1901年に創業以来、中村屋はクリームパンの創案や純印度式カリー、中華まんの発売など、日本の食文化に「おいしい」を提案し続けてきました。現在も2021年に刷新した「真の価値を追求し、その喜びを分かち合う」という理念のもとお客さまへ向き合い続けています。
その中村屋が新たな挑戦として⽴ち上げた事業が、「Office Stand By You」です。「Office Stand By You」は、シェフが開発した常温保管が可能なスープを、電子レンジでたった90秒温めるだけで食べることができる、オフィス常設型の社食サービスです。
⽼舗の中村屋がチャレンジした新規事業の⽴ち上げについて、サービスの責任者であり発起⼈の文化・事業創造室 石原広大、商品開発に携わった食品開発部 シェフの⾦⾕将史に話を聞きました。
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左から文化・事業創造室の石原、食品開発部のシェフの⾦⾕
「モノづくり」から「事業づくり」への転換。中村屋の良さを⾒つめ直し、新たな「おいしい」の提供場所はオフィスへ
「Office Stand By You」は、福利厚⽣としてのスープ提供という単なる社食サービスに留まらず、企業の「健康経営®」(※)を支える側面もあります。導入に当たっては電子レンジをご用意いただくだけです。
スプーンやカップ、陳列棚といった備品もセットでお届けし、キャッシュレス決済で現⾦不要のため、管理の⼿間無く職場の食を⼿軽に充実させることが可能です。さらに、賞味期間は製造から1年あるため(お届け時は3カ⽉以上)、普段は社食として利用しつつ、ローリングストック⽅式の防災備蓄品として導入いただいている事例もあります。⽉額利用料と商品代の一部を企業が負担する仕組みで、従業員はレストラン品質の味を日常的に楽しめます。冬場や夏の冷房で冷えた時に体を温める「温活」も⼿軽に取り入れられます。
URL︓https://officestandbyyou.nakamuraya.co.jp/LP01
※「健康経営®」は、NPO法⼈健康経営研究会の登録商標です
中村屋は「創意工夫と挑戦で、これからのくらしに溶け込む、喜んでもらえる食を提案する」というビジョンを掲げています。この一貫した考えのもと、既存の枠組みを超えて「現代の働く⼈々が真に求める価値」を追求した結果、多忙なビジネスパーソンの食の課題を解決し、心身の健康と喜びを届けることで、一⼈ひとりのくらしに溶け込む新たな食の形「Office Stand By You」は誕⽣しました。
しかし、いきなり現在の「オフィス常設型の社食サービス」という形が⽣まれたわけではありませんでした。「社⻑直下で大胆に始まったプロジェクトだった」と石原は話します。
「社⻑から『中村屋がやる意義があり、食の領域で「商品開発」ではなく「事業創造」に取り組むこと。当社のリソースを使って、課題解決に繋がる事業を自由な発想で考えてほしい』というオーダーを突然受け、当時のもう一⼈のメンバーとディスカッションを重ねました。最初は、以前に別のプロジェクトで検討していたアイスを入り口にしようと考えました。しかし、結局『おいしいアイスを作る』というモノづくりに終始してしまいました」
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当時の様子を思い出しながら、笑って話す石原
石原は営業を10年経験し、商品企画を3年ほど⾏ってきたキャリアの持ち主。新商品開発の経験はあれど、「事業」を作り上げるという壁にぶつかりました。同時に、商品を磨き上げる「モノづくり」に強みを持っていた中村屋としても、「新しいビジネスモデルを作る」ことは大きな挑戦でした。
これまでの「良いものを作れば売れる」という発想から一度離れ、お客さまが真に必要としている「場所」へと意識を向けたことが、大きな転換点となりました。「おいしい」に向き合ってきた中村屋の商品を、お客さまが「真に必要としている場所」へ置くことで、自然と⼿に取ってもらえる体験価値を作る、という逆転の発想に辿り着いたのです。
そこで思い浮かんだのが、当事者として食の不便さを感じていたオフィスという場でした。高層オフィスではランチタイムにエレベーター渋滞が発⽣するなど、同じ不便さや不満を感じている⼈は世の中に多くいるのでは?と考え、その状況を確かめるべく、他社の総務の⽅々へヒアリングを重ねました。すると、「確かにオフィスの食環境は満足とは言えない状況である」という声が多く上がりました。お昼時の外出の負担や食事の選択肢の固定化など、ビジネスパーソンの切実な現状が浮き彫りになったのです。
オフィスという場で「おいしい」食事を提供するアイディアを具体化させるにあたって、石原は中村屋の本社オフィスへ他社の常設型の社食サービスを試しに導入しました。その利便性の高さ、社員の反応の良さを実感すると共に、課題も⾒えてきたといいます。
「どれもすてきではあるのですが、普段感じている『おいしさ』とは異なるように感じ、また商品によってはイメージ写真と実物に差がありました。そのため、オフィスであっても、もっと『おいしい』と実感できる、食で喜びが届けられるものを提供できないかと考えたのです。『安くてただ空腹を満たすための食』ではなく、『食べて良かった』と感じられるような体験です」
「おいしい」に向き合い続け、⻑年レストランを構えて調理技術を磨き上げてきた中村屋だからこそ成功させられる事業ではないかと自信を抱きました。
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「Office Stand By You」の各商品には、喜びを届けられるような工夫が用いられている
⽇常の「おにぎりにプラス⼀品」という光景から⾒えた、常温保管が可能なレトルトのスープという勝ち筋
オフィスという「場」の課題感を深掘りするなかで、石原が着目したのは従業員のリアルなランチタイムの姿でした。休憩室で観察すると、多くの従業員が自宅から持参したおにぎりやお弁当に、市販のカップスープをプラスして食事を済ませている光景を目にしました。 石原はここに、「プラス一品」への根強い需要と、中村屋が入り込むべき余地を⾒出したと話します。
「お昼時、多くの従業員がカップスープを飲んでいる姿を⾒かけました。もしこれを中村屋の技術で、よりおいしく満足度の高いものへ置き換えられたら、働く⼈々にとってもっと価値のある体験になるはずだと確信しました」
その確信は、自社オフィスで他社サービスを利用した実体験によって、より具体的な「勝ち筋」へと変わります。 一利用者として現場に⽴ち続けるなかで直面したのは、冷凍・冷蔵品ならではの切実な課題でした。温めに5分程度の時間を要するため、お昼時には深刻な「レンジ渋滞」が発⽣していたのです。
「さっと食べたいランチタイムに、レンジの前で数分待つのは大きなストレスになります。 他社の多くが冷凍・冷蔵で展開するなか、中村屋が30年磨き続けてきた常温保管が可能なレトルト技術を⽣かせば、待ち時間をわずか90秒に短縮できる。ここにこそ、独自の優位性があると考えました」(石原)
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過去、⾦⾕と共に商品開発も経験してきたからこそ⾒えてきた視点だったと話す石原
常温保菅の利点は利便性だけではありません。 導入企業は冷蔵庫の設置が不要で商品の日持ちも⻑いため管理負担がなく、運用のしやすさが際⽴ちます。 さらに「防災備蓄にも使える」という外部からの声も、サービスの形を確固たるものにしていきました。
しかし、この⼿軽さと中村屋が譲れない「レストラン品質」を両⽴させるのは容易なことではなかったと、開発を担ったシェフの⾦⾕は語ります。
「私たちは『レトルトとしてのおいしさ』ではなく、あくまで『レストランの味』を再現することを目指しています。先輩⽅から引き継がれてきた知⾒をベースに、素材の選び⽅や調理⼯程を何度も⾒直しました。私は20年以上レストランでシェフを経験した後、食品開発に携わって5年が経ちますが、いまだに全てを分かりきれないほど、レトルト食品の世界は奥が深い。 その難しさに正面から向き合ってこそ、今の品質があると感じています」
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「Office Stand By You」のみならず、他のレトルト食品も担当するシェフの⾦⾕
この高いハードルに挑む一⽅で、利便性とコストとのバランスも調整を重ねました。「Office Stand By You」の陳列棚は、中村屋の菓子部門で使用していたリソースを巧みに活用し、小規模なオフィスにも設置できるコンパクトな設計となっています。
全てをゼロから開発するのではなく、社内にあるリソースを最大限に⽣かすことで、コストを抑えながらも中村屋らしい安心感のあるサービス形態を素早く形にすることができました。⻑年の蓄積と現場での実感が結実し、「Office Stand By You」の具体的な輪郭が完成したのです。
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中村屋のこれまでのリソースも活かしながら完成した、専用什器
オフィスに笑顔を届けるために⽣まれた、様々な葛藤。「おいしい」と「健康」の両⽴を目指して進んだ商品開発
中村屋には、1927年の喫茶部(レストラン)開設以来培われてきた調理技術をレトルトに落とし込む、30年近い知⾒の蓄積があります。しかし、「Office Stand By You」のスープ開発を担った、レストランでの調理経験を20〜30年も積み上げてきた「食のプロ」たちに石原が求めたのは、「カラダにやさしい」という制約でした。
この「健康」への強いこだわりは、石原自身の原体験に根ざしています。「健康を気遣いたいけれど、時間も選択肢もないから妥協している」。そんな仲間の姿を目の当たりにしたからこそ、石原には、単にお腹を満たすだけでなく、塩分や砂糖を抑えたスープをプラスすることで、働く⼈の体をいたわる「真に価値ある一杯」を届けたいという強い想いがありました。
現場を指揮したシェフの⾦⾕は、当時の葛藤をこう振り返ります。
「正直なところ、『ここに塩や砂糖をもう少し足せれば、もっと簡単に美味しくなるのに!』と石原に訴えたこともありました。ですが、今回は素材そのものの旨みを引き出し、働く⼈の心身を整えるスープを届けることが絶対条件です。安易な⼿法に頼らず、調理⼯程をゼロから⾒直し、プロとしての意地で納得のいく味を追求し続けました」
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当時の様子を振り返りながら、笑い合う2人
そのこだわりは、12⽉に発売した「スープカリー」にも表れています。オフィスという環境に配慮し、デスクで食べても⾹りが周囲の刺激になりすぎないよう、オフィスでのランチタイムに最適な、落ち着いた深みのある味わいへと進化させています。
一⽅で、この「磨き上げ」を重視する中村屋の文化は、新規事業に求められるスピード感との衝突も⽣みました 。外部のアドバイザーからは「まずは需要の検証が最優先。商品作りに時間をかけすぎるのは本末転倒だ」と、品質への熱量を抑えるよう迫られる場面もありました。
「事業としてのスピード感と、妥協できない『おいしい』の担保。そのせめぎ合いの中で、どこまで突き詰めるべきかという葛藤は常にありました」と石原は語ります。
実は当初、社内では「中村屋」のブランドを冠することに対し、⽼舗の名を出す以上、求められる基準が高くなることから、慎重な議論もありました。しかし、出来上がったスープは、テスト販売の段階で「やはり中村屋さんだからおいしいね」とのご評価を多くいただきました。
プロとしての誇りと、働く⼈の健康を想う情熱。その両者が高次元で融合し、中村屋のブランドを背負うに相応しい商品が完成し、「Office Stand By You」は世に送り出されたのです。
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「スープカリー」をはじめ、各商品に「おいしい」を届けるための工夫が込められている
さらにオフィスワーカーを支える存在を目指して。これからの「おいしい」の届け方
「Office Stand By You」は2025年5⽉に試験的に提供開始し、同年11⽉に本格提供を開始しました。
サービスの名称には、オフィスに「スタンド(食の専門店)」を届け、「働くあなたを支えたい(Stand By You)」という真っ直ぐな想いが込められています。一袋のスープを通じて、単なる空腹を満たす以上の「満足感」や、心ほどける「喜び」を分かち合いたい。それが、このサービスが目指す姿です。
その想いは、「“おいしい”でオフィスを笑顔に」というビジョンに込められています。それを体現する今後のサービス展開について、石原はこう語ります。
「オフィスの中にずっといると、どうしても季節の移り変わりを感じづらいものです。だからこそ、今後は食を通じて四季を楽しんでもらえるようなラインアップを届けていきたいと考えています。ふとした瞬間に心がほぐれるような『季節の楽しみ』や、『今日はどの商品にしようかな?と選ぶ楽しさ』を届けることが、私たちの役割だと思っています 」
開発の現場も、この挑戦を前向きに捉えています。シェフの⾦⾕は、これからの決意を次のように話しました。
「企画が来るたびに『難題がきたな』というのが正直な想いですが、同時に大きなやりがいも感じています。この高い壁を一つひとつ乗り越えていくことが、後に続くシェフたちの知⾒や技術の継承にも繋がっていく。その一助になればという気持ちで、チーム全員で取り組んでいます 」
120年以上の歴史を持ちながら、なかなか新たな一歩を踏み出せずにいた中村屋にとって、この新規事業の⽴ち上げは組織の変⾰そのものでした。
石原や⾦⾕をはじめとしたチームのミッションは、これからも「Office Stand By You」を全国各地のオフィスに広げ、中村屋の「おいしい」を一⼈でも多くの⼈に届けることです。スープの一口で、働く⼈々が笑顔になれる未来を目指し、中村屋の挑戦はこれからも進化し続けます。
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参考リリース
【Office Stand By You についてのお問い合わせ】
株式会社中村屋 「Office Stand By You」運営事務局
TEL︓03-5325-2705 / Email:osby_info@nakamuraya.co.jp
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