国人)客の受け入れ再開を表明したのだ。感染状況を見ながら受け入れの拡大も検討している。
過去最多の約118万人の来場を記録した前回(2019年)は、その2割余りがインバウンド客だった。今回の春会期では、来場者が前回の6割ほどに減少したが、インバウンド客の復活により、夏会期で増加する可能性が出てきた。
瀬戸芸でインバウンド客が多いのは、高松空港の国際便が充実していることも関係している。コロナ禍前は台北、ソウル、上海、香港便が運行していた。2年以上運休しているが、香川県の浜田恵造知事は、高松空港の国際便が早期に再開できるよう政府に要望する考えを示した。
来場者・地元民の双方が満足できるイベントに
一方で、心配になるのが感染防止対策だ。インバウンド客はマスクや検温、消毒をしてくれるのか。政府は感染防止対策のガイドラインを示したが、瀬戸芸の対策も見直しが迫られそうだ。
夏会期が終われば、9月29日からは秋会期も始まる。秋会期では、香川県西部の4つの島が加わる。
その1つ、本島(ほんじま)がある丸亀市では、6月から8月にかけて本島などの宿泊施設を利用した人に、1人当たり3000円を助成することを決めた。秋会期に向けてはずみをつけようとしている。
丸亀市の松永恭二市長は、「来る方も、受け入れる方も、両方に感染防止対策をしてもらい、だんだんと、そしてほどよい数が来てほしい」とコロナ禍で疲弊した地域の本音を語った。
これから国の内外から来る人には、地方で開催する意味を理解してもらい、来場者・地元民の双方が満足できるイベントになることを期待している。
瀬戸内国際芸術祭2022の夏会期は8月5日~9月4日、秋会期は9月29日~11月6日に開催される予定だ。
(岡山放送・前川裕喜記者)