自動車の利用が高止まりする一方、バス利用は減少し続ける広島市。1月20日から市内初となる「自動運転バス実証運行」が始まった。
運転士不足や人口減少が進む中、地域の足をどう守るのか。未来の公共交通を探る。

広島市初の自動運転バス、実路線へ

JRあき亀山駅と安佐市民病院を結ぶロータリー。ここを起点に、自動運転バスの実証運行が始まった。バスに搭載されたシステムが信号を認識し、障害物との距離を測定。周囲の状況を予測・判断して車両を自動で走らせる仕組みだ。

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広島市では、バス運行会社8社と官民共同で立ち上げた「バス協調・共創プラットフォームひろしま」が、総事業費5000万円を投じ、自動運転バスの普及を目指してきた。20日は、松井一実市長をはじめ関係者約40人が集まり、実証運行のスタートを見守った。

今回の実証運行は、5段階のうちレベル2にあたる「運転士が同乗・監視」しながらの走行である。路線は、実際に広島交通が運行する安佐北区可部の循環ルート。片側一車線の平たんな道で、自動運転に適していることから選ばれた。

センサーが歩行者に反応し、自動停止
センサーが歩行者に反応し、自動停止

走行中、前方を横切る人やバイクにセンサーが反応。バスは自動で停止した。
カーブに入る場面では、石井記者がこう伝えている。
「今カーブに差しかかりました。ちょっとずつストップする感じはありますが、ちゃんと曲がっています。運転士さんはハンドルを触っていません」
運転士はハンドルのそばに手を構え、いつでも対応できる体制で監視。多少の揺れはあるものの、約5km・16分のルートを問題なく走行した。

乗車した松井市長は「快適でしたよ。ブレーキの踏み方が少し乱暴なところもあったけれど、自動運転はたいしたものだと感心しました」と語った。

バス利用低迷と運転士不足に対応

この取り組みの背景には、広島市の交通構造の変化がある。

広島市民の交通手段分担率
広島市民の交通手段分担率

市民の移動手段の分担率を見ると、2021年時点で自動車は66.8%。日常生活における車への依存度は上昇を続け、高い水準で推移している。
一方、バスの割合は大きく低下。1987年には6.6%あったが、2021年には1.9%にまで落ち込んだ。実数で見ても、1988年に約30万2000人いたバス利用者は、2023年には約14万8000人。35年で半減した。人口減少による利用の縮小は、交通事業者の経営を直撃している。

運転者数の推移(バス協調・共創プラットフォームひろしま調べ)
運転者数の推移(バス協調・共創プラットフォームひろしま調べ)

運転士不足も深刻で、2020年に1820人だった運転士は、2024年には1665人と、5年で155人減少。高齢化も進んでいる。
こうした状況の中で、自動運転は“公共交通の空白地帯”を生まないための手段なのだ。

2027年度の無人運転を目指す

広島県内ではすでに東広島市や福山市、呉市などで自動運転バスの実証運行が行われている。

広島交通の手島忠幸社長は、数年前から計画してきた取り組みがようやく形になったとしたうえで、「やっとこの日を迎えることができてうれしく思っています。非常に期待している。とにかく安全を最優先に実証運行を進めたい」と話す。

今回の実証運行は2月6日まで。平日15便、土日12便で、ホームページでの事前予約制。利用者アンケートから課題を洗い出し、改善を重ねていく。その先に見据えるのは、2027年度の無人運転だ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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