東京と香港で相次いで起きた巨額強盗事件。
その背景にあると指摘されているのが『金売買』だ。
いま、”金”の取引相場が過去に例を見ない事態となっている。その背景と身近に迫る影響を追った。
■「毎日のように金を売却してお金を運んでいた」被害者の話に衝撃…
先週、東京・上野、羽田空港、香港と相次いで発生した巨額強盗事件。狙われた現金は6億円を超えていて、前代未聞の事態となっている。
一体、なぜこのような巨額の現金が運ばれていたのか。羽田空港で襲われた被害者の話に衝撃が走った。
被害者の話:毎日のように金を売却して、お金を運んでいた。
事件の背後に浮かび上がってきた金の売買。実は今、金相場がこれまでにない局面を迎えているのだ。

■まさに“狂乱相場”な金取引
先週、田中貴金属工業の店頭小売価格は、史上初めて、1グラム当たり3万円を突破。
しかし2月2日、一気に3500円も急落し、先物取引が一時中断する事態となった。
そして、4 日はまた大幅に上昇。
まさに狂乱相場ともいえる背景には一体何があるのか。取材班は専門家の元を尋ねた。
(Q:金は資産としてどういうものと理解すればいいか?)
りそな総合研究所・荒木秀之主席研究員:価値が0にはならない。どれだけ時間がたっても安心できる資産です。
しかし、最近の相場について異変をこう指摘する。
りそな総合研究所・荒木秀之主席研究員:上昇ペースが早過ぎたりとか、一方で急に暴落したりとか、いう状況が頻発しているという印象ですね。金が安全資産というだけでなく、投資対象というか投機対象という性格も持ち始めた。
もはや”安全資産”とは言えない側面も持ち始めたと指摘される金。実際に売買の現場では何が起きているのだろうか。

■貴金属店には朝から行列
4日朝、大阪市の貴金属販売店を訪れると、入店するための整理券が午前9時すぎには無くなっていた。
10時すぎに店を訪れた人:現金握りしめてきました。買いたいなぁって前々から言っていて。本日の整理券は完売しましたって…目を疑いました。
これまでには無かった様相を見せる「金」。神戸市の大丸神戸店にある店舗には、ずらりと金製品が取り揃えられていて、重箱はなんと1億241万円。
来店客:きのう50グラムのインゴット(金の延べ棒)を1つ買いまして、次はもう少し手頃なものを3点ほど買おうかと考えていました。

■金の買取業者に密着
また、大阪市内で取材班は金の買い取りを行っている業者に1日密着した。
金の価格が2万を超えてから金の持ち込みが増えはじめ、多い日は20人以上になる日もあるという。
これは2月3日、買取が成立した金製品、そのお値段は…18金ネックレスと指輪7点で55万円。カナダのメープルリーフ金貨1枚で80万5400円!
ゴールドプラザ梅田本店・三船仁司マネージャー:こんな金額になるんだっていうところでびっくりされる方多いです。

■「え?そんなに?」高額買取に嬉しい悲鳴
そして次に訪れたのが…60代の女性。終活をする中で、自分のアクセサリーなども整理しにきたという。
この日、売却しようと持ってきたのは30年以上前に3万円ほどで買った結婚指輪など。
“金”持ち込みの女性(60代):主人が3年前になくなって、処分どうしようかなって思ってたけど、3回忌も終わったし、ちょっとずつ遺品整理していて。子どもたちは処分しにくいじゃないですか。だから自分で気持ちを整理して…。
果たして、買い取り価格は…
三船仁司マネージャー:指輪2点で計95000円のお買取りになります
“金”持ち込みの女性:え!そんなするんですか!?
三船仁司マネージャー:(素材が)プラチナと金のコンビになりますんで。
“金”持ち込みの女性:(指輪に)日付名前いれているのは…?
三船仁司マネージャー:そこは関係ないので…。
そして、片方だけになった18金のイヤリングもあわせて、合計で10万4300円の買い取り額に。その使い道は…?
“金”持ち込みの女性:(結婚指輪は)あんまり2人ともつけてなかったんで。子育て忙しくてつけてなかったんで。(売却金で)孫にプレゼントできたら、そしたら主人も喜んでくれるかなってそれに使いたいと思います。

■砂金取りゲームが人気に
この状況に思わぬ影響を受けている場所があると聞いて取材班が向かったのは、日本屈指の鉱山として栄えた兵庫・生野銀山。
”銀山”のどこに金高騰の影響が出ているのか。担当者に話を聞くと…。
シルバー生野・高山孝一取締役社長:私どものこの砂金取りゲームって非常に人気なんですけども。去年と比較しますと1.5倍から2倍くらいの人気になってますね。
人気急上昇のゲームだそうで、記者も体験することに。お皿を使って砂の中含まれる金や銀、スズをすくい取るというもの。
高山孝一取締役社長:水の中で浮力を利用して軽い砂を追い出すゲームなので、だんだん砂が減ってきますね。
記者:結構難しい。
高山孝一取締役社長:そこが面白いところです。
砂が減ったところですくい上げる。果たして金は…
高山孝一取締役社長:これは大きい粒がスズ、キラッとしたのが銀。
記者:金は?
高山孝一取締役社長:次のチャレンジで。
なんとしても「金」をすくいたい…スタッフの指導を受けてチャレンジを続けること20分…金をゲット!
ちなみに、この砂金0.026グラムとごく少量だったが、2月4日時点の相場での価格は720円ほど。その価値の高さがよくわかる。

■金高騰の余波は身近な所にも…
さらに取材を進めると、私たちの身近なところにもその余波が迫っている実態が見えてきた。
訪ねたのは東大阪市にある工場。ここで主に扱うのは「銅」。銅はスマートフォンから自動車、家電まで身近な製品に使われている。ここでは月に25トンほどの製品を生産していて、ほぼすべての部品に銅が使われているという。
銅の価格はどのように変化しているのだろうか。
ハタメタルワークス・畑敬三代表取締役:20年前と比べると10倍ぐらい(高騰)。ただ、銅はすごい激しいんで。去年からまた急に上がりだしまして、3 割高騰。
急激な高騰に思わぬ発注もあったそうで…
ハタメタルワークス・畑敬三代表取締役:金の延べ棒と同じサイズの銅が欲しいっていう方いらっしゃったんで、そのサイズに切って…。
(Qその人は何の目的?)
ハタメタルワークス・畑敬三代表取締役:持っときたいみたいです。

■「金」を巡る動きは今後どうなる?
今後、金をめぐるこの動きはどうなっていくのだろうか。
りそな総合研究所・荒木秀之主席研究員:(金が)投資対象として動き始めたという流れはおそらく元には戻らないと思うんですね。自分は金を直接買ってないようなつもりであっても、投資信託の投資対象の一部に金がまざってるとか言う形なので。乱高下っていうところは、あんまりこう悪影響も出やすくなってきたのかなと。
安全資産だった金の変化。急な値動きにも冷静に対応する必要がありそうだ。
(関西テレビ「newsランナー」2026年2月4日放送)

