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オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス(FORPHEUS)」は、オムロンのコア技術である"センシング&コントロール+Think"を象徴するロボットです。人と機械が協働することで、人々の可能性や創造性を高め、さらに活躍できるように能力を引き出す。そんな「融和」の世界を体現しています。この「融和」は、長期ビジョン「Shaping the Future 2030 (SF2030)」において、オムロンが掲げる理想の未来に繋がるキーワードの1つでもあります。

フォルフェウスの開発は、2013年に始まり、最新の第9世代に至るまで、人と機械が「融和」した世界観を体現するべく、様々な角度からTry&Learnを繰り替えしてきました。このプロジェクトは、若手技術者の登竜門として、毎年メンバーを入れ替えながらチーム構成されています。彼らが一体どのような想いを持って開発を進めているのか。メンバーの熱い想いに迫ります。


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■ 「フォルフェウス(FORPHEUS)」で描く世界観


山本:オムロンは“人が活きるオートメーション”の提供を目指しています。“人が活きるオートメーション”とは、人の仕事を奪う機械ではなく、人が能力を最大限発揮できるようにするためのオートメーションです。人と機械の関係性を「代替」「協働」「融和」という3つに分け、それらをシーンに応じて選択し、使い分けながら、社会に実装していくことが重要だと考えています。



オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス(FORPHEUS)」


この3つの概念のうち、卓球ロボット「フォルフェウス(FORPHEUS)」は、オムロンのコア技術「センシング&コントロール+Think」*を軸に、人の可能性を引き出す「融和」の世界を体現することを目的に開発を進めてきました。


※コア技術「センシング&コントロール+Think」*:すべての事業に共通する技術コンセプト




ボールをセンシングするカメラ、ロボットを制御するPLC、またロボットそのものも、全てオムロンの製品で構成されています。最近では、AIを活用して+Think、つまり人の知恵を機械に取り込む技術をさらに進化をしてきています。



開発がスタートしてから10年以上が経過しました。最初は、人と機械が向き合ってラリーをするだけ(人と機械の「協働」)でしたが、徐々に人の能力に合わせてコーチングできるようになったり、人の感情に合わせた返球で、モチベーションを高められるようになったり(人と機械の「融和」)と、徐々に進化を重ねてきました。

■ フォルフェウス第9世代の進化点

人と機械の「融和」を真に実現するためには、「理想」や「価値観」といった深いレベルで、「共通理解」を持つこと、そして、それが崩れても、また再構築できることが必要です。このため、フォルフェウス第9世代の開発メンバーがコンセプトの1つに掲げたのは、人とロボットが「どうラリーを組み立てるのか」話し合い、「パートナー」のように、「共通理解」を持てるようにすることでした。


フォルフェウス第9世代の開発チーム


山本:オムロン サイニックエックス株式会社(近未来からのバックキャストで先端研究を担うオムロンのグループ会社)のリサーチャーの方と議論させていただきまして、よりフォルフェウスがプレイヤーのことをじっくり観察して、「この人が右利きで、どこに返球してあげるとラリーが続くか」といったところまで考えて提案してくれるように開発することにしました。マルチモーダルな情報から状況を判断して提案するといったところが大きな進化点になっていますので、そこを体験してもらえたらと思っています。


コンセプトのデザインから実現まで若手社員が中心になって考えて自ら計画し実行に移しています。その取り組みを通して、若手社員が成長する。育成の場になっていることが大きな特徴の1つと考えています。

■ プロジェクトを通じて、思わぬ成長も―


田口:技術面以上に、コミュニケーション能力などのヒューマンスキルに対する成長を感じています。今回のプロジェクトチームは、多様なバックボーンを持つメンバーが集まっています。何気なく普段話している曖昧な表現が原因で、メンバー間で解釈の違いが生まれてしまったり、大きなズレを生み出す結果になったシーンが多々ありました。改めて人への「伝え方」を見直すきっかけになって、意識面をアップデートできたのが成長できた点です。



佐藤:僕は新入社員でいきなりフォルフェウスチームに配属されて、イレギュラーなことがたくさんあり、最初はすごく不安でした。けどそのイレギュラーな体験をいろいろ乗り越えていくことで、それがどんどん自信に変わって入社当初の不安な気持ちがなくなってきたというのが一番自分の成長を感じるポイントかなと思っています。

■  インタラクティブに「対話」を成立させる難しさ


岩本:インタラクションとして成立させるというところに非常に苦労しています。人間が自然と行う「表現」というのは、非常に多彩ですので、どういうタイミングでどういう時にどういう表現をかけるのが卓球の自然な流れを壊さずにできるのかと注意しながら作っていくところに引き続き苦戦している次第です。



山本:近年はコミュニケーションの進化に取り組んでいますので、卓球の枠組を超えた進化軸になってきています。それだけ開発の自由度が上がっているのですが、逆にどこを目指したらいいのだろうかと、コンセプトを決めるところが非常に難しくて、いまでもメンバーと議論を重ねています。



人と機械が融和した状態というのはWeの関係です。卓球というのは人と機械が向き合っていますのでHeとかSheといったような関係に近いのではないでしょうか。将来的に、フォルフェウスは我々と向い合ってではなく、同じ側に立っているかもしれませんし、卓球以外のものになっているかもしれません。


いずれにしても将来はさらに良き相棒としてフォルフェウスを想像しています。



コア技術の象徴 フォルフェウス(FORPHEUS) |テクノロジー | オムロン



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