私は現在1歳11ヶ月の娘を育てながらメディアで働いている。

子育てを始めると「子供の睡眠」に悩まされることが多い。自分の睡眠も削られ、夢を追うどころか、やりたい家事もできなかったり…コントロールできず精神的にも不安定になり、いつの間にか涙溢れる瞬間があった。

“赤ちゃんが自分で眠る力を身につける”

しかし、「ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方」という本に出逢って睡眠について学び、赤ちゃんの性質やメカニズムを理解して行動すると、新生児期を過ぎてから朝までぐっすり1人で寝てくれるようになり、1歳11ヶ月の今でも、夜泣きに悩まされず毎晩、自分の時間を作れている。 

小澤アナ提供
小澤アナ提供
この記事の画像(13枚)

私が睡眠について〝ただ知ること〟で救われたように、多くの人に悩まずハッピーに子育てをしてほしい…そんな想いから、本の筆者で日本人初の『乳幼児睡眠コンサルタント』愛波あやさんに取材した。 

愛波さんは2児の母で、アメリカNY在住。科学的根拠に基づく睡眠改善法を提唱する。 

日本人初の乳幼児睡眠コンサルタント・愛波あやさん
日本人初の乳幼児睡眠コンサルタント・愛波あやさん

「ねんねトレーニング(通称:ネントレ)」という“赤ちゃんが自分で眠る力を身につける概念”をご存知ですか?アメリカでは1980年代には根付いていた文化だが、日本では愛波さんが12年間活動していても、まだまだ浸透していないという。 

愛波さんも、かつて初めての子育てで過酷な寝かしつけに追い詰められ、“虐待してしまう親の気持ち”が理解できてしまう程の限界を経験したという。 

画像はイメージ
画像はイメージ

生後6ヶ月を過ぎてからの頻繁な夜泣きは当たり前ではなく、夜間授乳や日中に離乳食を食べてくれないことにも繋がるそう。 

親が追い詰められる前に正しい知識を届けたい。自身もあのまま睡眠改善していなかったら、まずかっただろうと振り返り、現在「日本の寝不足ママをゼロに」と掲げ、活動している。

アメリカと日本の文化、考え方の違い 

当時からアメリカ在住の愛波さんは、同月齢児を育てるママが集う会に足を運ぶと、現地のママたちが「昨夜はヨガをしていた」「映画を見ていたわ」など、自分の時間を過ごしている様子に衝撃を受けたという。 

画像はイメージ
画像はイメージ

一方、自分は「え!? 何してたって、滝汗をかきながら3時間子供の寝かしつけをしていたわ!?しかも置いたら泣かれて…」と話し、共感の言葉を待っていた。 
日本だったら、「わかる」という言葉が飛び交うのではないか。 

しかし、返ってきたのは「何しているの!? ママがhappyでなきゃ、子供もhappyじゃないわ」という厳しい指摘の言葉。 
「子供のためならなんでもする」と思っていたものの、〝ハッピー〟という言葉は全く頭になかったそう。 

小児科でも「今すぐ睡眠改善しなさい」と促され出会ったのが、科学的根拠に基づいた睡眠の本で、読んでみると目から鱗。愛着形成や精神への影響を懸念しつつ、論文や本を読み漁り、納得いくまで勉強を重ねた。

何よりも睡眠!なぜ寝ることが大切か

睡眠不足は学びや挑戦の意欲を奪い、癇癪を起こしやすくしてしまうという。 
確かに大人も寝不足だと集中できなかったり、イライラしやすくなる。 
赤ちゃんだって同じ。 

特筆すべきは脳への影響。 
睡眠不足は記憶を司る海馬を萎縮させ記憶力や学習力を低下させる一方、熟睡する子は海馬が大きく、学習の吸収力が高まることが研究でわかっている。 

「頭の良い子に育てたい」と懸命に知育カードをさせたり、幼児教室へ通わせるよりも、”十分な睡眠という土台”を整え、砂場で遊んだり、英語の音声を流す方が、子供は沢山のことを吸収するというのだ。 

画像はイメージ
画像はイメージ

「寝る子は育つ」というのは科学的にも言えるのかもしれない。 

実際、愛波さんのコンサル経験では、2歳で睡眠改善をした子が、保育園で「最近色んなことに挑戦するようになったけど、何かしたんですか?」と聞かれるほど、よく食べ、意欲的に行動するようになって先生を驚かせたという。
自身の子も、ぐっすり寝るようになってから見違えるほど常にニコニコでぐずらない子になったという。 

睡眠を整えることで、頭脳も心も安定する「別世界」が待っていたと話す。 

インタビューの様子(小澤アナ提供)
インタビューの様子(小澤アナ提供)

子供が寝ない=当然親も寝られず、肌荒れ・イライラも招く。 
その結果、思い通りに子育てができなくなり、自分の幸せも抜け落ちてしまう。そして親をロールモデルに育つ子供もイライラしやすくなる…など負の連鎖に陥ってしまうという。 
これこそが、赤ちゃんの良質な睡眠を妨げる「可哀想な状態」だという。 

赤ちゃんが“寝やすい”4つの環境

赤ちゃんも親も「睡眠メカニズム」は同じ。本来は赤ちゃんもぐっすり眠りたい。 睡眠環境を整えるポイントを導入することが“土台づくり”の最初の一歩につながる。
月齢が上がるほど今の状態に慣れてしまうため、改善する場合は早めに導入する方がスムーズにいくという。

①温度
暑すぎると、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高まり、夜泣きの原因にもなる。 
適温の目安は20〜22℃(大人が少し肌寒いと感じる程度) 
判断基準は汗をかくのはNG。
手足は冷たくても問題ないが、お腹や背中が冷えていないか要確認。 

②光 
朝は太陽光を浴び、夜はカーテンなどで遮光することで体内時計が整う。 

睡眠の“土台”があるとひとりで眠る様子(小澤アナ提供)
睡眠の“土台”があるとひとりで眠る様子(小澤アナ提供)

③ルーティン 
寝る前の手順を決めておけば、ママ以外が担当しても赤ちゃんが安心して眠れる重要な習慣になる。毎日同じ流れを繰り返すことで、自然と入眠モードに切り替わるという。  

 例えば、「最後と決めた絵本を読む⇨ スリーパーに入れ⇨ 寝床に置く」や、「大好きだよ、おやすみ」と寝る前最後の言葉を決めるなど簡単なルーティンでOK。 

④場所 
2歳まではベビーベッドが理想的。適度な狭さは子供に安心感を与え「自分の居場所」になる。

親子の十分な睡眠で育児は劇的に変わる

日本では、赤ちゃんが寝る時や眠くて泣いている時「自分が添い寝や抱っこをしてあげるべき」という意識が強い。
ネントレを始めたい親はどうマインドセットをしたらいいのか、愛波さんに訊いた。 

まず、赤ちゃんが元気に起きていられる活動時間を確認すること。
睡眠の土台が整っていれば、多少「泣いていても大丈夫」と伝えたいという。

小澤アナ提供
小澤アナ提供

心身の安定のために十分な睡眠を与えることこそ、親の愛情=最大のプレゼントになる。

愛波さんが常に伝えているもう1つのポイントは、「子供は笑顔のママが好き」。 親子で十分な睡眠をとることで、育児は劇的に変わるという。

筆者の私も、妊娠中は赤ちゃんが産まれてくることを何よりも心待ちにしていたのに、自分の睡眠も削りながら毎日育児をしていると、可愛い我が子を目の前にしても、いつの間にか涙が出るほど辛くなってしまう瞬間があった。

小澤アナ提供
小澤アナ提供

その余裕のなさは我が子への表情や接し方にも影響するので、早いうちに改善できてよかったと今感じる。 

人生を救える、それだけ睡眠は影響力がある 

愛波さんが睡眠改善の活動をしていると「人生を救ってくれてありがとう」「子育てが楽しくなった」など、人生という規模で感謝されることが多いという。 
それだけ、睡眠は人生を左右するということなのかもしれない。 

愛波さんに送られた色紙(本人提供)
愛波さんに送られた色紙(本人提供)

赤ちゃんが寝てくれることで、自分の時間ができ、夢を追えるようになったり、笑顔で接する余裕ができて〝母親としての自信〟がつくことも。 

愛波さんが睡眠コンサルする前後では、笑顔が消えるほど切羽詰まっているママが、笑うようになるという。 

笑顔で娘と過ごす小澤アナ(本人提供)
笑顔で娘と過ごす小澤アナ(本人提供)

私もネントレの概念に出逢わず睡眠の知識がなければ、こんなに毎日ハッピーに育てられていなかったかもしれない。1日3~4時間、自分の時間が取れていることで、心の余裕から笑顔で接することができている。 

親ももっと輝ける未来を 

子育ての最大の仕事は、「子どもを自立させること」だと愛波さんは話す。
私たち親もその後の人生の方が長い。 
だからこそ自分の時間も確保し、夢を追ったり勉強して自分磨きをしたり、その後の人生、ママだってもっと輝ける未来があってもいいと語気を強める。 

育児は、完璧じゃなくていい。 
自分のできるペースで、できることをやっていけばいい。

小澤アナ提供
小澤アナ提供

筆者の私も日本で「もっとハッピーに子育てしていいんだ」と、自分のことも大切にできるサステナブルな子育てが広がっていくことを願っている。 

小澤陽子
小澤陽子

フジテレビアナウンサー。2015年入社。
FNNの夕方のニュースでは、3年半フィールドキャスターを担当。
経済・事件事故・災害・政治など、最前線の現場を取材。中継なども行ってきました。
現場の温度感や生の声を大切にするようになった原点は、最大の趣味である『旅』。
その他にも「全力!脱力タイムズ」や「BSスーパーKEIBA」など、幅広い分野を担当。
神奈川県横浜市出身、横浜育ち。慶應義塾大学卒業。