鹿児島市内で発生した高齢ドライバーによる死亡事故の裁判で、85歳の被告に対して執行猶予付きの判決が下された。車の操作ミスが招いた悲劇に、裁判所は高齢者の運転継続の判断にも一定の理解を示した形だ。

アクセルとブレーキの踏み間違いで4人死傷

2024年11月15日、鹿児島地方裁判所において、鹿児島市下荒田1丁目で起きた交通死亡事故の判決が言い渡された。被告の吉崎順子被告(85)は黒のジャケットとズボン姿で法廷に現れ、ピンクのハンカチを握りしめながら証言台に立った。

小泉満理子裁判長は「禁固3年に処する。この日から5年間、刑の執行を猶予する」と判決を読み上げた。

この記事の画像(6枚)

事件は2024年11月、吉崎被告が鹿児島市下荒田1丁目の交差点を普通乗用車で右折する際に発生した。吉崎被告はブレーキとアクセルを踏み間違え、車を暴走させ横断歩道と歩道にいた男女4人をはねた。この事故で歩道上にいた姶良市の会社員男性が死亡、他の3人が重傷を負った。

5回の事故歴も「高頻度とは言いがたい」と判断

裁判の過程で、吉崎被告が75歳を超えた後期高齢者となってから、今回の事故を含め6回の交通事故を起こしていたことが明らかになった。しかし小泉裁判長は判決理由において、「ほぼ毎日、自動車を運転していたことを踏まえると、事故を高頻度に起こしていたとは言いがたい」と指摘した。

また、「事故の2週間前の免許更新の際、適正検査で異常がみられなかったことから、運転免許を返納しなかったことを直ちに非難することができない」との見解も示された。

一方で被害者に対しては、「死亡した被害者は安全が確保された歩道で突然事故に遭い、その苦痛や無念は言い尽くせない」と述べ、被害の重大性を認めた。

裁判所に足早に入る被告

判決当日、取材陣が見守る中、吉崎被告はマスク姿で鹿児島地裁に足早に入っていく様子が確認された。吉崎被告は起訴内容を認めており、裁判は事実関係よりも情状や量刑が焦点となっていた。

この事件は、高齢ドライバーによる事故が社会問題となる中、運転継続の判断や高齢者の移動手段確保などの課題を改めて浮き彫りにした。裁判所の判断は、運転適性検査をパスしていた事実を重視し、免許返納を選択しなかったことへの批判を控える内容となった。

(動画で見る▶「歩道で突然奪われた命」85歳運転で歩道の4人を死傷 鹿児島地裁が執行猶予付きの有罪判決)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(6枚)
鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。