年明けに春高バレー全国大会を控える鎮西高校バレー部。

先月、51年間指導してきた畑野久雄さんが亡くなりました。
恩師の教えを胸に鎮西初の高校3冠に向けて集大成の舞台に挑みます。

(※権利の関係上、動画の一部が視聴できなくなっています)

それはあまりにも突然でした。

【宮迫竜司コーチ】
「カメラは関係があるから入ってもらうけど、畑野先生が今日の朝に亡くなったもんね。言葉が出らんけどお前らがやるしかないから、春高に向けてお前らはいろんな人の期待とか色んなことがあるかもしれんけど、自分たちのやるべきことをしっかりやって勝てるように。本当は天皇杯とか春高も先生すごい楽しみにしてたわけよ、お前らのことを考えて。お前らも頭の中真っ白でどうしていいかわからんと思うけど、それは俺も一緒。そこはしっかり先生から教えてもらったことを頭に入れて、これからバレーボールをしっかりやるように。先生は休めとか言わんと思うから、またあすの朝練からしっかりやるから。内容については連絡する」

51年間チームを率いた畑野久雄監督がこの日の朝、亡くなりました。

前日まで元気だった監督との、突然すぎる別れ。

頭では分かっていても、なかなか現実を受け入れることは出来ませんでした。

【福田空主将】
「前日まで練習試合の指導をしてくださっていたので、次の日に急に亡くなったと聞いたときは自分もだが、チームみんなが受け入れられてなくて、2日くらいはまともに気持ちが入らず、練習に打ち込めなかった」

【エース一ノ瀬漣(2年)】
「今も練習に来られないので寂しいな。鎮西のエースに認めてもらうまで教わりたかった」

【エース岩下将大(3年)】
「亡くなったと聞いた時も訳わからなくて、実感できないから涙も出なくて今でも嘘であってほしい」

体育館には、畑野先生がいつも座っていたパイプ椅子が今も準備されています。

【宮迫竜司監督】
「受け止めないといけないことは分かっているが、どうしても別れが『最後またあす10時な』で終わったので、もっと話しておけばよかったとか、そういうのをこの1カ月間ずっと考えて、先生ならどうするかなとか色んな事が頭の中に勝手に出てくるのでまだちょっと整理している段階」

思わぬ形で監督を引き継いだのは、コーチとして12年間ともに行動してきた宮迫監督です。

【宮迫竜司監督】
「僕が監督である限りは先生の教えや先生のカラーを受け継ぎたいし、そのためにコーチをやっていた。先生の色は僕がやっている限りは残したい」

『当たり前のことを当たり前に』

畑野先生が付けていた監督マークを譲り受け臨んだ初めての公式戦。

格上のVリーグチームを相手に序盤は硬さが見られたものの、徐々に本来の力を発揮。

3年生岩下、2年生一ノ瀬のダブルエースに、身長177センチの大石が大当たり。

1セットを失った後、宮迫監督がブロックシステムを変更したことで流れが変わり、鎮西が見事逆転でVリーグチームから金星を上げたのです。

【エース一ノ瀬漣】
「(畑野先生には)ミスをせずに当たり前のことをしっかりやったら勝てるからと、ずっと言われていた。春高までに全員でレベルアップして春高も畑野先生に勝つところのを見せてあげたい」

【宮迫竜司監督】
「今回に関しては違和感しかなかったが、先生の思いも背負ってやらなければならないかなと思った」
(今日の試合を畑野先生見てたら何と言う?)
「まだまだダメだと絶対言われると思う。ポカ(ミス)が多いと絶対言うと思うし、春高に向けてまた厳しい言葉をかけられるのではないかと思うので、今日も監督しててそうだが、『畑野先生だったら何て言うかな』というのはずっと頭の中にあって先生ならこう言うだろうなとか、そういったのを感じながら指示を出していた」

どんな環境に置かれても、当たり前のことを当たり前に。

それが高校3冠がかかる特別な舞台でも。

近くにいた人が、突然いなくなったとしても。

やるべきことは、選手たちが一番よく分かっています。

【エース岩下将大】
「特別なことは声かけないと思う。いつも通り『ポカをするな』と言われると思うので、そこは自分もチームのみんなも分かっていると思うので、そこを肝に銘じながらやっていきたい」

【ミドルブロッカー 西原涼瑛】
「いつも言ってる『ミスするな』と、そこは大事だと思うし、どこに行っても通用することだと思っているので、自分も気持ちとして持っておきたい。僕のクイックやブロックなど畑野先生に褒めてもらえるようなプレーをしたい」

畑野先生のためではなく、自分たちの夢の実現のために。

簡単なミスをせず、それぞれが当たり前のことを当たり前にできるかどうか。

そんな選手たちの姿を、天国へと旅立った名将は静かに見守ってくれるはずです。

【福田空主将】
「最後、どんな形でも決勝の舞台で点数を取って勝った時に天井を見て、畑野先生に優勝しましたと問いかけたい。今のゲームどうでしたかと聞きたい」
(最高の結果になった時、その問いかけに何と答えるかな?)
「多分…今のもダメだぞと言われると思うがナイスゲームだったと言われるような
バレーをしたい」

テレビ熊本
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