富山湾の幸を心ゆくまで味わえる地元の寿司店。今回は情報誌Taktの特集として、美味しいネタが豊富な季節に訪れたい富山の名店を紹介する。手頃な価格で楽しめるランチから、こだわりの一品まで、富山ならではの寿司文化を堪能できる2店を厳選した。
「お気軽に」がモットーの小政寿司


魚津市にある小政寿司は、看板に「お気軽」の文字を掲げ、寿司の敷居の高さを感じさせない雰囲気づくりに努めている店だ。浅井宏康店主は「お寿司は敷居が高いと思われがちですが、どんな方にも楽しんでもらえるランチを提供している」と語る。


地魚中心のネタを揃え、全体的にリーズナブルな価格設定が人気の秘密だ。特に注目は昼定食の大盛り。寿司12貫にサラダとお味噌汁が付いて1000円という驚きの内容である。「お客様に喜んでいただけるように」という店主の思いが伝わってくる。

おすすめのネタとして浅井店主が挙げるのは「スギ」。年に1、2回しか獲れない希少な魚だ。程よい噛み応えと柔らかさで、脂も乗っていた。富山湾で獲れたイサキも旨みたっぷりで絶品だ。

小政寿司の特徴は、ランチと夜の営業でネタを変えて提供している点にある。「昼は低コストで楽しんでいただけるように。夜はおいしいネタをたくさん揃えていますので(お寿司の)いろんな楽しみ方ができる小政寿司にしたいなと思っています」と浅井店主。幅広い世代に寿司の楽しさを伝えたいという想いが伝わってくる。

好みに合わせた極上の握りが自慢「歩寿司本家」

富山市にある「歩寿司本家」は夜営業のみの地元で愛される名店だ。酒井正貴店主が「お客さんの好みに合わせて、好きなものを言っていただく」というスタイルが人気の理由だ。

カウンターには地魚はもちろん、豊洲など全国各地から仕入れた自慢の食材が並ぶ。コースもあるが、好きなネタを一貫ずつ注文するのがおすすめだ。

氷見獲れのぶりを注文すると、手際良く握ってくれる酒井店主の職人技を目の前で堪能できる贅沢な時間が流れる。脂が乗っていて噛むとブリの甘さも感じられた。


「かに(香箱)」も魅力的だ。これはお客さんのわがままから生まれたという。台ごと持って食べるスタイルで、カニをたっぷり楽しめるよう工夫されている。「軍艦だとちょっと量が少ないんで。そのスタイルだと、たっぷり食べれると思うんです」と酒井店主。内子と外子の風味が濃厚で、プチプチとした食感も楽しい一品だ。

さらに「ノドグロを炙って食べたい」という要望にも快く応じてくれる。炙ることで濃厚な脂がより際立ち、とろけるような食感を楽しめる。この他にも富山湾の「びんちょうまぐろ」などが提供されるが、ネタに合わせて赤酢の酢飯を使い分けるこだわりも見逃せない。
(富山テレビ放送)
