クラシック音楽番組の制作に携わっていた、東京藝術大学客員教授の新井鷗子さん。
「肢体に不自由がある子どもたちが通う学校を見学した時、脳性麻痺の女の子がショパンの『ノクターン2番』を人差し指1本で一生懸命に練習している光景に出会いました。
彼女の演奏を科学技術の力を持って補えないだろうかと考えました」
生きがいを広げる「だれでもピアノ」
少女との出会いをきっかけに新井さんは、楽器メーカーと相談し、どんな人でも弾くことができる「だれでもピアノ」を開発した。
この記事の画像(6枚)指でメロディーを弾くと自動で伴奏してくれるため、障害のある人でも指1本で演奏することができる。
『ノクターン2番』を練習していた宇佐美希和さんは「それまでは誰かに伴奏してもらわなくてはいけなかったので、それが大きいです」と「だれでもピアノ」の誕生を喜ぶ。
ピアノにAIが搭載されているため、間違えてもやり直したところから伴奏が再開する「だれでもピアノ」。
今は、高齢者の認知機能の向上に効果があるかなどを調べている。
経験者も初心者もそれぞれのレベルで楽しめるピアノ演奏。
70年ぶりにピアノに向き合った84歳の女性は、「ピアニストになったみたい」と笑顔で語る。
初心者の69歳の女性も、「ピアノを聴いていると弾いてみたい気持ちになり、楽しみが増えました」と話した。
自分で奏でた音が生きがいに。
新井さんは、「ピアノを中心に街づくりができたらいいなと思っています。
病院と学校と福祉施設をつなぐなど、いろいろな社会資源をつなぐアイコンに『だれでもピアノ』がなっていったらいいなと思います」と語った。
「だれでもピアノ」
https://www.ymm.co.jp/feature2/daredemo_pianist.php
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