「イチゴが宙に浮いてる」――最先端技術を活用した新感覚のイチゴ狩り施設が神話の里に…。
島根・出雲市の出雲大社から車でわずか5分の場所に1月7日、観光イチゴ農園「出雲ICHIGO縁」がオープンした。
可動式空中プランターで、山陰地方ではまだ珍しい「スターナイト」など3品種を栽培し、来園者に快適な収穫体験を提供。
園では、異業種から転職した20代中心のスタッフが、ICTを活用したスマート農業や再生可能エネルギーで栽培に挑戦している。
カフェやショップも併設し、若手就農者が地域活性化を担う未来型農園の始まりを追った。
7日のオープニングセレモニーには、地元の園児など約130人が参加、PR役を務めるアイドルグループ「STU48」のメンバーも駆け付けた。
STU48の久留島優果さんは「イチゴはどんな世代の方にも愛される食べ物だと思うので、家族やご友人の方とのご縁を大切に、ここのイチゴをたくさん楽しんでいただけたら」とPRした。
今シーズンの営業は5月末までの予定で、将来は年間を通じてイチゴ狩りを楽しめるよう新たな品種の導入を進めることにしている。
可動式空中プランターが生み出す新しいイチゴ狩り体験
この「出雲ICHIGO縁」は、約2ヘクタールの広大な敷地に建てられた2棟のハウスが建てられ、その栽培面積は7500平方メートルにも及ぶ。
ハウス内で目を引くのは、上空からぶら下がるようにして育つイチゴたち。
「これはどうしてイチゴが宙に浮いてるんですか?」という問いかけに、施設スタッフの伊藤一樹さん(26歳)は「この可動式ベンチ(プランター)によって、栽培面積が約1.5倍増えます。ベンチが上下することによって、お客さんがスムーズにイチゴ狩りができます」と説明する。
この空中プランターは空間の有効活用だけでなく、上下に動かせることで作業の効率化を実現。スタッフの負担軽減はもちろん、子どもや高齢者、車いす利用者も楽しめる工夫が凝らされている。
「スターナイト」「よつぼし」など3品種が来園者を出迎え
園内では「スターナイト」、「よつぼし」、「ベリーホップすず」という3つの品種、合計5万株が栽培されている。
「スターナイト」は豊かな風味と際立つ甘さが特徴で、「島根県ではあまり栽培されていない品種」と伊藤さん。
「よつぼし」は甘さと酸味のバランスが絶妙で、「ベリーホップすず」は小ぶりながら濃厚な甘さが楽しめる品種だ。
イチゴ尽くし!スイーツでもおいしさ堪能
また木造のトレーラーハウスを改装したカフェも併設。ここでとれたイチゴを使ったいちご大福などのスイーツが楽しめるという。
村上アナウンサーが試食すると「イチゴの濃厚な味がします。ソフトクリームというより、シャーベットのような食感です。甘くておいしいです」と満足そうだった。
さらに、ショップには採れたてのイチゴや、全国で人気のお菓子、地元の菓子店と共同開発したスイーツなど約100種類が販売され、イチゴづくしの体験が楽しめる。
若手スタッフが最新技術で挑む持続可能な農業
この施設は、出雲大社周辺に新たな観光スポットを作りたいという思いと、持続可能な農業による地域活性化をめざす松江市の企業「TSK農縁」によって開設された。
イチゴ栽培に携わるスタッフ8人のうち5人が20代で、伊藤さん(26)はJR西日本で鉄道整備士、正木優貴さん(28)は愛知で自販機にドリンクを補充する仕事をしていた職歴を持ち、いずれも農業未経験からの転職だ。
彼らを支えるのが、情報通信技術を活用した最新鋭のスマート農業。
ハウス内のセンサーで温度や湿度、日射量などを感知し、自動制御でイチゴに最適な環境を作り出している。水やりも自動で行われる。
また、施設で使う電力には地中熱や木質バイオマスなどの再生可能エネルギーを活用。
「バイオマスで発電したエネルギーをハウスなどで使うようにしています」と伊藤さんは説明し、エネルギーの地産地消も進めている。
最年少スタッフの挑戦と成長
農園の最年少スタッフである渡部竜也さん(25)は、農業に関わる仕事がしたいと2025年4月から働き始めた。栽培から収穫、イチゴのパック詰めまで幅広く担当している。
「植物に対して愛情をかけるほど応えてくれるので、日々の成長をみて楽しいと感じます。ちゃんと実がなってくれてひと安心、このままいちごが採れるように頑張りたいです」と渡部さん。1年目は不安もあったが、2年目を迎え、無事に実ったイチゴを見て手応えを感じているという。
「お客さんの喜ぶ顔が見ていて一番うれしいので、お客さんの喜ぶ顔が見たいと思って栽培をしています」と渡部さん。
正木さんも「たくさんのお客さんを迎えられるようにいちごを作って頑張りたいです」と意気込みを語る。
最先端の技術が支える新しい農業。神々の里・出雲で未来の農園が第一歩を踏み出す。
(TSKさんいん中央テレビ)
