いま、世界的なブームとなっている抹茶。急激なブーム到来に嬉しい悲鳴が聞かれる一方、困惑の声も聞こえてくる。現場を取材した。

急速に高まる世界的な抹茶需要

『八女茶』で知られる日本でも有数のお茶の産地、福岡・八女市。この“お茶どころ”でいま、或る事態が起きている。

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八女市内でお茶の生産や販売を行っている『お茶村』。連日、大勢の外国人観光客が訪れているが、彼らが熱い視線を注ぐ先にあったのは抹茶だ。

店を訪れる外国人が次々に購入していく抹茶。「抹茶がとても好き」と話す香港からの観光客や「私、毎日、抹茶を飲んでいます」というタイからの観光客もいた。

タイからの訪れた別の観光客は、抹茶のほかに、抹茶を使ったお菓子など20点ほどを購入。「(いくつ抹茶を買った?)分からない。たくさん、たくさん。どれだけ買ったか分からない。とにかくたくさんよ」と笑いながら商品を詰めた大きな箱とともに店を後にした。

海外でも人気が高まっている日本の抹茶。

抹茶を含む緑茶の輸出額をみると健康志向や日本食への関心の高まりなどを背景に輸出額は“うなぎのぼり”。2025年は10月までに、既に過去最高だった前年の約1.5倍に迫る539億円に達している。

『お茶村』では、世界的に抹茶需要が急速に高まり原材料が高騰していることなどから、この夏、一部の抹茶商品の容量を40グラムから30グラムに減らし、価格改定を行った。

『お茶村』の原希久代さんは「需要の方が大変高いので、どうしても原料が高騰して、致し方なく、いろんなものの値上げをせざるを得ないという現実がある」と厳しい現状を口にする。

“爆買い”に戸惑いを隠し切れずに…

一方、こちらは福岡市にある茶道の道具を扱う専門店の『左座園』(1769年創業)。多い時で1日に100人ほどの外国人が訪れるという。

茶道具専門店『左座園』
茶道具専門店『左座園』

タイからの観光客は「家で抹茶をたてるために自分用に買いました。抹茶はとても高いです。タイで買おうとすると3倍以上の値段がします」と話す。

『左座園』では、八女や京都の宇治の抹茶を扱っているが、外国人の購入量があまりにも多いことから2025年5月以降は、1人1個の個数制限を設けているほどだ。

『左座園』社長の左座喜男さんは「やはり遠くから来られて、お国に持って帰られるということですし、そういった方にご希望に添えないというのは心苦しく思っています」と苦渋の表情を見せる。しかし、世界に抹茶文化が広がることを喜ばしいと感じる一方で、いわゆる“爆買い”に戸惑いも隠し切れないようだ。

「この急激な抹茶ブームというのは、茶の農家さんも茶の問屋さんも私どもも対応しかねるところでございまして、やはり急激なブームというのは些か困惑しております」(『左座園』左座喜男・社長)

店では、茶道関係者が抹茶を入手できない事態を避けるため、早めの注文を呼びかけるなど対応策をとっているということだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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