「肝心かなめ」などの言葉にあるように、生命活動の要となる臓器の一つが「肝臓」。
しかし、現代において、この肝臓の機能を低下させてしまっている人が増えているという。
肝臓の機能を低下させてしまう厄介な犯人が「脂肪肝」なのだ。
肝機能の低下や脂肪肝の原因で思い浮かべるのがアルコールだが、近年はアルコールを飲まない人の脂肪肝も増えているという。
その理由が甘い飲み物。糖質の取り過ぎによって肝臓に脂肪がたまってしまうそうだ。
「生体肝移植」を専門とする肝臓外科医の尾形哲さんの著書『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)から、一部抜粋・再編集して紹介する。
日本人の3人にひとりが脂肪肝
決しておおげさではなく、現代の日本は「脂肪肝の人だらけ」です。
いまのところ、日本人の約3人にひとり、推定約4000万人の人が脂肪肝だと言われていますが、現実にはもっと多いのではないでしょうか。
脂肪肝は、組織学的に肝臓に5%以上の脂肪沈着が見られる状態と定義されています。日本では健康診断で肝機能の数値の悪さを指摘され、エコー検査を受けた結果、脂肪肝と診断されるケースがほとんどです。
この記事の画像(4枚)ところが、通常のエコー検査では、肝臓に30%以上脂肪が蓄積していないと検出するのが難しいのです。これは30%未満で検出されない脂肪肝も多いということ。
推定約4000万人というのはエコー診断された人の数をもとにしているので、「5%以上の脂肪沈着がある人」ということでちゃんと調べたら、どっと人数が増えるのは間違いありません。
それに、多少肝臓の数値が悪くても放っている人もたくさんいるし、健康診断を受けていないために脂肪肝が進んでいることに気づいていない人もたくさんいます。そういう方々を含めれば、脂肪肝の推定人数は相当な数に上るはずです。