今年度の熊本県近代文化功労者に、映画監督の中山 節夫さん、銅版画家の秀島 由己男さん、教師の志賀 哲太郎さんの3人が選ばれました。去年11月に県庁で行われた顕彰式で本人や関係者が今後の活動などについて語りました。

熊本県近代文化功労者は、教育・学術・芸術などあらゆる分野で近代文化の発展に貢献し、その功績が顕著である個人を対象に選ばれるものです。今年度は3人が選ばれました。

映画監督の中山 節夫さん(88)は合志市出身で、デビュー作『あつい壁』でハンセン病に対する社会の偏見と差別の実態を浮き彫りにしました。

また、ハンセン病患者とされた男性が冤罪を訴えながらも殺人の罪で死刑となった『菊池事件』を題材に、映画『新・あつい壁』を製作。声なき者たちの思いを社会に訴え続けてきました。

【映画監督 中山 節夫さん】
「再審が1月に通るか通らないかということがあるものですから、ハンセン病が非常に今、クローズアップしてきているせいでしょうが、映画を見る人は今、多いです。農業高校の子どもたちをずっと長く追いかけてみたい。作物や家畜を育てながら、自分も育っていくような映画を撮りたい」

銅版画家の秀島 由己男さんは1934年、水俣市に生まれ、繊細で緻密かつ幻想的な表現で人間の悲しみや苦悩を刻んだ作品を数多く制作しました。

【銅版画家 秀島 由己男さん】
「この世のものでもない、あの世だけのものでもない、もう一つの世界があるというようなものが私の核になり、作品が作られているという思いがいたします」

秀島さんは1992年に玉名郡三加和町、現在の和水町に移住。作家・石牟礼道子さんの新聞連載小説『春の城』の挿絵のほか、合作の詩画集を刊行するなど幅広く活動し、84歳で亡くなりました。

和水町が作品やコレクションなどの遺品を管理し、定期的に作品展を開催。2024年度からは町内の中学校に作品を展示しています。

【和水町 米田 加奈美 教育長】
「できるだけたくさんの人に秀島先生の作品を味わっていただきたいと思います。案の段階ですが、『秀島賞』などを設け、作品展を公募できないか考えているところです」

そして、教師の志賀 哲太郎さん。益城町出身で、日本統治時代の台湾に渡り、台中市大甲区の公学校に勤務。子どもを学校に通わせるよう親を説得して回り、筆記具を持たない子どもには自ら買い与えるなどして熱心に教育に当たりました。

1924年に59歳で亡くなり、山の中腹に教え子たちが建てた墓の周りには、その教え子たちの墓もあり、現在も『聖人』として敬われています。教育の神様を祀(まつ)る神社には、志賀さんの遺徳をしのぶ部屋も設けられています。

【志賀哲太郎さんの妹の孫 澤田 寛旨さん】
「非常にうれしく、感謝申し上げております。一生懸命、いちずに台湾の子どもたちを教育した教師がいたことをぜひお分かりいただきたいと思います」

その功績を広く知ってもらおうと、有志による顕彰会が益城町に顕彰碑を建て、県内各地で講演会などを開催。また、益城町と大甲区が友好交流協定を結ぶなど、熊本と台湾の架け橋となっています。

この志賀哲太郎さんにスポットを当てた、テレビ熊本ドキュメンタリードラマ 郷土の偉人シリーズ第33作が1月25日(日)午後4時5分から放送されます。

テレビ熊本
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