「ひろしま満点ママ!!」から気になる情報をお届けするコーナー。
今回は大人がやるべき家事や家族の世話を日常的に行っている子どもたち「ヤングケアラー」について取材しました。
【久保田 夏菜 リポーター】
「ヤングケアラーコーディネーターというのは、どういう方たちのことを言うんですか?」
【ヤングケアラーコーディネーター 三苫 倫子 さん】
「子供たちや、その家族が、学業や友人関係、将来への不安などを感じることなく暮らせる社会の実現に向けて、市町と連携した活動を行っております」
この春、「ヤングケアラーコーディネーター」に就任した三苫さんは県内の市町を巡り、ヤングケアラーに関する情報収集や、支援マニュアルの作成などを行っています。
そのほかに、こんなことも。
【三苫さん】
「学校関係者や民生委員、児童委員、ケアマネージャー、一般県民を対象に、要請に応じた出前講座を行っております。ヤングケアラーは、周りの大人が気づいてあげるというところが大切になってきますので、そういった気づきのポイントについても説明をさせていただいたりしております」
ヤングケアラーと思われるこどもにまわりの人々が早期に気づくポイントは?
【三苫さん】
「本来学校へ行くべき時間以外で、子供が、幼い兄弟の保育園への送迎をしてたりとか、学校へ行くべき時間にスーパーなどで買い物をしている姿を見かけたりとかした場合には、地域の方たちが、『あれ?この子はもしかしたらヤングケアラーではないのかな…?』という風に気づいてあげることもできるのかなというふうに思います。
地域の関わりが、今はちょっと少なくはなってきているんですけれども、毎日毎朝見かける子供の姿がなかったりというようなところで、周りの大人の気づきによって支援につながっていくと思いますので、皆さんが子供たちを一緒に支えていくことが大事だと思います」
そうした地域住民のサポートに注目し、いち早く活動を始めているグループがあります。
【高陽ヤングケアラー広場 山本 カヨ子 さん】
「令和3年の4月から始めました。今、5年目を歩んでおります」
広島市安佐北区の真亀公民館。
こちらで、月に1回、第3土曜日に開かれているのが「高陽ヤングケアラー広場」です。
【山本さん】
「先月おられた方には少しだけお話したんですけども、高陽ヤングケアラー広場へ、元ヤングケアラーだった方が相談に見えました」
山本さんは以前、認知症の人やその家族が気軽に集まり交流できる、認知症カフェを開いていました。
しかし、コロナ禍で活動を自粛。
その時に気づいたことがあったそうです。
【山本さん】
「高齢者(の支援する場)はいっぱいあるけど、ないのは子供たち(の支援する場)。支援がちょっと足りなくなってるんじゃないの?って。少子高齢化だから、子供たちも大事にしなきゃいけないねっていうんで、それで『ヤングケアラー』っていうものを何かよくわからんけど、学習会をしながら、みんなで取り組みを始めましょうということで始めたのが、本当にきっかけなんです」
当時は、「ヤングケアラー」という言葉も知られておらず、自治体などの支援も始まっていませんでした。
そこで、認知症カフェを一緒に取り組んでいた仲間とともに情報を集め、勉強会で共有するなどして、知識を深めていったそうです。
すると、その活動が噂になり…
【山本さん】
「関心を持たれたのは、やっぱり民生委員さんたちのグループでしたね。最初はやっぱりようわからん。でも家庭訪問する。ちょっとそこの家の家庭の子供たちが心配だねってなる。で、『ヤングケアラー』ってどういう子供たちのことか、自分たちも知らないといけないっていうことで、すごく関心を持たれた」
地域の民生委員や社会福祉協議会の担当者などから、話を聞かせて欲しいと依頼されるようになりました。
【山本さん】
「10月17日ですけど、広島市南区の地域包括支援センターの職員さんを対象にした事例検討会をされました。子供さんが介護をしている、しかも学校へ行っていない。そういう事例にぶつかった時に、どういうふうな対応をすればいいんですか、というのを課題に出しておられました」
今では、広島市内だけでなく、近隣の市町にも足を運び、ヤングケアラーについて話をしています。
【山本さん】
「別に、個人的に子供たちにこういう支援しようとかいうことじゃなくて、地域の啓蒙活動していくことが大事なんだからということの取り組みです」
こうした活動を続けるうちに「ヤングケアラー」本人から直接相談を受ける機会も増えてきました。
【山本さん】
「不登校になって自分は苦しんだと。で、今、どういう風にしていいかわからんっていうような方が、急に知り合いの人が電話をかけて飛び込んでこられた」
当事者と接する際の声かけは、ちょっとした相槌にも気を配ります。
【高陽ヤングケアラー広場の参加者】
「もうこの世の終わりだっていう意味のことをおっしゃったんですよ。これは、すぐ『そうじゃない』って言うんじゃなくて、『ああ、そう思ったんだ』っていうふうな感じで、3人が聞かせてもらって、じゃあ次何か発言するっていうときに…」
「親切で、『あら、どうしたの?』とかけた言葉か、それは大きなお世話になることもあるし…」
「良かれと思って声をかけても、かけて欲しくなかったみたいな時もあるし…」
【山本さん】
「他人事じゃないっていうことをやっぱりみんながわかってると、声のかけ方も違うと思うんですよ。(参加者から)さっきも声の言葉のかけ方が難しいっていう意見もあった通りで…。やっぱりちょっと我が事として考えたら、むやみやたらに『どうしたの?』とか『お母さんはなんで家のことせんの?』という言葉をかけるんじゃなくて、『今日は暑いね』とか、『ゴミを出したんだね』とかね、そういう言葉かけでいいと思うんですよ。だから本当にさりげなく子どもたちに向かって何か発信してやる。それがホッとするひとときになると思うんですね。『あのおじちゃんはいいおじちゃんだね』とか、『あのおばちゃん優しいね』とか、わかればそれでいいんですよね」
ヤングケアラーは決して他人事ではないと山本さんは話します。
【山本さん】
「自分のことではない、違うことっていう風に思う方も結構おられると思うんです。それに負けないで、ヤングケアラーって特別な子どもたちじゃないんだよ(ということを世の中に広めていくことが大事)。ある日突然、今の時代のように災害が頻繁に起きてくると、お父さんが病気になるかもしれないし、おばあちゃんが車椅子になるかもしれない。いつ何時、そういう立場になるかもわからん。そしたら他人事じゃないんだよっていうことを私たちは言っております。だからみんな『ヤングケアラーのことを理解しておきましょうね。万が一自分のところがそういう風になったとしても地域の人たちが守ってくれるからね』っていうことでお話ししてます」
5年前、県内にはほとんどなかったヤングケアラーをサポートする体制も少しずつ整えられています。
【山本さん】
「やっぱ場所作りがしたいねという方、結構おられます。 場所が作りたいんです言うてね。で、そういうところの支援は私たちも応援させてもらいますよって言ってるんです。ここで学んでいることが役に立ってるっていうのが、もうとっても私はありがたいなと思うんですよね。まあ無駄ではなかったかなと思ったりしてます」
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「ヤングケアラー」は今や社会問題となっていて、全国的に支援を進める動きがみられています。
広島市では、去年、民間に委託して始めたヤングケアラー専用の相談窓口が設置されました。
「相談窓口」は水曜日と年末年始を除き午前10時から午後7時まで開かれています。
相談に応じるのは相談員4人、心理士1人で、内容に応じて区役所など関係機関に同行してくれるなど幅広い支援をしているということです。
去年10月からの3カ月間で10件程の問い合わせがあり、内容としては「親族の介護に関すること」や「進学相談」、「心のケア」に関する相談があったということです。
【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「もちろんまだまだ氷山の一角なんだと思います。若い方でも特に学校に行けてないっていうような環境にあればあるほど、自分が支援を受ける当事者だっていうふうに意識が回らないと思います。それを知ったとしてもどうですか。我々10代の時に知らない大人とか行政に助けてくださいって行きづらかったと思います。 そういった課題をどんどん洗い出していくことが、今一番必要なところもあるのかなと思います」
こうした窓口設置の背景として「ヤングケアラー」というものが広く知られていないことや「当事者」を洗い出せれていない部分もあるということです。
そうした状況ですが、支援の幅は広がっています。
去年12月には、当事者が安心して交流できる「ヤングケアラーピアサポートオンラインサロン」が始まりました。
初回はユーチューブ配信で行われましたが、同じ立場の仲間とつながり、情報交換や気持ちの共有ができる場所となっているほか、専門のスタッフも参加しているので相談やサポートも受けられるということです。
次回は3月に予定しています。
また、相談窓口もあります。
社会から孤立しないためにも心当たりのある人は一度、相談してみてはいかがでしょうか。
【相談窓口】
《こどもの相談センターわかくさ》
広島市東区光町一丁目9-19
午前10時~午後7時(水曜日・年末年始除く毎日)
電話:082-298-0581
メール:y-wakakusa@shudoin.or.jp
*そのほか 各自治体の子ども家庭センター