寒さが厳しくなるこの季節、入浴中の事故に特に注意が必要だ。福島市内でも浴室からの救急搬送が2025年は123件にのぼり、そのうち8割以上を高齢者が占めている。特に1月と2月に集中しているという。その主な原因となっているのが「ヒートショック」だ。
ヒートショックのメカニズム
ヒートショックとは、寒い脱衣所や浴室で裸になると体温が下がって血管が収縮し血圧が上昇。そしてお湯に入ると体温が急上昇し血管が拡張して血圧が低下するため、この急激な血圧の変動が失神による溺死や心肺停止を引き起こすという危険な現象だ。
厚生労働省のデータによると、令和5年度のヒートショックによる入浴中の事故は交通事故の死亡者数の約3倍にもなるという。
高齢者施設の予防対策
入所者の平均年齢が90歳を超える福島市の高齢者施設「なごみの郷」では、ヒートショック予防に徹底した対策を講じている。
「必ず脱衣所をヒーターで暖めています。そしてお風呂に入っていただく前には浴室にシャワーなどを使って湯気を起こして、こちらとの温度差がないようにしております」と南朝美看護長は説明する。
同施設では部屋から廊下、お風呂まで入所者の通り道をすべて25℃に統一することで「ヒートショック」を予防。さらに入浴前には毎回体温・血圧・酸素濃度を確認するという徹底ぶりだ。
「一番は職員の介護技術。そういった手順の中でマニュアル的に事故が起こらないようにやっていくっていうのが我々の使命だという風に考えております」と小林康男施設長は話す。
若者も油断大敵「谷型ヒートショック」
一般的に高齢者がヒートショックのリスクが高いと言われているが、若者も油断はできない。
特に長く湯船につかって血圧が下がった状態で立ちくらみを起こしてしまい、頭を打ったり溺れたりする「谷型ヒートショック」は若者も注意が必要だ。
実際に暖房のついていない脱衣所と浴室との温度差は20℃以上になることもあり、この温度差が体に大きな負担をかける。
救急隊が教える3つの予防ポイント
福島市消防本部第一救急係の齋藤朋典さんは、ヒートショックを予防するために次のようなアドバイスをしている。
1. お風呂に入る前に飲酒を控える
2. お風呂の温度を41℃以下に設定する
3. お風呂に入る時間を10分以内にする
また、万が一ヒートショックで失神した家族などを発見した場合の対応も重要だ。ヒートショックを起こすと血液が一気に足の方に溜まって気を失ってしまうため、「できるだけ早く体を横にして足を高い位置に持っていき、血液を頭に送ることが大切」だという。
寒い季節の入浴は思わぬ危険と隣り合わせだ。健康リスクの見直しとともに、ヒートショック対策をしっかり行い、安全な入浴習慣を心がけたい。
(福島テレビ)