年末年始に開催される「年の市」。ここで多くの人が買い求めるものといえば、悪いものを中に入れないいわゆる結界の役割を持つ「しめ縄」などの縁起物。しかし、しめ縄などのわら製品の販売ができないところもあるという。
年の市にしめ縄がない
福島県福島市の福島稲荷神社で江戸時代から続く「年の市」は、2023年も12月25日から開催される。しかし、「しめ縄」などわら製品の販売を行わないことになった。
この記事の画像(7枚)福島稲荷神社の丹治正博宮司は「私も記憶する限り、こういった事態になったのが初めてでございますので非常に驚いております。その背景には難しい事情もあるようでございます」と話す。
職人の高齢化 製造できない
宮司も驚く事態、それが…職人の高齢化。年の市の実行委員会によると、福島県の県北地方でしめ縄を作る職人の高齢化が進行。「今年は製造できない」と連絡があったという。
丁寧に気持ちを込めて
実情を取材するため向かったのは、県中地方の福島県鏡石町。鏡石シルバー人材センターでは、地元の住民などから約1000件の注文があった。
10月下旬から2カ月をかけて完成させたのは、星正喜さん。「雑に作れば誰でも出来ると思いますけど、お客さんに良い正月を迎えて貰うには、神棚とかに飾る訳ですから、綺麗に気持ちを込めて作らなくちゃいけない」と話す。
作り手が確保できない
細かく丁寧な作業が求められるが、作り手は70歳の星さんと84歳の大河原一雄さんの2人だけに。星さんは「皆さん、90過ぎた方とか体調や具合が悪くなったと、あと亡くなられた方もいますので、その代わりの人達を確保しようとしても入ってこない」と現状を語る。作り手を確保するため講習会を開いたが、応募はなかった。
時代と生活環境の変化の中でも、脈々と受け継がれてきた「伝統文化」だけに、次の世代に繋いでいきたいところだ。福島稲荷神社の丹治正博宮司は「各ご家庭でも、昔は玄関先にしめ飾りを飾る、門松を飾る。こうした良き伝統を、どうやって次の世代に繋いでいくかということも、皆さんで考えて頂ければ」と話した。
(福島テレビ)