肝臓に脂肪が過剰にたまってくると、その脂肪が毒性を持つようになり、炎症細胞を呼び集めて肝細胞に障害やダメージをもたらすようになっていきます。これにより肝細胞破壊が進み、肝機能がどんどん低下していってしまうわけです。

とにかく、「肝臓に脂肪がたまる」ということは、基本的にあってはならないことであり、もうそれだけで異常事態だと考えるべき。脂肪肝という異常事態を見過ごしたまま進行させてしまうと、肝臓の機能がじわじわと弱り、それとともに日々を健康に生きる力もじわじわと弱っていってしまうのです。

だから、わたしたちは、決して脂肪肝という問題を軽く見てはいけません。「なーんだ、脂肪肝か…これくらい平気だよな」なんていう軽々しい態度をとるのは、自分から病気や不調を招き寄せて、健康な人生をみすみす放棄しているようなものだと思ったほうがいいでしょう。

『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)

尾形哲
長野県・佐久市立国保浅間総合病院 外科部長(肝胆膵)・救急医療部長、同院「スマート外来」担当医。医学博士。最新刊『甘い飲み物が肝臓を殺す』のほか『肝臓こそすべて』『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術』など著書多数。SNSでも肝臓から脂肪を落とす術を積極的に発信し、大きな反響を呼んでいる。

尾形哲
尾形哲

1970年生まれ。日本外科学会専門医、日本消化外科学会専門医・指導医、日本肝臓学会専門医。神戸大学医学部医学科卒業、同医学部大学院博士課程修了。フランス政府給費留学生としてパリ大学付属ボジョン病院に臨床留学。多くの肝移植手術を経験する。現在は佐久市立国保浅間総合病院(長野県)の救急医療部長兼外科部長として、肥満・脂肪肝専門の「スマート外来」で診察を行う。著書に『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)等。