俳優の大東駿介さんが、訪れた街のうんちくや、まだ地元住民にも知られていないような魅力を探す「発見!てくてく学」。

今回訪れたのは、紅葉の名所として知られる大阪府箕面市だ。

箕面名物「もみじの天ぷら」の意外な秘密とは?

さらに、海外の人気シェフからも大人気の「幻の食材」も調査する。

■箕面温泉は日本最大級の「動物園」があった

街歩きを始めて早速見つけたのは、阪急箕面駅近くにある「箕面温泉スパーガーデン」。

宿泊施設も併設された人気の観光スポットだ。

大東駿介さん:めちゃめちゃ好きやわ~。鶴がおる温泉好き。温泉の質いいわあ、トロっとしてて。

現在はメンテナンス工事中ですが、この場所には驚きの歴史があった。

大東駿介さん:日本最大級の温泉施設じゃなくて…じゃあ面影ないってことですよね。動物園?

大東さん、大正解!実はこの場所、かつて「箕面動物園」という日本最大級の動物園があったのだ。

箕面は秋の紅葉が魅力
箕面は秋の紅葉が魅力
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■わずか6年で閉園「箕面動物園」

大東駿介さん:ゾウまでおるやん!全然知らんかったな。

1910年(明治43年)に開園した箕面動物園は、甲子園球場の2.5倍もの広さを誇り、阪急電鉄の前身「箕面有馬電気軌道」が、電車利用客の増加を目的として開業した。

しかし、日本に生息しない動物の飼育コストが膨らみ、さらに地震でおりが壊れた場合に、猛獣が住宅地に逃げ出す危険性が懸念されたため、開業からわずか6年で閉園となったのだ。

大東駿介さん:知ってんのかな、箕面の人?

いまはなき箕面動物園
いまはなき箕面動物園

■箕面名物「もみじの天ぷら」

阪急箕面駅から箕面大滝までは「滝道」と呼ばれる約2.8kmの散歩道があり、秋の行楽シーズンに大人気。

この滝道には箕面の名物「もみじの天ぷら」を販売するお店が軒を連ねている。

「もみじの天ぷら」は、約1300年前から箕面に伝わる伝統の食べ物だ。

修験道場だった箕面山で修行をしていた役行者(えんのぎょうじゃ)が、滝に映えるもみじの美しさを称え、油で揚げて旅人に振る舞ったのが始まりとされている。

創業100年を超える老舗「河鹿荘」を訪問。

4代目の上原さんから「もみじの天ぷら」の製法を教えてもらった。

大東駿介さん:このもみじはいつ取ったやつですか?

上原さん:秋に紅葉したもみじを1年分収穫してから塩漬けにしてるので、2年前の秋のもみじです。

1年以上塩漬けしたのちに流水で何度も塩抜きするという、こだわりの製法だ。

1年以上塩漬けしてアクを抜く
1年以上塩漬けしてアクを抜く

■もみじの仕込みは“1年以上”

店の裏で行われる塩漬け作業を見せていただくと、大量のもみじの葉が塩と共に漬けられていた。

上原さん:これもみじのアクなんですよ。アクと芯が硬いので、それを柔らかくするために1年間塩漬けしてるんです。

塩抜きをしたもみじの葉に、小麦粉を水で溶き、ざらめと白ごまを加えた衣をつける。

そして、菜種油で20分かけて低温でじっくりと揚げることで、焦げ目がつかずカリッと揚がり、かりんとうのような味わいになるそうだ。

河鹿荘ではプレーン味のほかに、わさび味やブラックペッパー味など8種類のフレーバーを楽しむことができる。

様々なフレーバーの「もみじの天ぷら」
様々なフレーバーの「もみじの天ぷら」

■もみじの天ぷらの意外な“秘密”

「もみじの天ぷら」の材料となるもみじの葉には、驚きの秘密があった。

観賞用のイロハモミジとは違い、柔らかくてクセがなく、食用に適した紅葉の葉「一行寺楓(いちぎょうじかえで)」を使用しているのだ。

箕面で「もみじの天ぷら」を製造・販売している店は、専用の山林や土地を持って、「一行寺楓」を栽培・収穫している。

大東駿介さん:いや、ごめんなさいね。ほんまに別になめていたわけじゃないんですけど、こんだけもみじあるから...いや、別にね…『その辺のもみじ』って言ったらあかんけど。

上原さん:分かります、よく言われます。『その辺に落ちている葉っぱ拾って商売できてええなあ』。

大東駿介さん:拾ったとは思いませんよ!聞いといてよかった。ありがたみがちゃうわ!

もみじの天ぷらに合うモミジが使われている
もみじの天ぷらに合うモミジが使われている

■海外の人気シェフも欲しがる幻の「ゆず」

箕面の特産品は「もみじの天ぷら」だけではない。

「YUZUYA橋本亭」を訪れると、もうひとつの特産品「ゆず」について知ることができた。

2020年にオープンしたこのお店は、1910年(明治43年)に建てられた料理旅館を元にした建物で、1階は川床カフェ、2階はフレンチレストランとして営業している。

約1300年前に日本に伝わったとされる「ゆず」。
通常のゆずは、土台となる木に実をつくる木をつなぎ合わせて、実がなるまでの期間を短縮する栽培方法「接木(つぎき)」で育てるのが一般的だ。

一方「箕面のゆず」は、種を植えて一から育てる「実生」という方法のため、より品種本来の個性が際立ったゆずができるのだ。

オーナーシェフ 浮田さん:ゆずはむちゃくちゃ時間かかって、実生のゆずも18年とかかかるし、美味しくなってくるのも50年ぐらいかかるって言われてるので、そもそもそんな簡単にできるものではないんです。

しかし近年は温暖化の影響で収穫量が減少。「YUZUYA」を開業して7年間で、十分な収穫ができたのは1回だけだそうだ。

浮田さん:ゆずはすごい人気が海外でもあるので、特にフランスとかニューヨークのシェフも喉から手が出るほど欲しくて、いくらでもお金出すので。実生のゆずも世界的にも知られてしまった。

「ゆずや」という店名には、箕面の伝統的な特産品であるゆずを守り、伝えていきたいという思いが込められている。

箕面の「実生ゆず」
箕面の「実生ゆず」

■ゆずを活かした絶品グルメに大東さん「ゆず凄い」

「YUZUYA」では、箕面のゆずを使った料理を味わうことができる。

カツサンドは2週間かけて熟成させた肩ロース肉を使用。トリュフソースとゆずジャム入りマスタードソースをつけて味わう。

大東駿介さん:お肉の香りが…口に含んだ時にふわっと。ゆず凄い!めっちゃ合性いい。

ゆず入りステーキソースがかかったハンバーグセットを食べると、大東さん、笑いが止まない。

大東駿介さん:うま!!なんやこれ!?こんなハンバーグ作ったらあかんわ。肉の旨みの塊食べてるみたいな。ミンチによってほどけていって口の中いっぱいに広がっていく。衝撃やで。

ゆずの繊細さを活かしたインパクトのある味わいに、大満足の大東さんだった。

「こんなハンバーグ作ったらあかん」
「こんなハンバーグ作ったらあかん」

■箕面から消えたサルはどこへ?

箕面大滝は、季節によってライトアップも行われ、年間約150万人が訪れる箕面を代表する名勝地だ。

ところで、箕面大滝には大きな変化が。かつて箕面の名物だった「サル」がいなくなったのだ。

実は1990年代から猿の保護活動として、山の上にエサを食べられる場所を用意し、観光客が集まる山の下まで降りてこないようにしたそうだ。

大東駿介さん:箕面って土地面白いですよね!温泉地のイメージがあったんですけど、歴史を辿ると人々の営みが見えてくる。何より散歩がちょうどいいハイキングコース。ぜひ皆さん遊びに来てください。

(関西テレビ「newsランナー 大東駿介の発見!てくてく学」2025年11月13日放送)

サルは山の中に
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関西テレビ
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