今シーズン劇的なJ2残留を決めたカターレ富山。一方、J2で戦う上で課題の見えた1年でもありました。
そうしたなかで重要なのが、この時期の補強です。
カターレは18日までにコーチ陣全員と4選手の契約満了を発表し、亀田歩夢選手など9選手の契約更新や完全移籍を発表しています。
来シーズンに向けてチームをどう強化していくのか。左伴繁雄社長に聞きました。
最終戦で劇的なJ2残留を果たしたカターレ。
しかし順位は20チーム中17位と課題も見えるシーズンとなりました。
■今季を振り返って
□中田彩アナ
「今季を振り返っていかがですか」
□左伴繁雄社長
「劇的とか奇跡のと言われているが、良かったという安堵の気持ちが4割くらいで残り6割はここまでここまで引っ張ってしまった責任を考える。負けがこんでこうなってしまったのだからめでたいと手放しで喜んではいけないという自制の方が強い」
□中田アナ
「見えてきた課題は?」
□左伴繁雄社長
「シーズン途中で安達監督に交代して攻撃力を強化し、人もボールも動くサッカーをやった。経営者の責任だが20試合あれば物にできると思ったがラスト3試合までなかなかできなかった。残り3試合で完成系に近い形でできたというところでは順位は評価できないがやってきたことが間違ってなかったということについては意味のある年だった。J2に上がったばかりで落ちそうなクラブだから行かないというJ1の選手が多かったが、ここでスタートラインに一斉についたし最後の方のサッカーを選手も代理人も見てくれているはずなのでブランド力という点では少し上がっていると思う。手堅い補強をきちんとやるのは一番最初に意識しなければいけないこと」
■補強について
□中田アナ
「来季に向けて補強のポイントは?」
□左伴繁雄社長
「圧倒的に得点が少なかったので、モビリティのあるサッカーをやるとは言ってもこの選手に(ボールを)預ければ1点入るな、枠に跳ばすなというストライカーが今年の夏振られまくった。ただあの時は落ちそうなクラブだったので今度はスタートラインについているので良い選手がいればピンを取りに行く、強力な選手を取りに行く。FWは目玉にしていきたい」
□中田アナ
「若手の育成も重視?」
□左伴繁雄社長
「宿命。今のクラブのサイズだと1億円、2億円の外国人とかJ1のエース格は絶対にとれないので若い選手が主力になっていくサイクルは続けていきたい」
選手を補強するうえで重要なのがクラブの経営面。カターレは毎年著しい成長を遂げています。
今年度は先月下旬に発表された第三四半期までの決算で過去最高を更新(12億4100万円)。
今年度は14億円規模まで業績が伸びる見通しで、昨年度のJ2の各クラブの業績に当てはめると11~12位に該当します。
■経営面・強化費について
□左伴繁雄社長
「来たときは(年間で)5億円だったが14億円くらいまで今年度末いきそう。ほかのJ2のクラブと比べると真ん中以下。会社としてはすごい勢いで伸びてきてはいるが、業界として競争比較するとまだまだ中位よりも下なので、良い選手をとることも大事だがコストパフォーマンスを上げるために若い選手に主力になってもらいたい。育成型のクラブである姿勢は崩してはいけない」
そのうえで気になるチームの強化費については。
□左伴繁雄社長
「増やします。今年は5億円ほどまで人件費とチームの運営費がとれてきて来年は6億円の大台に乗せたい。勝ち点1点あたりにいくらかけるかという「勝ち点効率」がある。1点あたり1000万円だとして(強化費が)6億円だと60点の勝ち点で、勝ち点60点だと(J2の順位で)ベスト10に入る。そのくらいは狙っていかないと。今年は1桁順位と言っていたが、(強化費)5億円を割り付けて勝ち点1点あたり1000万円を軽く超えるような効率の悪いチーム運営をさせてしまったので来年は6億円のラインは強化部に与えたい」
過去最高の6億円規模を強化費として充てる見通しの新シーズン。昨年度のJ2の各クラブの額と比較すると、10~12位に該当する規模です。
その来シーズン、Jリーグでは「秋春制」への移行に向けて、2月から6月の約半年間は通常のリーグ戦とは異なる特別大会が開催されます。
■百年構想リーグに向けて
□左伴繁雄社長
「財力が相対的に低いクラブにとっては潜在一隅のチャンス。昇降格がないので色々なトライができる。小さいクラブは若手で出番に恵まれない、ランダムにしか出られていない伸びしろのある若手がいっぱいいる。百年構想リーグのなかでトライアルで使っていけるというのはかなり大きな追い風になると思う」「若手を主力化していくことに注力したい。ピッチに出ている11人の平均年齢をいかに下げるかということを考えたい。百年構想リーグはすごく良いレギュレーション」
そして来年8月に通常のリーグ戦が開幕します。
■来季に向けて
□左伴繁雄社長
「富山県にあるJクラブのあるべき目標は(J2の)カテゴリーにいることではない。もう一つ上のカテゴリー(J1)に行くこと。何年かかるかは分からないがそこに視座を置いて来季も戦っていくことを胸に刻みたい」
来年1月に新チームが始動し、その後1月中旬からは高知県でキャンプを行い、2月に約半年間の百年構想リーグが開幕します。
この百年構想リーグの組み合わせが今週月曜日に発表されました。
J2とJ3の40クラブが地域ごとに4つのブロック分かれます。カターレはWESTーA。
金沢や新潟などの隣県に加え、高知や今治など四国のクラブも入っています。
来年のカターレの飛躍に期待です。