被告は合理性の欠如を主張

一方、被告の健一さんは、合意書は交際を円満に進めるために作ったに過ぎず、実際に慰謝料の支払い義務を負うことを意識して作成されたものではないなどとして、「無効」だと主張した。

そして交際は2023年8月に終了したため、将来の結婚を前提とした合意書も解除されており、仮に解除されていないとしても500万円という額は著しく不相当に過大な違約金で、合理性を欠いていると訴えた。

さらに、「MIKI」とのメッセージについても、交際解消後のため不貞には当たらず、メッセージの内容は認めつつ、性的関係を持ったという点は否認した。

暴行については、2022年年末頃の暴行など一部については認めるが、継続的な暴行は否定。さらに、修理費用の見積りは合理性に欠けており、原告・真理さんは退去していないため損害は具体化していないとも主張した。

裁判所の判断は…

東京地裁は、交際を続ける目的で暴力を加えないこと、不貞をしないことなどを相互に約束する合意書が交わされたと認定した。ただ、その内容について「別れ話をしたら500万円」など、そもそも慰謝料が発生するとは考えられないものまで記載されている点から、「お互いが相手に求めることを相互に記載したもの」と捉えた。

そして、交際している男女が当事者限りで作成したものである点や、弁護士などの助言を受けていない点、500万円という慰謝料が一般的な水準を超えて相当高額である点などを指摘した上で、「法的拘束力を発生させるような意図があったとまでは解しがたい」として、合意は無効と判断した。

ただし、不貞や暴力という不法行為に基づく一般的な損害賠償の範囲では、有効とした。

東京地裁
東京地裁

不貞行為の損害賠償については、交際は婚約に準じる状態にあり、別居後も宿泊が続いていたことから関係性は解消されたとはいえないと認定。「MIKI」とのメッセージから一度は性的関係を持ったと推認され、慰謝料は10万円が相当と認めた。

暴力については、映像として残っていたものや、診断書から2023年11月の暴行を認定し、慰謝料30万円を認めた。

建物の損害は、壁や玄関ドアを損傷させた事は認めたが、現時点で想定される退去時の原状回復費用の増加分に限られるとして、5万円を認めた。

結論として、東京地裁は2025年12月、被告・健一さんに対して慰謝料など計45万円の支払いを命じた。

プライムオンライン編集部
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