原告の夫は不貞行為を主張…
原告の夫は、2人は同じ部屋に2度宿泊しており、不貞行為に及んだと主張した。
また、さくらが10代の2人の娘を持つ母親で、高橋も既婚者だった点をあげ、「ホテルに同宿するような親密な関係にある相手について、既婚であるか、子供がいるかといった事項に関心が向かないはずはない」とし、高橋が「さくらが既婚者であると知らなかった」と主張する事自体が不自然、不合理だったと訴え、高橋に重大な過失があったと主張した。
また、当初は夫婦関係が破綻していたような事情はなく、不貞によって夫婦関係の維持が困難となり、甚大な精神的苦痛を被ったとして、慰謝料など計330万円の支払いを妻と相手男性に連帯して求めた。
被告側「瞑想しただけ」と主張
一方、被告側の2人は同じ部屋での宿泊について認めつつ、「ホテルの客室内で瞑想したもので、不貞行為には及んでいない」と性的な関係は否定した。
また、被告さくらは夫婦関係について、「はるか前から破綻していた」と主張。高橋は、宿泊した当時はさくらが既婚者だとは知らず、過失もないと訴えた。
ホテルの部屋は狭くて瞑想できず…
裁判所は、被告側2人の親密関係を、具体的事実から認定した。
都内のホテルに泊まった際にさくらが宿泊を持ちかけた際のやり取りなどから、「相当に親密な関係にあった」と認定。
また夫の問いに当初は虚偽の説明をした点、高橋とのメッセージを削除したことを指摘した。
夫から問いただされた後、高橋に送信した「コンサートは3人でみにいきました ホテルはお茶して泊まったけど 何もない と伝えています」などのメッセージが「虚偽の口裏合わせ」であり、事実であれば送る必要のない内容を含むとして、「高橋との関係にやましい思いがあったことが明らかである」と断じた。
さらに、宿泊した都内のホテルの客室は、幅154センチ、長さ195センチのベッド1台が配置されたセミダブルルームで、床に2人であぐらをかいて瞑想できるようなスペースはないことから、供述は「不自然、不合理であり容易に信用できない」と認定した。
裁判所は性交渉あったと推認
これらの点から裁判所は、二度同じ部屋に泊まった際に性交渉に至ったと推認できるとし、仮に性交渉がなかったとしても二度の宿泊は夫婦関係の破綻につながる行為で、不貞行為に該当すると認定した。
高橋の過失については、本人が妻子のある年齢で、相手のさくらは年上であり、同室宿泊に至るほど親密な場面で結婚の有無への関心は当然生じるのに、確認をしなかったことを過失と評価した。
これらの不貞行為によって原告の夫が受けた精神的苦痛への慰謝料は100万円と認めるのが相当と判断。 東京地裁は12月、被告のさくらと高橋に対し、原告の夫に弁護士費用を合わせて計110万円を連帯して支払うよう命じる判決を下した。
