金や銀の国内小売価格の指標とされる田中貴金属工業の20日の店頭小売り価格です。いずれも1g当たりの価格で金は2万6312円、銀は530.09円。金銀共に史上最高値を更新しました。
1年前と比べて金はおよそ1.65倍。銀に至っては何とおよそ3倍となっているのです。まさに異常ともいえる価格高騰。
私たちの生活になくてはならない「あの現場」も今、苦境に立たされています。
金沢市にある歯科医院。
いま現場が悲鳴を上げているのが、銀歯の価格高騰です。
歯科前多 前多裕院長:
「銀歯とかに使われている金属の材料費というのは高騰しています。以前ウクライナ(へのロシア侵攻)が始まった時も非常に高騰していたんですけども、歯科の金属の中には金も入っていますので、非常に今、値段が高くなっています」
銀歯は、金・銀・パラジウムという3つの金属の合金で出来ています。
およそ4年前、「ロシアのウクライナ侵攻によるパラジウムの価格高騰により銀歯が値上がりしている」という話題でこの歯科を取材しました。その際に見せてもらった合金の仕入れ価格は…30gで10万500円でした。当時も侵攻前より3割上がったという事でしたが、今回は…
稲垣アナ:
「えっ!14万7100円ですか!」
今月13日に購入した合金は30gで14万7100円。今週購入する分はさらに高くなるそうです。
歯科前多 前多裕院長:
「最近の金の高騰があって、上がり方は昨年の年末からまた急激に上がってきているような状況です。私たちはこれを時価で購入していますので、明らかに現状は、国が定めた材料費よりも、実際に使っている材料費の方が高くなっちゃって、完全に『持ち出し』になっています」
最新の合金の価格を1gあたりにすると5390円。
一方、国から補填されるのは1gあたり3802円。差引およそ1600円の赤字です。
そして、銀歯は1gでは作れません。
歯科前多 前多裕院長:
「上の奥歯なんですけど、大体3.5g前後。単純に言うと、3倍にしても(銀歯一本で)大体5000円弱ぐらい…歯を入れるために5000円弱ぐらいは本来足りていないんです」
最近の歯科治療では、銀歯だけではなく、プラスチック素材の歯でも保険が適用されます。しかし、プラスチック素材の歯は銀歯と比べて強度や耐久性で劣る他、複数の歯をカバーするものは銀歯でしか作れないなど、まだまだ銀歯の需要が高いのが現実です。銀歯を使えば使うほどクリニックが赤字になる状況。
患者からも治療費に関する質問が増えたといいます。
前多裕院長:
「『いくらぐらいかかりますか』という質問はしょっちゅう受けます。そこは正確に『これぐらいかかります』とお話を事前にして、算段をして頂いて治療を進めるという…それなりの費用が掛かるという…患者さんの負担としては避けられないと思います。だからやっぱり歯は大事にしてください」