日曜には僕のコロナ抗体は100%になる!

先週月曜(7/27)に港区の集団接種で2回目のコロナワクチンを打ってもらった。副反応はまあそれほどのことではない。ワクチン接種アプリによると僕のウイルス防御は現時点では66%、これが2週間後つまり日曜日(8/8)には抗体ができて100%になるということだ。

実際には重症化はしにくくなるものの感染リスクがゼロになるわけではない。ただワクチンで生活はかなりの部分ノーマルに戻れるかと思っていたのに、どうもそうではないらしい。8/3の東京都のコロナ陽性者は3709人、重症は112人。どちらも厳しい数字で、これまでの最悪の水準である。この数字に従って政府および地方自治体は医療のひっ迫を回避するために、緊急事態の継続、酒の提供禁止だけでなく都道府県間の移動も自粛しろと言い始めた。

だが東京の死者数を見ると連日1人とか2人で、ピークの頃の40人に比べると激減している。これは高齢者のワクチン接種が進み死者が減った。これにより、これまで我慢していた若者が街に出て感染が拡大した。デルタ株なので重症化する人も多い、ということなのだろう。

ワクチン打つまではおとなしくしてろ、というのが今の政府の方針なのだが、若者からすれば、もう高齢者は死なない、自分たちはあまり重症化しないのだからもうおとなしくはしないよ、ということで陽性が激増している。

緊急事態宣言下であるにも関わらず街には人があふれている
緊急事態宣言下であるにも関わらず街には人があふれている
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「緩んでいる」は若者に対して失礼だ

この現状について先日国会である議員が「緩んでいる」と言っていたのだが、これは若者に対して失礼ではないか。若者は高齢者の命を守るために、自分たちにとってはただの風邪であるにもかかわらず、これまで我慢して家にいた。学校に行けず、恋人もできず、経済的不安も大きい。彼らは自分の未来を犠牲にして高齢者を守った。だがもう高齢者は安全なのだから自由にふるまってもいいではないか。それを大人は「緩んでいる」と言う。僕が若者だったら怒る。いや彼らはすでに怒っている。だから街に出る若者は減らない。

もう一つの問題は、ワクチンを打った人が、ワクチンを打った田舎の親に会いに行ってはいけないという問題だ。どう考えても感染や重症化のリスクは低いのだが、政府は移動はウイルスを運ぶ可能性があるのでやめてくれと言っている。バカげている。

ワクチン打ってもまだ我慢しなさい

国民は政府から「副反応より効果の方が大きいからワクチンを打て」と言われておそるおそる打った。「打てば自由が待ってますよ」と言われて。だが打った後に、「いやまだ打ってない人がいるので念のためにもう少し我慢しろ」と政府は言っている。

欧米ではワクチン接種が進んだ後に再び陽性が増えているが、あれは2度の接種が終わった人に加えて、未接種者や一度しか打ってない人たちがみんな一緒になってマスクを外して大騒ぎしたから陽性が増えているのであって、未接種者はおとなしくする、接種が終わった人もマスクは外さない、などルールを守ればあんなことにはならないのである。

「マスクの着用義務なし」でイギリスで行われたサッカーの試合には6万人が集まった
「マスクの着用義務なし」でイギリスで行われたサッカーの試合には6万人が集まった

 

「ワクチンパスポート」で問題解決を

この問題は接種証明書(ワクチンパスポート)を発行することで解決する。ワクチンを打った人が同じくワクチンを打った友人と酒を飲みに行く。そのお店の従業員は全員ワクチンを打っている。ということであれば何の問題もないわけだ。実際に欧米ではこういうことが行われているのになぜか日本だけが「それはワクチンを打たない人への差別になる」と言って政府がやらせない。

ニューヨークでは来月から「ワクチン証明」の提示が義務化される
ニューヨークでは来月から「ワクチン証明」の提示が義務化される

政治家やメディアは「菅首相はワクチン頼みではなく、もっと国民に寄り添って語りかけろ」と言うが、いくら首相に語りかけられてももはや若者はおとなしくしてはいないと思う。彼らの行動を変えることができるとしたら、例えば30歳以下で世帯収入500万円以下の人にはワクチン接種を条件に10万円あげますとか、前述のワクチンパスポートの国内導入などしかないと思う。

こういうやり方は批判は受けるが実績は上がる、という意味でふるさと納税やGOTOキャンペーンなど首相がこれまで行ってきた政策に通じるものがある。是非実現してほしい。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。