寒さが厳しい冬の東北で、ウマ年にちなみ思わず「ウマが合う」と唸る特別な旅がある。岩手県一関市の景勝地・猊鼻渓で体験できる冬季限定の「こたつ舟」だ。極寒の外気と温かなこたつのギャップを楽しみながら、水墨画のような雪景色を眺める。船頭さんの巧みな解説と名物料理で心も体も温まるこの舟下りは、まさに冬の醍醐味。国内外から多くの観光客が訪れる人気スポットだ。

昔ながらの豆炭こたつ

日本百景の一つに選ばれている一関市の景勝地「猊鼻渓」は、高さ100mにもなる岩の壁が約2kmにわたって続く渓谷だ。

ここでは、船頭の案内を受けながら、ゆっくりと舟下りを楽しむことができる。

日本百景の一つ、一関市の景勝地「猊鼻渓」
日本百景の一つ、一関市の景勝地「猊鼻渓」
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新緑や紅葉など四季折々の絶景を誇る猊鼻渓だが、雪が降る冬には水墨画のような幻想的な世界が広がる。

氷点下にもなる厳しい寒さの中、冬限定で運行される「こたつ舟」は特に人気を集めている。

水墨画のような雪景色を眺めながらの舟下り
水墨画のような雪景色を眺めながらの舟下り

このこたつ舟の特徴は、電気ではなく昔ながらの「豆炭」でこたつを温めること。

船頭の菅原明さんは「電気がないので昔ながらの豆炭。時間的にももつので昔から使っている」と説明する。

昔ながらの「豆炭」のこたつ
昔ながらの「豆炭」のこたつ

外の極寒とこたつのぬくもりというギャップが旅の魅力をさらに高めている。

「男岩」「少婦岩」の姿が美しい

猊鼻渓は2025年に国の名勝指定100周年を迎えた歴史ある渓谷だ。

舟下りはエンジンを使わず船頭が「棹一本」で往復するスタイルで、全国でも珍しい。

船頭が「棹一本」で往復する舟下り(2025年夏撮影)
船頭が「棹一本」で往復する舟下り(2025年夏撮影)

船頭の菅原明さんは、渓谷の見どころを丁寧に解説してくれる。

船頭の菅原明さん:
「左側の真っすぐな高い岩をご覧ください。壮夫岩、高さ90mです。凛々しく立っている様から『男岩』。そして川に出っ張っている黒っぽい岩が見えてきました」

男岩と少婦岩が寄り添って見えることから『夫婦岩』といわれている
男岩と少婦岩が寄り添って見えることから『夫婦岩』といわれている

船頭の菅原明さん:
「これは『少婦岩』といって少女の横顔に見える岩。上流に行って振り返ると寄り添いあって見えることから『夫婦岩』となります」

鍋料理で温まる極上の時間

舟では食事をしながら絶景を楽しむこともできる。

冬季限定の前沢牛すきやき弁当と名物の木流鍋のセットは、豆腐とカモ肉を味噌で煮込んだ鍋で、体を芯から温めてくれる。

名物の木流鍋
名物の木流鍋

美しい景色にこたつ、そしておいしい鍋の組み合わせは、まさに"ウマが合う"体験だ。

冬季限定の前沢牛すきやき弁当と名物の木流鍋のセットをこたつ舟で味わう
冬季限定の前沢牛すきやき弁当と名物の木流鍋のセットをこたつ舟で味わう

取材当日も、国内外から多くの観光客がこの特別な舟下りを楽しんでいた。

名古屋から訪れた人は「こたつは家でしか入らないので、家(舟)の中の暖かさと外の空気を同時に感じられたのが魅力」と語っていた。

こたつ舟を楽しむ名古屋から訪れた観光客
こたつ舟を楽しむ名古屋から訪れた観光客

台湾から来た観光客は「こたつ舟は冬の感じでよかった」と冬ならではの舟下りを楽しんでいた。

高さ124mの「大猊鼻岩」で運試し

折り返し地点では、いったん舟を降りて散策ができる。

そこで目にするのは、高さ124mもの巨大な「大猊鼻岩」だ。冬は木々の葉が落ちるため、岩の模様までくっきりと見ることができる。

高さ124mもの巨大な「大猊鼻岩」
高さ124mもの巨大な「大猊鼻岩」

川岸から約20m離れた場所には小さな穴があり、素焼きの玉を投げて運試しをすることができる。"福"、"財"、"愛"など6種類の玉から選んで挑戦。

素焼きの玉を投げて運試し
素焼きの玉を投げて運試し

約1時間半の旅の締めくくりは、船頭さんが歌う「げいび追分」。静かな渓谷に響く歌声が、冬の舟旅をさらに情緒豊かに彩る。

冬季限定の「こたつ舟」で極寒の渓谷を“ぬくぬく”進む
冬季限定の「こたつ舟」で極寒の渓谷を“ぬくぬく”進む

極寒の絶景と、ぬくもりが詰まったこたつ舟。とても“ウマが合う”冬ならではの旅だ。

岩手めんこいテレビ
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