一枚の写真から街の歴史を再発見する「兵動大樹の今昔さんぽ」。

今回は大阪府藤井寺市、近鉄道明寺駅前からスタートだ。

駅前には商店街が広がり、賑やかな音楽が流れている。

兵動大樹さん:初めて降りましたけども駅前が賑やかでいいですね。

今回、兵動さんが手渡されたのは、1958年(昭和33年)頃に撮影された古い写真。

写真には大人と子どもたちが並んで歩く様子と、巨大な何かの足のようなものが写っている。

兵動大樹さん:なんかの足やね。ウルトラマンの足かなと思ったけど、昭和33年やろ…?なんやろこれ。

■道明寺は古墳の街 映画「国宝」のロケ地にも

早速聞き込みを始めると、道明寺駅周辺の特徴に気づいた。

道明寺駅周辺は「古市古墳群」という古墳が130基以上集まる地域で、世界文化遺産の一角を占めている。

兵動大樹さん:歴史的な古都やね、道明寺は。

古い町並みの残る商店街で、「珈琲館チェリー」という喫茶店に立ち寄る。

この喫茶店はなんと、アイナ・ジ・エンドさんや松村北斗さんらが出演した岩井俊二監督の映画「キリエのうた」のロケ地にもなっているのだ。

実は、このあたりは映画のロケで選ばれることも多いそうで、「玉手橋」という橋は大ヒット映画「国宝」にも登場しているんだとか。

兵動大樹さん:映画関係者からしたら、昔の空気も残してるこの界隈来はるんやな。

古墳が集まる地域
古墳が集まる地域
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■西日本最古の遊園地

「珈琲館チェリー」のマスターに写真について聞いてみると、写真に写っている巨大な足は「玉手山遊園地」のものではないかという手掛かりを得られた。

玉手山遊園地は、藤井寺市の隣、柏原市にあった西日本で一番古い遊園地。明治41年(1908)年に開園した。

小さな子供を遊ばせるにはもってこいのフレンドリーな遊園地だった。

少子化などの影響で来場者が減り、多くの人に惜しまれながらも1998年に閉園した。

100m滑り台などが有名で、みなさん思い出はたくさんあるものの、写真については分からなかった。

玉手山遊園地
玉手山遊園地

■なぜか誰も覚えていない“巨大な足”

次に訪れた手芸品店「ぼたんや」では、さらに玉手山遊園地についての情報を聞くことができた。

ぼたんや 店主:足ですよね。私もよく玉手山遊びに行きましたけど、この足は覚えてない。

兵動大樹さん:お姉さんが行ってはった時代って昭和何年ぐらいなんですか?

ぼたんや 店主:(昭和)30年後半だと思いますね。

兵動大樹さん:30年後半でお姉さんが覚えてへんということは…もしこれが玉手山公園であったとしても、遊園地であったとしてもこの足はもうその時にはなくなってるってことやわね。

ぼたんや 店主:あっても遊びに夢中で気づいてなかったかもしれない。

兵動大樹さん:こんなでかい足気づかんくらい、ワーッと遊んでんたんか。

子供の頃なのでそれだけ夢中だった可能性もあるが…玉手山遊園地だと言い切るのはなんだか難しくなってきた。

こんなに巨大な足なのに…
こんなに巨大な足なのに…

■歴史的な雰囲気「玉手橋」を越えて公園へ

それでも、話を聞き続けるとやっぱり玉手山公園(旧・玉手山遊園地)しか考えられない。とにかく向かってみよう!

国の登録有形文化財となっている「玉手橋」に到着した。映画『国宝』のロケ地として使われた赤い吊り橋だ。

玉手橋は昭和3年(1928年)に「玉手山遊園地」への通路として、現在の近鉄が建設した。

玉手橋を渡って10分ほど歩くと、「玉手山公園」に到着だ。

柏原市立歴史資料館の特別館長・安村さんに案内してもらうことになった。

国の登録有形文化財「玉手橋」
国の登録有形文化財「玉手橋」

■ナゾの巨大な足の正体が判明!

長い階段を上った先にある歴史資料館の展示室で、ついに巨大な足の正体が判明する。

兵動大樹さん:あー!なんじゃこれ思ってた人の全貌が明らかになった。誰これ?誰やねん!

安村さん:誰かようわからんのですけどね。

展示品の写真には、身長15mもある巨大なヒーロー像が写っていたのだ。

ベルトをつけ、頭部にはアンテナのような突起があり、当時の資料には「大少年ジェット」や「大スーパーマン」と書かれていたそうだが、正式な名前は分からない。

兵動大樹さん:(写真のタイトルに)玉手山遊園地のヒーロー像って書いてあるけど、明確に何のヒーローかは分からんねや。

謎は解けたが…
謎は解けたが…

■名前も消滅理由も不明

高さ15mの巨大なヒーロー像は、昭和20年代後半から昭和36年頃(1961年)まで存在したようだが、なぜなくなったのかも分かっていない。

昭和30年代の航空写真にもヒーロー像の姿は写っていた。

地元の人々に親しまれた玉手山遊園地は、小学校の遠足コースとしても人気だった。

特に人気だったのは50メートルの長い滑り台。

安村さん:ここが50m滑り台のあったとこなんですよ。これコンクリートの基礎ずっと残ってるでしょ。

兵動大樹さん:まあまあの角度やな。

安村さん:すごいでしょ。そのままストンと行くんですよ。

50m滑り台の角度は鋭い
50m滑り台の角度は鋭い

■姿を変えて愛される「玉手山公園」

滑り台はなくなってしまったが、現在は無料で利用できる公園として、地元の人々に愛されている。

兵動大樹さん:西日本で1番古い遊園地。で、この界隈の子どもの方にものすごく愛された遊園地。今公園になってますけど、無料ですごくいいところです。景色も良い。

一枚の写真から、西日本最古の遊園地と謎のヒーロー像の歴史が明らかになった。

(関西テレビ「newsランナー 兵動大樹の今昔さんぽ」2025年11月14日放送)

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関西テレビ
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